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いつの間にかセリフが変わっている

「すごい楽しかったです」とインタビューに答えた人は本当に楽しそうです。

でもそのセリフが文字となってニュースに現れますと、いつの間にか「すごく楽しかったです」と変更されています。

ほぼ100%そうなっています。

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この「すごい」に関してはどのテレビ局も足並みをそろえています。

あたかも、国民が使う言葉は間違っていて、自分たちが正そうとしているかのようです。

ここは私は毎回納得いきません。

明らかに事実と異なります。


完全に副詞となった形容詞であるこの「すごい」を彼らがなぜ「すごく」と言い換えるのかについてお話ししましょう。

今回は文法の話です。

文法...文の法則。

全ての言葉には規則があります。

一つの文を作るために従う、単語の並べ方に関するルールです。

そして時代によってこのルールは変わります。


各単語は品詞に属します。

名詞:物の名前

形容詞:名詞を修飾する、または補語になる
    日本語ではだいたい「い」で終わる

副詞:動詞、形容詞、副詞を修飾する。


ちなみに補語とは主語とイコールの関係になるものです。

「彼女は美しい」という場合の「美しい」は「彼女」とイコールですね。

今回はとりあえず、この三つを押さえましょう。

「すごい」はその直後に名詞が来るため、本来形容詞です。


すごい髪の毛。

すごい暑さ。

すごい雨。


でもこれを今の日本語では副詞として扱います。


髪をすごい切る。

すごい暑い。

雨がすごい降る。


言葉を扱っている専門家だと自負するテレビ局はこれが許せないんでしょうね。

でも、私からしたら職業的にテレビに出ているタレントたちの日本語も決して褒められたものではありません。

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で、「すごい」のもう一つの役割。

最近の日本語ではこの「すごい」はフィラーとして使われることも多くなりました。

フィラーとは空白、間を埋める役割をする単語です。

もともと英語です。

「え~、なんか、すごい、こないだ友達とも言ってたんですけど...」と言っている人がいました。

「で、何がすごいの?」ってツッコミたくなります。


この場合の「すごい」は何も修飾していません。


経験上、フィラー、副詞、形容詞のいずれであっても、「すごい」が使われる時は、概して最後まで聞いてもすごくありません。

唯一機能するのは補語として使われる時です。

ただ、日本人はこれを使いすぎです。

印象を聞かれて「すごいと思います!」と言いがちの方は気を付けた方がいいですよ。

気付かないうちにとんでもない頻度で使っていますから。


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