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ゲーム感想記㉕ ポケモンレジェンズ・アルセウス

 本作は人気ゲーム『ポケットモンスター』通称「ポケモン」シリーズの一つである。それまで「ポケモン」シリーズは色々と差異あれど根本的な部分は大体同じ(ポケモンを捉えて図鑑を集める、ジムリーダーを倒す等)だったが、本作では抜本的な改革がなされており、今までにない試みがなされている。シリーズではこれまで「ポケモンスナップ」や「不思議のダンジョン」といった違ったゲーム性もあったが、これらは外伝的な位置づけであり登場するポケモンが共通していることを除いて全く違うゲームであった。対して本作は本家の流れを汲む作品であり、決して外伝的なものではない。また、本作が発売された直前に「ダイヤモンド・パール」のリメイクが出たこともあり、ストーリー等その作品の要素が特に取り入れられている。

 決定的な違いとして、今作はポケモンとは戦わずともモンスターボールを投げて捕まえることができる。そのためアクション的な要素が大きく増えた。草の茂みに隠れたり、伏せたりしてポケモンの視界には入らないようにモンスターボールを投げて捉える。当然投げる際の操作精度も問われる。さらにポケモンに見つかると相手もこちらを追いかけたり攻撃したりして、一定のダメージを受ければスタート地点に戻される。ポケモンは必ずしも可愛らしい存在とは限らない、むしろ危険な存在であることをうまく表現している。また、今まで通りポケモンと戦うこともあるし、そこで捕まえることもできる。
 この内容ゆえ、本作はかなりオープンワールド的な作品になっている。今までのようなOO道路とかはなく、フィールドを縦横無尽に駆け巡っていく。厳密にいえばフィールドが5つあり各々を攻略していくステージクリア型だが、一フィールドあたり、かなり広い。

 また、図鑑においても今までと違いがある。今までは捕まえてさえしまえばそれでそのポケモンは埋められたが、今作は捕まえるだけでは足りない。たとえばそのポケモンをX回捕まえた、 X回倒した、技をX回使った、という具合に指定された条件を満たしていかないといけない。それによってシリーズお馴染みのポケモンの説明文が追加される。そのため埋めていく楽しさが増えたりもした一方、作業感も強くなった。本作ではプレイヤー同士の対戦をすることはできず。図鑑を埋めていくのが主な作業となり、図鑑の完成というポケモンの原点に徹底的にこだわっていると言えるだろう。

各々のフィールドの終わりには、ボスとしてのポケモンが待ち構えている。これはジムリーダーとかとは違い、決して手持ちのポケモンで倒すのではなくトレーナー自身がシズメダマというものを投げて倒していくものである。あるシズメダマを食らわせたら、いよいよこちらのポケモンを投げて戦わせることができる。ただしそれで倒しても、相手があくまで気絶してさらにシズメダマを投げつけるチャンスが増えるだけであって、決してポケモンで倒すことはできない。
 アクション要素の強い本作らしいといえばそうだが、アクションに偏りすぎていて批判もそこそこあるみたいだ(実際、ポケモンを一切出さなくても倒すことができる)。ただやられても体力を削ったままその場で再戦できる。

 色々賛否両論的なところもあるが、かなりマンネリ気味だったシリーズに大きな一石を投じ、総合的に見れば成功した優れた作品と私は思っている。ネット対戦はなく今までのような廃人要素もないため、コアなファンには物足りないかもしれないが、それでも一つの「作品」としての完成度は高い。プレイする価値がふんだんにある作品である。

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