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ニュース✔︎:ウクライナ大統領のドイツでの演説の報じられ方から見る日本の報道、福島第一原発の地震被害

ウクライナ大統領のドイツでの演説

 日本の報道を見ていて、本格的ににまずいなと思うことが増えたのは、バイアスのかかった報道が多いというよりも、その出来事の真ん中を骨抜きにしたような、脱色した報道を見る機会が増えたからです。NHKに顕著ですが、他も多かれ少なかれ似たようなもので、これは社会全体が「無難」「事勿れ」にやり過ごそうという雰囲気に支配されていることの表れだろうと感じています。

 最近驚いたのは、ウクライナのゼレンスキー大統領のドイツ議会での演説の報道でした。その前日のアメリカでの演説は、繰り返し、アメリカ大統領、議会の皆さん、アメリカの皆さん、と呼びかけて、「価値観」を前面に出し、それをまもることの大切さを強く訴える内容で、感情を揺さぶり、動画で見ていて思わず目が潤んでしまうようなものでした。
 次のドイツはどうなのかな、と思って動画配信を見ていたら、全然内容が違ってびっくりしました。DW英語放送のライブで、解説の記者も演説始まる前は、どんな内容か楽しみです!という雰囲気だったのが、演説が終わった後は、顔色が変わっていました。

 その内容はどういうものだったかというか、日経のファイナンシャルタイムスの翻訳記事に概要が書いてあります。

 私が受け取った印象も同じで、ドイツがロシアとずぶずぶの関係でお金をせっせと流し、そのお金でロシアはウクライナを攻撃する戦費にして、そのせいでウクライナの子供が死んでるんですが、相変わらずあなたたちは動こうとしないで、見ないふりをするんですか? と言う痛烈なものでした。

 実際問題、ドイツはシュレーダー元首相がロシアの原油国営企業の重役に収まっていたり、その人脈で政界の元重鎮みたいな人たちが国営企業の重役についていたりするそうなので、たんに経済的な関係が深いというだけではないつながりを持ってきたのだろうと思いますし、ウクライナにしてみれば強い不快感を抱いて当然だと思います。
 演説の間も、アメリカの時とは対照的に終始険しい表情を崩さず、憤りを伝えようとしているように見えました。

NHKの伝え方にびっくり

 その後夕方にNHKのニュースを見て、二度びっくりしました。

 そんなこと言ってたっけ?
 確かに、間違ったことは書いていないのですが、画面越しに伝わってきたゼレンスキー大統領の憤りと、それを聞いているドイツ側のバツの悪そうな、気詰まりな様子(あまりに気詰まりなせいか、DWの英語同時通訳がうまくできず、後から再度通訳を入れ直した録画映像を流していました)、そういう肝心なものをすべて抜いて伝えているので、全体の趣旨がまるで違うものになっているように感じます。

 ああ、いまの日本の報道は、こんなふうに肝心の「骨」を抜いて伝えるようになってるんだな、と改めて感じたところです。NHKニュースは、外部の専門家にばかり解説をさせているのも、あれだけの大きな組織に解説できる人材が全くいないとは思えず、そうした人を意図的に使わないとか、喋らせないとか、組織内で使ってもらえないポジションに置いたり、そうでなければ職場を去るような内情になっているのではないでしょうか。

 本当に、海外報道を見ることができるようになっていてよかったなと思いましたが、国内については、国内報道機関が伝えるしかなく、それも同様に、波風立たせないように口あたり柔らかいように骨が抜いてあるのでしょうから、福島関連もあの報道、あの解説になるのも至極当然、と納得もしました。

福島第一原発の地震被害

 先日の福島県沖地震の福島第一原発の被害は、タンクがずれたり、廃棄物のコンテナが崩れるなどの被害がありました。まだ今後明らかになる被害もあるのではないかと思います。

 この廃棄物の保管コンテナは、収束作業に用いた防護服など放射性廃棄物が入っているものとのことです。これは、以前の記事でも書いていますが、処分方法が決まっていないため、処分さえできないで野積みにされている問題です。

 規制委員会は、敷地内に埋設保管する選択肢を提示しているようです。このコンテナは一部で腐食も進んでいて、中身の放射性廃棄物が漏れるなどのトラブルも頻発しているのです。
 明らかになんとかしなくてはならない状態なのですが、いつまで放置するのでしょうか。

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