ゲーム感想記㊲ ファイナルファンタジーⅩ
国民的なRPGの『ファイナルファンタジー』シリーズ十作目は、プレイステーション2にて発売された。世界観は今までとは一新されており、エスニックなアジア的な雰囲気が全体的に漂っている。
何よりも本作で優れているのはグラフィックである。3Dゲーム黎明期の初代プレイステーションのグラフィックはグラフィックが売りの『ファイナルファンタジー』シリーズといえどもどこかきつい部分もあったが、本作にてえ大幅にパワーアップ。非常に美麗になっており、特にCGムービーは圧巻である。ゲームの店頭販売の宣伝で見たグラフィックに私は度肝を抜かれた記憶がある。もちろん、今から見るとそこまではすごくはないかもしれないが、それでもその迫力は今なお感じられる。
グラフィック以外で本作の肝となるのはストーリーで、演出面でパワーアップしたこともあり、今まで以上に(今までもストーリー重視ではあったが)ストーリーで魅せる部分が強いように感じた。神秘なアジア的な雰囲気が漂う中で、表面的には呑気そうながら、かなりシビアな世界や展開が描かれて、それを肌に感じながらプレイヤーはシナリオを進めていく。文字通り夢のように儚く、それでいて颯爽として神秘的であるこの世界観はかなり独特で、シリーズの後にも先にも唯一無二なのものとなっている。
ストーリーを追いかけることを主軸としたためか、本作は基本的に一本道となっている。ワールドマップ的なものはなく、その意味で窮屈な感じを受けるかもしれない。
システム面でもかなり抜本的な改革が行われている。まずATBがかなり薄まり、それ以前のターン制に戻った。戦闘中では仲間と交代できるようになり、適材適所に敵を倒していく戦略となった(今作では敵とキャラ戦術との相性が今までよりも激しい)。何よりレベルという概念がなくなり、手に入れたスフィアポイントを使って、スフィア盤ですごろくのように駒を進めていき能力を上げることとなった。その他にも色々な点でも変更がある。とはいえ『Ⅷ』ほど極端に変わっているわけではなく、プレイ感覚としてはなんだかんだでシリーズとして馴染みのあるものとなっている。
ゲームクリア以外のやり込み要素も多数あり、ラスボスよりも強い敵もある。ボリュー的な面でも大作シリーズとしての貫禄を見せている作品である。今までよりも一本道なところだけは少々面食らうかもしれないが、バランスよくまとまったゲームで、『Ⅷ』のように革新的でもなく『Ⅸ』のように懐古的でもない。保守的でありながらチャレンジ精神も相応にあり、発売してから二十年経過した今なおお勧めできるゲームである。
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