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Huawei制裁の真相
Huaweiのフラッグシップモデル、P50の発表が明日に控えている。
筆者は政治や経済に関する知識に乏しいが、
改めてアメリカによるHuawei制裁の真相を整理しようと思う。
1.米制裁について
結論から言ってしまえば、Huaweiが制裁された理由は、現在アメリカの一番の脅威となっている中国の企業であるHuaweiが、世界中の5G基地局を牛耳るという事態を避けるためだと推測する。
アメリカが中国を危険視していること、Huaweiが数多くの5Gに関する特許を取得していることは事実である。しかし、当然アメリカの政治戦略であるため真相が公式に明かされるはずもなく、明確な根拠がないので「推測」と言わざるを得ない。以降の文章も制裁の真相については全て推測に過ぎない。しかし、これが現在の定説であり真実だと考える。
アメリカが公式に発表しているHuaweiを制裁する根拠は、Huaweiのデバイスが中国に情報を流していて、それをアメリカが国防上の脅威とみなした…というものだ。これに関して筆者は、Huaweiのデバイスが中国に情報を流していたという事実はないと考える。一方で、Huaweiが中国に情報を流していない、あるいは今後も流さないという決定的な根拠もないと推測する。そしてHuawei上層部が中国共産党と密接な関係にあるのも事実だろう。
2.Huaweiのデバイスの現在と今後
Huaweiは二年以上制裁を受けているにも関わらず、まだ新しいフラッグシップモデルのスマートフォンをリリースできている。しかしSoC、とりわけ5Gチップの不足が深刻で量産が困難になっている。また得意のカメラ性能も、少し鈍くなっていると感じる。BOE製ディスプレイを始め、ほとんどの部品が中国製のものとなり、様々な国の部品を扱える他メーカーにくらべ性能やコストパフォーマンスが少しずつ悪くなってきている印象も受ける。
流石に、Mate 50シリーズが今年中にリリースされることは無い見込みだ。Huawei子会社のHiSiliconのフラッグシップSoC、Kirin 9000の後継となるSoCが今年中に登場する可能性は極めて低く、そのKirin 9000の在庫もひっ迫している。新しいハイエンド端末がリリースされる見込みはほとんど立っていないというのが現実だろう。ディスプレイやその他部品の多くは中国国内で自給自足できているのだから、SoCも自給自足すればよいと思うかもしれない。しかしスマートフォンSoCの製造には極めて高度な技術が必要であり、その技術を有しているのは台湾のTSMCと韓国Samsungのみである。中国国内で製造できるSoCは、現時点ではTSMCやSamsungのものに比べ数段性能が劣るKirin 710Aが限界であるとのことだ。
Huaweiは最近、スマートフォン以外のデバイスの開発に力を入れている。Huaweiは先日、Harmony OSを中心としたエコシステムを発表した。日本にもHarmony OSを搭載したスマートウォッチやタブレットなどを投入した。完成度がとても高いと感じる一方で、Googleなどを中心としたエコシステムが既に一定普及している中国以外の国々では普及しにくいのではないかと感じる。あくまで中国人がメインターゲットになっている印象を受ける。中国の人口は極めて多いため、ターゲットが中国人のみでも十分にビジネスは成立するのだ。
HuaweiのスマートフォンでGMSを利用することができるようになり、従来通り極めて高性能なデバイスを数多くリリースすることができるような、完全復活を遂げるビジョンは、現時点では全く見えないといってよいだろう。Honorに期待するほうが現実的である。
3.Honorについて
HuaweiはサブブランドのHonorを分離・売却した。そのためHonorが新しく発売するスマートフォンではGMSを利用できるようになる。HonorはGMSが利用できた頃のHuaweiを引き継ぐ存在として強く期待されている。しかし現時点では、Huaweiを思わせるような高度な技術が用いられたスマートフォンはリリースされていない。個人的な感想だが、Honor 50シリーズは没個性で魅力のない端末という印象だ。またHuaweiの技術者は一部Honorに移動したものの、優秀な人材はHuaweiに残っているとのことである。
現時点では「微妙」だと感じるHonorだが、まもなくHonor Magic 3シリーズの発表が控えている。リーク情報によると、画面下インカメラや高度なカメラ機能を有しているとのことである。今後のHonorの発展に期待する。
4.まとめ
Huaweiファンからすれば、アメリカの制裁は卑劣に感じるかもしれない。筆者も極めて高いカメラ性能や、先進的なデザインに魅せられHuaweiを推していた一人としてその気持ちはよく理解できる。一方でアメリカにとってHuawei、もとい中国は大きな脅威であり、Huaweiが中国共産党と良好な関係を気づいていたからこそ高い技術力を持っていたと考えると、仕方のないことであるとも感じる。
筆者は趣味としてのスマートフォン選びに政治的な要素を介入させるべきではないと考えている。スマートフォンの利便性やパフォーマンスと、政治にはなんら関係がないからである。しかしHuaweiについては一度論じる必要があると考えていた。政治や経済について長々と考えるのは「タイプではない」ので、このあたりで筆をおくことにする。
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