見出し画像

就職氷河期世代において見逃されていること少々

知られているように、就職氷河期は1997年あたりに起きたもので当時それまで取れた会社の内定難易度は大幅にアップし、人によっては100社受けても内定を取ることができなかったという話も聞かれる。それで「自己責任社会は間違っている」とか言われる論調が出来上がっているが、それとは別に見落とされている点が一つあることをここで私は少し言及したい。

次は自殺率の推移と、その年齢層の分類である


自殺率推移。98年に大幅に増えているのがわかる


年齢層別。やはり98年に大幅に増えている

以上を見て貰えばわかるが、98年に大幅に自殺率が増えている。これの原因(の一つ)は就職氷河期であることに想像は難くない。
ただ自殺数が増えたのは何も内定を取ろうとする20代だけではない。それ以降の年代も大幅に増えている。
これは何を意味するのだろうか?あくまで私見であるが、当たっていると思う。

リストラ、である

会社の業績が悪くなった以上、会社員はクビにしなければいけない。日本は解雇規制がきついことは有名だが、それでも倒産の瀬戸際あたりになれば解雇することは許される。

このリストラの何が問題なのか?それはそれまでバブルだった、ということである。相当儲かっていたのが突然の業績悪化。内定が取れなかった大学生ばかり注目されるがそもそもその原因は会社の業績悪化にほかならない。そして就職口が無くなったのは大学生ばかりではなく正社員(=解雇)でもあるということである。
バブルまでは無論終身雇用性であった。それまで正社員は仕事がハードではあるが、会社にずっと留まるものと思っていた。そして突然のリストラである。しかもバブルゆえに儲かっていたからその余りのギャップに耐えられなくなったのであろう。そして自殺に及んだ。

実をいうと就職氷河期における就職口はすごい悪いというわけではなかった。少なくとも大恐慌というわけではない。無論よくはなかったが、日本の歴史上において平均水準を大幅に下回ったわけではない。ただ逆方向に、バブルが凄すぎたのである。就職氷河期は恐慌というより、急降下である。
同じ年収でも、ずっと同じなのと、一旦上がった後に元へと下がるのは幸福度は違う(無論後者の方が低い)。
氷河期の隠れた犠牲者たちはもう助けられることも目も向けられることもないだろう。話題になる当時大学生だった氷河期世代も、すでに年がいっているとしてだんだんまた無視されるようになったからだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?