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ライブ・ア・ライブ

「ライブ・ア・ライブ」は1994年、当時ゲーム業界で隆盛を極めていたスクウェア会社(現スクウェア・エニックス会社)から発売されたゲームである。本作の半年前には「ファイナルファンタジー6」が、そして半年後には「クロノトリガー」が発売され、不朽の名作の間で本作が世に出た。評価は芳しくない、というよりそもそも注目されなかったため、売上数は他の大作の五分の一もなかったが、その個性的で衝撃的なシナリオはプレイした人間を虜にしていき、徐々に認知度が広がっていった。「代表的な隠れた名作」とも言われ、ついに30年近くの時を経て、Switchにリメイク(リマスターではない)が発売された。

SFC版(上)とSwitch版(下)のイラスト。Switchのイラストは全キャラ同じ人によるもの。

プレイ開始してから、七人の主人公を選ぶ。「幕末編」「西部編」といった「OO編」として各々異なった舞台でプレイしていくことになる。七人の主人公のイラストを当時小学館の漫画家がそれぞれ担当した。)。そして七つともクリアすると、隠れシナリオ「中世編」が登場する。
 それぞれのシナリオは全くの別物であり、戦闘面やシステム面においても多様である。「SF編」ではボス戦とゲーム内ゲームでしか戦うことなく、緊迫したドラマがずっと続く。「西部編」も実質戦闘はボスのみで、代わりに罠を仕掛けることに終始する。他方「現代編」ではひたすら戦闘しかしない。キャラ選択画面のもと、一対一で行われる戦闘は明らかに当時流行していた「ストリートファイター」の格闘ゲームを意識している。
 王道と言えるシナリオは隠しシナリオの「中世編」である。勇者の魔王討伐でいかにも当時大流行の「ファイナルファンタジー」シリーズを意識している(ランダムエンカウントもこの中世編と最終編のみ)。その王道ぶりそのものがその後のどんでん返しのための伏線である。今となっては衝撃的な展開も有名だが、それでも今プレイしてもかなり衝撃を受ける。

 戦闘はマスを駆使して行われる、シミュレーションゲームを簡易にしたものである。キャラのマスを動かしていき、技の範囲が届くところであればその技を叩き込む。そこまで難しくはなく基本シンプルである。各主人公多彩な技を持っていて、リメイク版の本作はボイスも加わり使っていて楽しい。ただそれだけ死に技も多い。基本使う技は決まっていて、技を覚えた段階からすら使う必要が感じられないものが多数ある。
 改めてリメイクをプレイしたがやはり戦闘がだるいように感じた。エンカウントが多く、どうにもテンポが悪く、もうちょっとなんとかならなかったかなぁという気がした。当時からこのゲームは戦闘面での評判は芳しくなかったが、やはり本作の醍醐味はシナリオにあるということだろう。

リメイクにあたってはボイスがついたりグラフィックが綺麗になったのは当然だが、追加要素はあまりない。ただ最終戦で条件を満たせば新たな展開を見せ、あくまでちょっとした演出ながらファンだった人の心を掴む演出ができた。自分もその場面をプレイして、結構グッとくるものがあった。
 それ以外の点での追加、新たな編ができたり、隠しシナリオができたり、と言ったことは基本ない。ただ正直できたとしても蛇足だった気がする。短いシナリオのものもあるがその短さゆえに魅力的だったりもするし、シナリオ的に付け加える余地もなさそう。せいぜい最終編でサブイベントが一つ二つ追加されれば程度かな。やり込みプレイヤー向けにハードモードがあってもいいかもしれない。
 物足りなさもあるが、リメイクとしては十分。


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