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ANDPAD図面のPMFについて

こんにちは、ANDPAD ZEROの石川です。
今回のnoteでは、私が担当している「ANDPAD図面」というプロダクトのPMF(プロダクト・マーケット・フィット)のプロセスについてご紹介します。

「PMFとは?」という内容については、以前の曽根勝の記事でも詳しくご紹介しているので、是非こちらをご覧いただいてから、本記事をご覧ください。

「ANDPAD図面」とは

まずは、「ANDPAD図面」というプロダクトについてご紹介します。
「ANDPAD図面」とはその名の通り、ANDPADの「図面」に特化したプロダクトであり、PDFデータの図面を登録することで、パソコンやスマートフォンを用いて図面上にペンやテキスト、図形、写真などの書き込みができる機能となっています。
また、図面上に書き込んだ内容をリアルタイムに他のメンバーへ共有できる点も特徴です。

PMFの第一歩、汎用的かつ必須性の高いユースケースの選定

建設業界において、図面は業務上欠かせない存在です。図面を起点とした業務の多さも、言うまでもありません。したがって、どの機能が本プロダクトで実行するのに最適か、求められているか、を特定することが肝要です。

そこでまず初めに、どういった機能が求められているのか、どういった課題が存在しているのか、建設業界の汎用的かつ必須性の高いユースケースを把握し、幅広いお客様に提供すべく調査することから始めました。

まず、調査を始めるために、既にANDPADの施工管理を契約いただいているお客様にご試用いただきました。様々な業種のお客様にご試用いただいた中で、各業種で利用度と満足度が高いユーザー(以降ファンユーザー)の方に、どのシーンやどのような業務で活用されているのか、ヒアリングさせていただきました。

その結果、各社におけるファンユーザーのユースケースとして、
・現地調査
・積算業務
・施工中の自主チェック(基礎アンカーチェックや金物チェック等)
・完工検査の記録
が挙がりました。

そこからさらに深掘りしていくと、挙げられたユースケースのうち、幅広いユーザーが必要とするケースと、そうでないケースがあることがわかりました。

例えば、現地調査や積算業務、施工中の自主チェックに関しては、個人によって業務の仕方が異なっていたり、同じ部署内でもやっている人とやっていない人がいる業務であったため、幅広いユーザーが必要とするユースケースではありませんでした。

一方で、完工検査は、業種に限らず、お客様の引き渡しの際に必ず行う業務であると共に、ファンユーザーのみならず、様々な部署の担当者が関与するため、幅広いユーザーにとって必要性の高いユースケースでした。

複数のお客様に従来の方法を伺ったところ、不具合事項を紙や写真に記入していたり、現地にマスキングテープを貼り付けて共有している、といった業務の非効率や課題も見えてきました。
また、現場監督だけではなく、営業や設計、品質管理、アフター部門、様々な部署を跨いで実施していたり、業種の種別を超え、必ず行っている業務のため、汎用的かつ必須性の高いユースケースであることも判明しました。

さらには、完工検査の業務を「ANDPAD図面」に置き換えることにより、完工検査の記録から是正依頼、是正確認までの業務が効率化すると共ともに、従来、紙で記録していた検査用紙よりも多くの情報を付与できることから、「ANDPAD図面」へ置き換える優位性も判明しました。

これらの調査の結果、「完工検査の記録を従来業務からANDPADの図面プロダクトを活用した方法に置き換えていく」という方針がANDPAD図面のPMFの最初のゴールとなりました。

ユースケースの深掘り

「完工検査の記録を従来業務から、ANDPADの図面プロダクトを活用した方法に置き換えていただく」
これを達成すべく、ファンユーザーのみならず、部署内で幅広く活用いただき、浸透させるため、ユースケースの深掘りをしました。

まずは、いつ誰がどのように従来の検査を行っているかといった業務フローを確実に把握した上で、いつ誰がどのように図面プロダクトを活用して検査を実施するかといったルール化をしました。

従来の完工検査の業務を見てみると、仕上げ物の不具合があった場合には不具合箇所に目印のマスキングテープを貼り付け、印刷した紙の図面に不具合箇所と番号、不具合内容を記載し記録していました。

その後、完工検査で記録した検査記録用紙を各協力会社の方に共有し、検査記録用紙をもとに各協力会社が是正対応をします。是正対応完了後、現場の担当者が是正後の確認を現地で行い、全て問題がなければ完工検査の業務は完了する、という流れでした。

社内展開と新たな課題

各社において、社内展開を実施する中で新たな課題も見えてきました。
その多くは、これまでの活用がファンユーザーのみであり、活用方法や活用範囲が限定的かつユニークであったため、顕在化されていない課題でした。

具体的な例で言うと、完工検査完了後、各協力会社へ不具合箇所の修正依頼に見えていない課題がありました。例えば、業者ごとに不具合事項を振り分けるダメ帳を作成していることや、業者ごとにマスキングテープの色分けをしているなど、会社内にも異なる運用方法やルールなどがあったのです。こうした課題は、社内展開をして、多くのユーザーに使っていただくことで初めて分かる課題でした。

プロダクトの改善と徹底した運用サポート

従来の検査方法の全てを図面プロダクトの機能へ実装させるためには、多くの時間を要します。
そのため、以下の3点に該当するものを優先的に開発するように進めました。
①検査業務遂行上、必須の機能であること
②運用方法によっても回避できない機能であること
③個社のみにならず、各社汎用的に必要とされている機能であること

上記を踏まえ、開発チームと一丸となり、プロダクトの改善を繰り返しながら、社内での活用定着に向けて取り組みました。

また、プロダクトの改善だけではなく、しっかり社内で運用いただくためのサポートも徹底しました。
実際の検査現場にお伺いし、操作方法を直接ご説明したり、個社の業務フローや活用方法に合わせ、操作方法のマニュアルを作成し、説明会を実施するなど、社内定着に向けて徹底的にサポートさせていただきました。

PMFからGTMへ

プロダクトの改善、徹底した運用サポートを繰り返し行うことで、複数社において、「完工検査の記録を従来業務から、ANDPADの図面プロダクトを活用した方法に置き換えていただくこと」に成功しました。つまり、『完工検査業務においてPMFできた』という状態になったのです。

以上、業務上必須性の高いユースケースの選定と探堀りの実施、社内展開による新たな課題の発見と改善、開発の優先順位付けといったPMFまでの道のりについて、お伝えいたしました。

プロダクトがPMFした後は、GTM(Go To Market)=そのPMFがスケーラブルか?を検証していくフェーズとなります。このお話はまた別の機会でさせていただければと思います。

最後に

今回は、ANDPADの図面プロダクトが完工検査業務にPMFするまでのプロセスについてご紹介しました。

正直なところ、弊社のプロダクトの改善やサポートだけではここまで到達することはできませんでした。今回の取り組みに対して、真摯に熱意を持ってお取り組みいただいたお客様のおかげだと思っております。

弊社だけでは業務や会社、業界をよりよく変化させることはできません。
お客様と共に寄り添い、歩んでいくことで、少しずつ、一歩一歩、より良い方向へと変化できることを改めて実感しました。引き続き、【建設業界No.1のDXパートナー】となれるよう精進していきます。

これからも、少しずつではございますが、建設業界に携わる皆様の業務をより効率的かつ拡張できるようプロダクトを開発してまいります。

ANDPAD ZEROの石川でした。
次回の記事もお楽しみに!


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