スマートフォンのメーカーに対する評価

スマートフォンに限らず、電気製品を購入する際、人々は少なからずその製品のメーカーを気にする。その電気製品が、自身が満足のいくような働きをしてくれるかどうかは買って使ってみるまでわからない。従って人々は、様々な情報を元に電気製品の評価を予測した上で、買うに値するはずだと判断したものを購入するのである。
中華通販で取り扱われているiPhoneのコピー品のようなあからさまに怪しげなスマートフォンを除けば、ほとんど全てのスマートフォンは知名度に差はあれどメーカーがハッキリしている。
評価を予測するための情報には様々なものが存在するが、メーカーがハッキリしているスマートフォンにおいては、メーカーへの評価がスマートフォンの評価を予測する上で極めて重要なファクターになる。特にレビューがない新商品のスマートフォンを購入する際などはその傾向が顕著になる。いかにスペックや同メーカーの他製品が素晴らしいものであっても、自身のメーカーに対する評価が低ければそのスマートフォンには期待できないからである。
新型iPhoneが発売日当日から凄まじい勢いで売れていくのは、多くの人々がAppleというメーカーを高く評価しているからに他ならない。

筆者自身、スマートフォンを購入する際はメーカーを強く重視している。それどころか、そもそも特定のメーカーのスマートフォン以外はほとんど気にかけていない。その理由は、筆者がこれまで様々なスマートフォンを使ってきたことで、どのようなスマートフォンが自身に合っていて、自身に合ったスマートフォンを作ってくれるスマートフォンメーカーがどれか、理解しているからである。
当然ながら、同じメーカーのスマートフォンは異なる機種でも似た性質を持つ。更にシリーズや価格帯まで同じ製品となれば、UIは勿論、カメラやバッテリーコントロールのチューニング、デザインやスペックの傾向に至るまで、似通っていることが多い。
従って以前は様々なメーカーのスマートフォンを使用し、様々なメーカーの、様々な価格帯のスマートフォンの情報を収集していた筆者だが、自身のスマートフォンの好みを理解して以降はそのような手間をかけずとも、自身にとってベストなスマートフォンに出会えるようになった。

しかしその一方で、スマートフォンのメーカーに対する評価は、スマートフォンの評価を予測する上で重要な要素であると同時に、非常に曖昧な要素でもある。
同じメーカーのスマートフォンは似た性質を持っていると言ったが、100%そうであるとは限らない。
例えば皆さんご存知iPhone Xは既存のiPhoneとは大きくことなるデザイン、仕様で登場した。XZシリーズと決別したXperiaは、従来とは大きく異なるコンセプトのスマートフォンとして再出発した。vivoのスマートフォンはX60 Pro+でZEISSと組んで以降、トップクラスのカメラ性能を誇るスマートフォンの1つとして数えられるようになった。
スマートフォンは最先端技術の集合体であり、現代を生きる人々にとって無くてはならないものであるからこそ、目まぐるしい進化を遂げる存在であり、時代の変化に対して柔軟に対応していくことが求められる存在である。
そのため、我々のメーカーに対する評価もスマートフォンに合わせて柔軟に変化させていく必要がある。
昨日まで微妙だと感じていたスマートフォンメーカーが、今日発表されたスマートフォンでは大きく改善された結果、好きなメーカーになるかもしれない。その逆も然り。
従って様々なメーカーに対する評価を固定したまま、1つのメーカーに執着することが、適切であるとは言えない。
"推し"のメーカーがあってもいいが、それを理由にそのメーカーの汚点に目をつぶり、好ましくないメーカーの美点から目を背けるべきではない。
スマートフォンを考察する者には、メーカーに対する評価を日々アップデートしていくことが求められるのである。
筆者は特定のメーカーのスマートフォン以外はほとんど気にかけていないと先述したが、注目しているメーカーを中心に情報収集している一方で、それ以外のメーカーのスマートフォンに関する情報もある程度仕入れるようにしているのはこのためである。

結論としては、スマートフォンのメーカーに対する評価はスマートフォンを選んだり考察したりする上で非常に有用なものであるが、一方でその評価を固定することなく日々アップデートしていくべきである、という言われてみれば当たり前で無難な結論に帰着してしまった。
こんな長文で訴えかけるようなものでもない気がする。
しかしスマートフォンを評価する上では特に重要なことであり、頭では分かっていても中々実行しづらいことでもある。筆者自身も完璧であるとは言い難い。
この記事を読んで頂いた皆様方には、この「心構え」を忘れずにいて欲しいと願う。

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