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ArchiFuture レポート@TFTホール(東京・有明)

こんにちは。ANDPAD ZEROの髙橋です。
いつもANDPAD ZEROのnoteを読んでいただきありがとうございます。

今回は、2023年10月27日に東京・有明のTFTホールで開催された「ArchiFuture」というイベントについてレポートします。

「ArchiFuture」とは

建築分野におけるコンピュテーション活用を中心とした注目の最新動向と最新のソリューションを紹介するイベントです。
今年は、「人類の拡張と止揚 -generativeな時代-」という副題も付されており、これまでの人類、特に建築業界の歩みを振り返ることで、あるものを否定しつつも、積極的な要素をより高い次元で再構成・拡張していきたい、という建築業界の意気込みも感じられます。

ArchiFutureの催しもの

ArchiFutureは、参加企業の展示会をベースとしつつ、複数のホールや会場にて、基調講演、特別講演、特別対談、パネルディスカッション、セミナー、テクニカルフォーラムといった催しも多く開催されました。
今年の基調講演は「ピーター・クックが語る未来のテクノロジー:1960年代から今日まで」として、建築家のピーター・クック氏が招待されるとともに、千葉大学の今村教授、東京大学の池田教授が聞き手として、講演が行われました。
ArchiFutureのキービジュアルも、ピーター・クック氏による「プラグイン・シティ」のデザインを起用されています。(本noteのキービジュアルにも一部活用させていただきました!)

Plug in City(ArchiFutureHPより)

その他、株式会社VUILDの秋吉代表取締役CEOによる特別講演、国土交通省のBIM推進をテーマとしたパネルディスカッションなど、まさに産学官の連携による建築業界の最先端が学べるコンテンツが目白押しでした。

ANDPAD ZEROからも、今井と菊野がテクニカルフォーラムに登壇させていただき、「クラウド化する建築データの可能性-BIMや点群データの現場活用とデータ形式のトレンドから見えること-」というテーマでお話させていただきました。

ArchiFuture 会場レポート

私も実際に会場を訪問し、セミナーや展示会などに参加させていただきました。
今回のArchiFutureは、講演会・セミナーなど、全ての講座がリアル会場のみでの実施であり、ライブ配信・オンデマンド配信がない、ということも特徴的だったと思います。朝10時の開場から多くの方が来場され、特に展示会場の各ブースも出だし好調といった印象でした。会期が1日ということもあり、かなり濃厚な展示会だったと思います。
会場を歩いていると、様々なところで「〇〇さん、お久しぶりです」「あ~、久しぶり!」といった挨拶をされている方々も多く見受けられ、まさに建築業界の第一線で活躍される方々が一堂に会していることも感じましたし、建築業界の温かさやこれまでの歴史も感じることができました。

ここからは、会場の展示の中から、筆者が訪れたブース展示をピックアップしてご紹介します。

株式会社 アンドパッド

今回の展示会には、弊社アンドパッドもブースを出展しました。
アンドパッドでは、ANDPAD 3Dスキャン※、ANDPAD BIM(※)を中心にご紹介しました。

ANDPAD 3Dスキャン、ANDPAD BIMを併せて活用いただくことで、ANDPAD内で、図面・BIM・データがシームレスに確認できます。
具体的には、ANDPAD 3Dスキャンによって、3Dデータを取得し、そのままアップロードをすれば、ANDPAD BIMによって、ブラウザ上でそれらの3Dデータを表示したり、モデルデータを管理することができます。関係者間でのコミュニケーションや図面との連携も簡単に行うことができることも特徴です。

通信建築の現地調査や都市インフラの竣工図書の作成などにも活用されており、今後も多くの建設事業者の皆さまに知っていただき、お力添えできればと考えております。
ご興味がある方は、ぜひこちらからお問い合わせいただければ幸いです。

続いて、多様なプレイヤー間の意思決定を円滑化するビジュアライゼーションに特化したブースを2つご紹介します。

Epic Games Japan 株式会社

ビジュアライゼーションにまつわるブースの1つめは、Epic Games Japan株式会社をご紹介します。

Epic Gamesは、コンピューターゲーム、アクションゲームに用いられるゲームエンジン「Unreal Engine」などで有名な企業です。
今回は建築に特化したリアルタイム3Dビジュアライゼーションを容易にするサービス「Twinmotion」が展示されました。「Twinmotion」はRevitなどのデザインデータを取り込みレンダリングすることで、高品質な画像やパノラマなどを作成することができるビジュアライジングツールとのこと。

Lumenによるブラインドの上げ下げによる室内空間の明るさの違い

特に、Lumenというシステムにより、リアルタイム レンダリング環境で非常に精度の高いライティングと反射を動的に確認することができるそうです。実際にデモ環境を操作いただきましたが、ドアの開け閉めやブラインドの上げ下げによって、どの程度の太陽光が居室に差し込むか、材質によってどの程度太陽光が室内で拡散するのか、といったイメージが具体的に再現できることがよくわかりました。
さらに、緯度経度の座標を与えることで、デザインデータを地球上のどこに再現するかを決定できるほか、季節・時間帯による太陽の角度の違いも再現でき、より高度なビジュアライゼーションをもたらすサービスであると言えるのではないでしょうか。

都市モデルのPLATEAUのデータを取り込めば、屋外の風景を日本国内のモデルと重ね合わせることもできるそうで、都市×建築のシームレスな繋がりが、今以上に簡単かつ当たり前になっていくことも期待できると感じました。

株式会社 創心アーキプラン

ビジュアライゼーションにまつわるブースの2つめは、株式会社創心アーキプランをご紹介します。
創新アーキプランのブースでは、バーチャルデザイン・コンストラクション・プラットフォーム「Fuzor」が紹介されました。

建築業界のビジュアライゼーションの多くが設計や意匠の検討に用いられる中、この「Fuzor」というサービスは、施工の検討にも用いられることが大きな特徴とのこと。
BIMモデルを取り込み、属性情報等を基に作業を振り分けることで、施工の手順や流れ、各工種・工程間の取り合いなどアニメーション化することで視覚的に確認し、現場関係者と共有できるそうです。

一番ハイレベルなプランでは、時間毎のタスク振り分け、それに基づくアニメーション作成など、リッチな機能が充実しています。
大きな現場になればなるほど、少しのミスが大きな手戻りになってしまうことも少なくありません。工種・工程や従事する協力会社数、作業員数も膨大になるなか、齟齬なく意思疎通し続けることが重要になるところ、施工手順の見える化に本格的に取り組むためには、こうしたハイレベルなサービスを備えることもひとつのリーズナブルな選択であると感じました。

株式会社 イズミシステム設計

続いて、設備設計の効率化に取り組むイズミシステム設計をご紹介します。
イズミシステム設計のブースでは、設備設計の効率化を実現する、BIMプラットフォームサービス「B-LOOP」が紹介されました。

以前の記事で、2025年4月からの省エネ基準適合義務化をご紹介しましたが、この「B-LOOP」はその建築の省エネの計算にかかる作業の業務効率化を実現するサービスとのこと。まさに、時流にのったサービスといえるのではないでしょうか。

具体的には、BIMモデルとデータ連携することで、意匠モデルと設備データ(電気/設備/配管)を基に、設備にまつわるデータを計算し、BIMモデルにフィードバックできるそうです。
さらにイズミシステム設計が手がける各種アプリ(負荷計算/機器選定/省エネ)とも相互連携することで、「建物情報」「省エネ情報」「省エネ・設備情報」「設備情報」「CADデータ」「各アプリデータ」などを一元管理できるようになるとのこと。

B-LOOP概要(イズミシステム設計HPより)

担当者の方によれば、イズミシステム設計は昭和48年創業とのこと。
50年間、第一線で設備設計で活躍されているからこそ、蓄積したノウハウをこうしたサービスとして再構築して展開されていることがとても印象的でした。

構造計画研究所

最後は、構造計画研究所のブースをご紹介します。
構造計画研究所のブースでは、PCa版や鉄骨階段の自動設計・生産連携ツールなど、実務の痒いところに手が届くサービスが多く紹介されました。

その中でも、私自身「これは便利」と最も感じたサービスのひとつが「MyStructureNote」という手書き構造計算ツールです。
フリーハンドで直感的にモデルをスケッチし、必要な支点条件・荷重条件を代入することで、即座に計算結果が表示されることが紹介されました。
「現場で部材断面を計算したい」「仮設・設備の設計書の妥当性を確認したい」「概算設計で仮定断面をササっと決めたい」といった実務シーンで活用できるほか、「手計算結果の確認がしたい」「力学のイメージを伝えたい」といった教育のシーンでも活用の幅があるとのことです。

筆者個人的には、大学時代の構造力学の授業があまり得意ではなかったことを思い出し、こういった直感的にわかるツールがあったら苦手意識なく取り組めたかもしれない…と振り返りました。
現場にタブレットを持ち込む方も非常に多くなってきていることからも、こうした手書きノート形式のツールの活用も広がっていく可能性も高いと感じました。

おわりに

6月のNew環境展の記事以来の「イベントレポート」でしたがいかがでしたでしょうか?こうしたオフラインのイベントに活気が戻ってきていることを、皆さんにお伝えできたかと思います。

今回のイベントでは、まさに建築の最先端と言える製品やサービスが多く紹介されていましたが、素晴らしい製品・サービスであるからこそ、これらがしっかりと現場・実務に実装され、多くの方の手元に渡ることが重要であると感じました。
ANDPAD ZEROとしても、個社単体での取り組みに留まらず、様々なパートナーと連携・協力し、建築業界に貢献していければと考えております。

最後に、ANDPAD ZEROのメンバーも多く登壇する、弊社のカンファレンスイベント「ANDPAD ONE CONFERENCE 2023」をご紹介させてください。
11月8~10日に、オンラインで開催されるイベントとなっており、3日間を「新築・リフォーム・不動産事業者様向け」「ゼネコン様向け」「専門工事業者様向け」と分けて様々なコンテンツをご用意しております。
一歩先の建設DXを体感できるイベントとなるよう準備しておりますので、ぜひ皆様お申込みいただきご視聴いただければ嬉しいです。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

※ β版での提供(2023年10月現在)


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