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大森山王オータムフェスの開催場所「カドヤスーパー」の未来と、「ダイシン」のバトン

こんにちは、Community関連のお仕事をしたり、大田区をぷらぷらしたりしている、あんどれです。

先日、10/31と11/1に開催された、大森山王オータムフェスへ参加してきました!フェスといっても、昨今の状況を踏まえて1時間半の入れ替え制で人数制限もされているし、会場も緑あふれる公園!や、噴水のある広場!などではなく、工事中で鉄板の敷かれたカドヤスーパーさん跡地という、慎ましやかな趣のイベント。

主催された大森山王ブルワリーの町田さんが事前に書かれた思いは以下にあるので、勝手にご紹介。

池上本門寺のお会式(正確に言うと万灯練り行列や屋台など)が二年連続で中止になってしまった今年(昨年は史上最大規模の台風襲来が原因、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響)、大田区のお祭り好き人間たちのフラストレーションが完全解消されるのは難しかったかもしれないけれど、私は久々に野外でお酒を飲みながら演奏を聴いて身体を揺らせて、大いに楽しかった!演奏中だろうがスピーチ中だろうが、すぐ脇を走る京浜東北線の列車の音がごうごう鳴って、時々「ん?なんて言った?」ってなるところも含めて、なんだか素朴で良かった。

私が個人的にとっても悲しかったのは、昨年参加できなかった「池上ちょい吞みフェスティバル」や、いっぽう参加してべろべろに酔った「蒲田元気大作戦」のような、はしご酒イベントが開催されなかったこと。私個人が嘆いていても仕方ないのだけど、一日も早い事態収束を願って、ここ数年で最悪の肌荒れに耐えながらマスクを欠かさない日々を過ごしていくしかない。こうしたイベントが全てなくなってしまったことにより、「知らぬ人と袖振り合う」体験を求めていたのかもしれないなぁ、と2月以降の生活を振り返ってみたりもした。

オータムフェスのイベントレポートは、きっと町田さんが公式に書かれるのでは、と思うので、私は、このイベントへ参加申し込みをしてから意図的にだったり偶然にだったりで知り得ることになった、「この辺の、ちょっとだけ昔」の話を、書き残しておきたいと思う。いつか、大田区あるいは大森界隈に引っ越してくる新参者がこの街を知るために、ちょっとだけ役に立てれば。

カドヤスーパーが気になる

2019年5月に閉店した、大森山王の商店街にあった「カドヤ食品」さんは、「カドヤスーパー」と呼ばれたり、「スーパーカドヤ」と呼ばれたり、表記が色々ある模様。カドヤ建設さんのブログでは「スーパーカドヤ」と書かれていた。

ちなみに「カドヤ建設」、「カドヤ食品」とさりげなく出したけれど、「カドヤ不動産」もある。大森駅前の池上通りを歩くと意識しなくてもカドヤの大きな看板がいくつか目に入ってくるし、山王辺りを徘徊すると、そこかしこに同じロゴを見かける。大森辺りを中心にうろつくようになってから数か月、「カドヤ」の存在感はどんどん大きくなっていくのに、でも自分の日常生活とはなじみがない、不思議な距離。

とりあえずカドヤ不動産さんのサイトを置いたけれど、今はない「カドヤ食品」の看板も含めて、ロゴは共通。

昨年までに大森にもっと親しんでいれば、70年続いたという「カドヤスーパー」が日常に溶け込んでいたかもしれないな、どうして無くなっちゃったんだろう、と調べるうちに分かったのは、山王マダム御用達の、成城石井やカルディのような立ち位置で高級食材を扱っていたお店だったということ。やはり私にとっては遠い存在だったかもしれない、と思い直したりした。

なのだけど。

閉店に際して元アルバイトの方が書かれたブログを読んで、その場所にあり続けたことの意味について考えさせられた。私ももう少し前からカドヤスーパーの存在を知っていて、親しんでいれば、ちょっと高級志向で毎日通うお店でなくとも「〇〇を買うならカドヤスーパーで探してみよう」と自然に言っていたと思う。信頼の問題なのだ。

このカドヤスーパーさんの跡地が、ビルの取り壊しがちょうど終わるタイミングだったため、大森山王オータムフェスの会場として貸し出されることになったんだそう。

私がお邪魔したのは初日の最後の回。そこでちょっと明るい話も聞いた。カドヤ食品としての再開については触れなかったけれど、地域密着型の事業を続ける予定で、来年末にはビル完成を見込んでいるとのこと。

あくまで予定は未定だけど、貸店舗と賃貸住宅の組み合わせになると年始には発表されている。カドヤのロゴは建物が変わっても店が変わっても、その場所に大きく大きく存在し続けるんだろう、と思ったらちょっと安心した。私も大森に馴染んできたということかな。

ダイシンがあったころ

さて、カドヤスーパーについて誰かに話を聞いてみたいな、と思うものの、客層と私の交友関係が一致しないのか自然と話題に上るのを聞かぬまま、オータムフェス直前に突如気になり始めたのが「ダイシン」だった。

オータムフェスの数日前、おねえさまからの呼び出しに応じて、既に数杯お酒をくらってほろ酔い状態で行きつけのバーへ乗り込んだわたくし(人数制限をされていて、換気も徹底されているお店です!念のため)。お察しの通り、その時点でテンションはかなり高めだったのだけど、両隣で盛り上がる懐かしの「ダイシン」についての会話に引き込まれ、つい口を閉じ気味にふんふんと聴かせていただく流れになった。

ダイシン百貨店のレストランで食べたあれが忘れられない、から始まり、先々代の社長さんが大変なご苦労をされたという噂話や、地域密着型かつ高齢者への配慮を徹底した営業で、配達サービスの実施や、他の大型店では取り扱わない古い製品でもリクエストがあれば仕入れ続けた、などなど。中でもびっくりしたのが、週末にはダイシンへ向かう車が池上通りに列をなし、「ダイシン渋滞」と呼ばれていたこと。どんな光景だったのだろう……今は、いつなんどきでも自転車ですいすい進めるあの通りが、渋滞とは。

気になって手元のスマホでぽちぽち調べてみたところ、2016年5月に「ダイシン」の看板は下ろされ、その後6月には、私の良く知る「MEGAドン・キホーテ」に代わったそうだ。2016年といえば、私は大田区へ引っ越してきてはいたけれど、まだ街を開拓する気持ちになっていないし、馴染んでもいなかった。当然、ダイシンを見かけた記憶もない。

酔っていたその時はてっきり、ダイシン百貨店という名前のついた会社自体が、もう今はないのかと早とちりしたけれども、今でも経営は「株式会社ダイシン百貨店」だった。確かに、MEGAドン・キホーテ大森山王店のサイトは、ダイシン百貨店のドメインだし、そもそもダイシン百貨店のロゴがばっちり冠されている。

ダイシンの名を残すことが条件で売却したということだけど、通りから見てその面影となるものは何も残されていない。長く住んだ人、ちょっと前を知る人にとっては「あの場所はダイシン」だけど、私にとっては「ドンキとニトリ」だ。

ここまできて、なぜカドヤより先にダイシンの話を人の声で聴くことになったか、分かった。

「カドヤ」は今も当たり前に、街に存在しているからだ。

もちろん、業態の違いやリーチする人や場面の違いなど、色々と要因があるとは思うけれども。「カドヤ」は今も、街を歩けば何度も見かけるロゴだから、わざわざ話題にすることもない。カドヤスーパーの跡地には、またカドヤのビルが建つことが分かっている。でも、ダイシンの名前は、もう街で当たり前に目にすることはない。

そこに無いもののほうを、人は思い出して、話のタネにするのだろう。でも、知らないと思い出せないから、このnoteでちょっとだけ「ダイシン」のバトンを繋ぐね。今は「MEGAドン・キホーテ」のあるあそこ、「ダイシン百貨店」という、地域の人々に愛されるお店があったらしいよ。

最後にHi-Timeさんの話(を忘れていた)

最初に話題へ出したきりの「大森山王ブルワリー」は、クラフトビール「大森山王ビール」を開発しています!そもそも私がなぜファンになってしまったかの話は、またいずれ。

「大森山王ビール」は、大森でも飲めるお店が色々とあるのですが、とりあえず試飲してみたい、飲み比べしてみたい、という時は、駅前の商店街にある「Hi-Time」さんで飲めます。期間限定だけど、まちめぐりツアーの出発点になっているので(本当は抽選の確率が下がるからおすすめしたくないけど)、ちょっと足を伸ばせば何度か通えるな、という距離の方はぜひお楽しみください。


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