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3Dスキャンについてわかりやすく整理してみる(1/3回)

はじめまして!ANDPAD ZEROの藤田です。

ANDPAD ZEROの中では研究開発チームに所属しており、現在はiPhone/iPadを用いた3Dスキャンアプリを開発しています。私からは「3Dスキャンについてわかりやすく整理してみる」というテーマで、今後数回に渡りコンテンツをお届けします。

自己紹介

まずは自己紹介です。
私は大学で情報工学を学んだのち、受託のシステム会社に入社しました。そこで主に建設業向けの自社サービスの開発や大手ゼネコン様向けの社内システムの開発に従事しました。
その後、スタートアップを立ち上げ、サービスもある程度形になったため、フリーランスのエンジニアに転向しました。

アンドパッドには2022年6月からジョインしました。冒頭でも述べた通り、現在はANDPAD ZEROの研究開発チームとして、iPhone/iPadを用いた3Dスキャンアプリの開発を行っています。


開発中の3Dスキャナーアプリ

今回は3Dスキャナーがどのようにオブジェクトスキャンをしているかについて説明します。

そもそも3Dスキャナーはどうやってスキャンしてるの?

3Dスキャナーとして多くのデバイスが存在していますが、スキャン方式も様々です。おおざっぱにまとめると下記の図のようにまとめられます。

3Dスキャナーのスキャン方式の種類

まずはこれらについてかんたんに説明していきます。


接触式

接触式はセンサーや探針(プローブと呼ばれます)を直接物体に接触させて、接触点の凹凸から測定していく方式です。実際にオブジェクトにセンサー等を接触させながらスキャンしていくため、次で説明する「非接触式」と比べても精度が高くなります。

しかし、対象物にセンサー等を接触させる必要があるため、センサーが入り込めない入り組んだ形状のものはスキャンすることはできませんし、大きなオブジェクトのスキャンにも不向きです。
主に製造業での実績が多いようです。

Gage Max FaroArm


非接触式

非接触式は名前の通り、物体にオブジェクトにセンサー等を接触させることなくスキャンする方法です。現在、多くの3Dスキャナーで採用されています。
非接触式には大きく「光投影法」と「レーザー切断方式」の2種類のスキャン方法があります。

光投影法

「光投影法」は特定パターンの光をオブジェクトにあて、パターンの歪みや変化から凹凸を認識し測定していく方法です。

スピーディに、かつ、正確にスキャンすることができますが、光をあてるという特性上、明るい場所でのスキャンや透明や光沢のあるオブジェクトのスキャンには向いていません。
Japan3DPrinterのEinScanHXはこの方式です。

接触式と同様に製造業で主に使われている他、医療分野での実績もあります。
機器が照射する光によっては黒色のオブジェクトもスキャンできます。髪の毛等も問題なくスキャンできるため、人体のスキャンも問題なく行えるようです。

EinScanHX

レーザー切断方式

「レーザー切断方式」は物体にレーザー光を照射し、その反射をカメラで取得して測定していく方法です。

光投影法に比べて計測に時間がかかりますが、明るい場所でのスキャンが可能です。また、「光投影法」に比べ、光沢のあるオブジェクトでも詳細に計測できることも強みです。

iPhone12Proや、iPadProにはLiDARセンサーという3Dスキャン用のセンサーが搭載されていますが、こちらもこのレーザー切断方式になります。LeicaのRTC360やニコン・トリンブルのTrimbleX7もこの方式です。

TrimbleX7

これまで説明させていただきましたが、非接触式のスキャンはどちらも光を用いてスキャンを行います。そのため、光を反射する光沢のあるオブジェクト/鏡面のオブジェクトや、光を通す透明なオブジェクト、光を吸収する黒色のオブジェクトのスキャンは苦手とするようです。

スキャナーの種類について

前項の図でも示してますが、LeicaのRTC360やニコン・トリンブルのTrimbleX7は三脚を用いてスキャナーを固定してスキャンを行います。それとは対照的に、EinScanHXやiPhone/iPadはスキャナーを持ってスキャンを行います。

これらはそれぞれ「据え置きタイプ」と「ハンディタイプ」と呼ばれています。これらの違いについても少し紹介させていただきます。

非接触式スキャナーの種類

据え置きタイプ

三脚等を用いてデバイスを固定するタイプのスキャナーは「据え置きタイプ」と呼ばれています。
このタイプのスキャナーは「ハンディタイプ」に比べて高精度のものが多いです。その分価格帯も高く、数百万以上が相場となります。取扱いも難しいため、測量会社などが計測サービスを提供しているケースも多いです。

また、一度に広範囲をスキャンできるため、ある程度大きいオブジェクトのスキャンにも向いていますが、三脚でデバイスを固定するため、構造が複雑だったり、一度にスキャンしきれないレベルのオブジェクトの場合は取り扱いが難しくなります。

このタイプは現在建設現場では、土木工事や建築工事の測量で使用されています。また、近年では大規模改修時に建物全体をスキャンして、そのデータをもとにBIMモデルを作成してくケースも増えてきています。

ハンディタイプ

デバイスを手で持ってスキャンするタイプのスキャナーは「ハンディタイプ」と呼ばれています。「据え置きタイプ」のスキャナーに比べ安価に入手することができます。その分、精度が落ちますが、iPhone ProやiPhad Proに装着されたことで最も身近な3Dスキャナーとなっています。

このタイプは手で持ってスキャンしていくため、操作がとても簡単です。また、据え置きタイプではスキャンが難しいような複雑なオブジェクトのスキャンも比較的容易ですが、一度にスキャンできる範囲が狭いため、広範囲をスキャンするのに時間がかかる問題もあります。

まだまだ新しいタイプのため、建設現場での最適な用途については試行錯誤が続いている状態と言えます。その意味で、非常に面白い領域と言えます。

次回のコンテンツについて

今回は3Dスキャナーのスキャンの仕組みについてご紹介させていただきました。
次回の私のコンテンツでは、3Dスキャナーを利用しないオブジェクトスキャンについてご紹介させていただこうと思っています。

それでは次回の更新もお楽しみください!藤田でした!!

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