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にほんのかいしゃとあめりかのかいしゃ

「日本の会社とアメリカの会社」

皆さん、こんにちは!20卒の🐧安藤と申し上げます。
就活時は外資系や日系の金融/IT/コンサル業界を受けてました。
その志望業界の関係か、最近よくTwitterで「WTF!?アメリカ企業なら〇〇なのに日本は…shit!」や「日本の大企業はこれだからイケてない!ブランド人になれ!!」などと日米の企業や採用に関するものを多く見かけるようになりました。

ですが、実際アメリカの企業の特徴はおろか、日本企業に関してもあまりどのような特徴があるのか、殆どの人がイメージでしか知らないのではないでしょうか?
そこで今回はアメリカの企業と日本の企業の特徴を断片的にですが、簡潔にご紹介したいと思います。(導入がヘタクソ過ぎて辛い…)
少しばかり堅苦しい内容ですが、目を通していただけると幸いです。
なお、当然ながらテーマ的に主語がデカい話になります。全体としての傾向と捉えてください。例外はほどあります。


【アメリカ企業と財務的統治】

1920年代、海外展開や多角化を積極的に行っていたデュポン、GM、ニュージャージースタンド、シアーズなどの大企業は事業部制を取り入れ、分権化を推し進めるようになりました。地域や事業内容ごとに分権化されているため、本社と各事業部との繋がりは弱く、意思決定が定量的・財務的指標にはるかに依存しやすくなります。各事業部の業績をより適切な手法で評価するためには、コストや生産量、売上などの正確で統一的なデータを得る必要があるからです。(ROIやデュポン分析がデュポン社から生み出されたのもこういった背景があるからです)そのため、財務部の権限が非常に強まり、経営にも大きな影響を与えるようになっていきました。一方、部署別採用の都合から人事部は各ビジネスユニットごとに設けられ、本社人事部は極めて小規模で発言権の弱いものへとなっていった。
ちなみにこの流れは1970年代のストックオプション制度の導入でさらに加速します。人事担当役員はストックオプションパッケージ設計に必要な財務知識を有しておらず、役員報酬決定や外部経営者募集などの場でのCFOの影響力が益々大きくなったからです。こうして、アメリカ企業では人事部が弱体化し、財務部が力を強めてきました。当然ながら、財務部にとって重視すべきは企業価値の向上であり、従業員はコストと見なされます。

-アメリカ企業とスペシャリスト-

アメリカの企業は各事業部と本社の繋がりが弱く、財務指標に基づいた統治が行われていため、M&Aによる事業の入れ替えや急速なコスト削減を目的とした大量レイオフが頻繁に行われるようになりました。その結果、外部人材市場が発達し、アメリカではどこの企業でも活躍できるスペシャリストとしての働き方やスキル養成が一般的になりました。人材は外部市場から調達してくるものという認識なので、当然ながら社内教育には日本ほど力を入れません。よく日米の大学生活や就職活動の違いがツイッタランドで話題になりがちですが、この観点から見てみると面白いかもしれませんね。

【日本企業と非財務的統治】

一方で日本企業は本社集権的であり、各事業部との繋がりも強かったため、非財務的な本社統制方式が取られるようになりました。具体的には、本社の人事部が企業内の人事情報ネットワークを醸成し、内部昇進や転勤配属の管理を行い、経営にも大きな影響を与えるようになっていきました。実際に多くの日本企業で人事部での経験は経営トップのキャリアに優位だと考えられていましたし、組合との協力的な関係を維持してきた組合幹部に敬意を払い、取締役に取り立てる企業も少なくありませんでした。労使関係がドライで敵対的であるアメリカでは考えられないことでしょう。

90年代中頃までメーンバンクシステムが機能していたこともあり、日本はアメリカのような株主主権主義(財務部発言権大/大量解雇)の経営を迫られることなく、ステークホルダー重視もとい従業員主権(人事部発言権大:長期雇用維持)の経営を取ってきました。その結果、内部での人材育成による他社にない独自の製品や製法に特化した戦略へと発展したという見方もあります。従業員をコストと見るか、資源と見るか、今の日本企業はどちらの色合いが強いんですかね…後者であってほしいものです。

-日本企業とジェネラリスト-

M&Aが常套手段化したアメリカと異なり、日本企業は技術やノウハウを合併買収でなく内製化することを好む傾向があります。また無関連事業は子会社に分社化(スピンオフ)し、出向や雇用政策の企業間調和などによって子会社との連携を維持してきました。このように日本企業は出向を通じた解雇(レイオフ)回避をすることで終身雇用や年功序列を守り、インターナルな人材市場を形成してきました。
そのため、日本企業では企業内のどこであっても活躍できるようなジェネラリストとしての働き方やスキル養成が一般的になりました。そのような背景から給与基準も外部人材市場でなく内部市場で調整するため、平等で横並びなものになりがちだと言われてます。※諸説あり。諸説あり過ぎてアリになりそう🐜


【ここ20年ぐらいでの変化】

さて、実はこれらは1990年代までの話であり、現在は両国とも大きく変化しています。

1997年、日本にストックオプション制が導入され、日本は企業価値をより重視するようになりました。今や終身雇用制や年功序列制が今後維持されていくと信じている就活生は激減しましたし、大規模レイオフやM&Aを新聞で見ない日は無くなりました。
日本はこのまま従来の従業員を重視する経営からアメリカ式経営へと移行していくのでしょうか。日本の強みだった独自の技術伝承やジェネラリスト育成、それらを支えてきた高等教育機関の役割などは今後どのように変化していくのでしょうか…あらゆるものが絡み合っているため、様々な分野への影響が芋づる式に生じます。イイトコ取りはそう簡単にはいかないのです。

一方、アメリカも株主重視の「GREED IS GOOD」を猛進し続けているわけではなさそうです。アメリカでは経営効率化の名のもとで雇用主から従業員へのリスク移転、内部留保と一般社員から経営役員と株主への企業資源配分先の移転という「分配ルールの変更」を進めてきましたが、2001年のエンロン事件を機にこのような株主主権主義への批判が強まり、内部資源重視へと変わりつつあります。(資源ベース論が普及した背景の一つです)
また、皆さんご存じのようにESG投資やサスティナブル経営への関心もヨーロッパを中心に高まりつつあります。

100年以上の間、日本とアメリカ、それぞれ部門間レベルで価値観の綱引きが行われており、その中で様々な要素が相互に補完しネッチョリ絡み合っていることを少しでもご理解いただけたのではないでしょうか。

今回は人事部と財務部の綱引き合戦やジェネラリスト/スペシャリスト採用の背景というなるべく理解しやすい部分のみに焦点を当てて書きましたが、140字以上の文を書く不慣れさ故に分かりにくい部分も多々あるかと思います。拙文で誠に申し訳ありません。精進致します。

もし疑問や意見、感想がある方はDMにてお待ちしています(^^)
お読みになって頂きありがとうございました。

🐧安藤
(3000字)

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