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OnePlusとOPPOの統合は正しかったのか

皆さんはOnePlusというスマートフォンメーカーをご存じだろうか。OPPO系列の中華スマートフォンメーカーなのだが、その生い立ちは他のスマートフォンメーカーと大きく異なる。2014年、OnePlusは同社初のスマートフォン「OnePlus One」を発表した。完成度の高いハイエンドスマートフォンだったが、なんと購入は招待制で一部の人間にしか購入を許されなかったのだ。その後招待制が廃止されてからも、高性能かつ比較的低価格なコストパフォーマンスに優れるスマートフォンとして各国で人気を集めた。同社は「Never Settle」を掲げ、OnePlusスマートフォンのシンプルかつスタイリッシュなデザインやUI、ユーザーとのコミュニケーションを重視するブランドの在り方は多くの人々から支持を得ており、一般的な「中華スマートフォン」の認識とは一線を画す存在となっている。OPPO系列ということもあり、ハードウェアはOPPOのスマートフォンと似通っていることが多い。しかしOPPOがハイエンドモデルのFindシリーズを中断して以降はOPPOのプレミアムブランド的存在で上手く差別化を図っていた。ブランドカラーである赤を基調としたパッケージングや筐体デザインも魅力的だが、OnePlusスマートフォンの最大の魅力といえるのが独自UI「Oxygen OS (中国版はHydrogen OS)」だろう。シンプルな操作性と高い機能性を両立しており、とても高い評価を得ている。消すこともできるプリインストールアプリや長めのアップデート保証は、ユーザー第一のOnePlusを体現する存在だと言えよう。

しかし、先日OnePlusはブランドこそ存続するものの、OPPOとの実質的な統合が報じられた。それによる今後登場するOnePlusスマートフォンへの影響はいくつか考えられるが、最大の問題はOxygen OS (Hydrogen OS)が廃止されるということだ。なぜ人気の独自UIを廃止し、ブランド価値を下げるような決断に及んだのか。その理由を考察しようと思う。

考えられる最大の理由は、OnePlusとOPPOの差別化が曖昧になってきたことだ。UIこそ大きく違うものの、ハードウェアは似通っていることは先述した。問題はOPPOのハイエンドモデルであるFindシリーズが復活し、Renoシリーズや別のOPPO系列メーカーrealmeもハイエンドモデルを展開し始めたことだ。結果、差別化がどんどん厳しくなりスペックの共通化が急速に進行した。実際例えばOPPO Find X2 ProとOnePlus 8 Pro、OPPO Find X3 ProとOnePlus 9 Proでは同じ仕様があまりにも多い。更にX3 Proと9 Proでは、Sonyの高性能イメージセンサー「IMX789」をどちらが搭載するかで争う始末だ。同じ系列のメーカー内で、一体何をやっているのかと呆れてしまう。またOnePlusは、Appleのように原則ハイエンドモデルしか取り扱わないメーカーだったのだが、同社は廉価モデル「Nord」シリーズの展開も開始。いよいよブランディングが複雑化し、OPPO系列内でシェアを奪い合うレベルである。ならば、ブランドは存続させつつせめてOnePlusとOPPOのスマートフォン開発を統合した方がいいと考えるのは当然であると言えるだろう。

他にも単に同ブランド内でいくつもハイエンドモデルをリリースし、かつ別々に開発するのはコストが嵩み効率が悪いこと、中国国内ではOxygen OS、もといHydrogen OSがあまり支持を得られなかったこと、創業者のPei氏がOnePlusを脱退したことなどいくつか理由が考えられる。

筆者はOnePlus 7Tを1年以上に渡ってメイン端末として使用したことがある。ハードウェア性能には概ね満足していたが、正直Oxygen OSはそこまで好きになれなかった。完成度は悪くないのだが、シンプルはUIということであれば普通にPixelやiPhoneを使用すればいいなと思ってしまった。そのため筆者としてはOxygen OSが無くなることを特に残念だとは思っていない。OPPOの影響によるものかは不明だが、Oxygen OS 11では「Oxygen OSのColor OS化」を感じていた。Oxygen OSに求められる多くの要素を盛り込むと、どうしてもColor OSに近い存在になってしまう可能性はあると思う。

以上、OnePlusがOPPOに統合された理由をいくつか考察してみた。OnePlusがOPPOに統合されるのは仕方がないことだと感じたのではなかろうか?少なくとも筆者は考えれば考えるほど必然だったと思えてならないし、OnePlusとOPPOの統合を支持する立場だ。

それでもOxygen OSが極めて高い評価を得ていたことは紛れもない事実であり、それが失われることは大きな影響になるだろう。Oxygen OS廃止以降、OnePlusスマートフォンではColor OS for OnePlusが搭載されることとなっている。少しOxygen OS寄りのデザインにカスタマイズされたColor OSだが、これでOxygen OSの代わりとなれるとは、思えない。Oxygen OSで評価されていた要素を上手く取り入れることで、Color OSが今後より優れた独自UIとして進化を遂げることに期待する。

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