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食生活は「暮らしへの意識の高さ」の象徴だから

第6回 動物性食品から植物性食品へ「食生活を変えた」30代・40代女性のインサイト

and Insight株式会社 戦略インサイトリサーチャー® 窪谷衣里子

今回のInsight

食生活を変えた私。自分の中では結構、意識が高いライフスタイルを送っていると思う。あえて人には自慢しないけれど「食事に気をつけて丁寧なライフスタイル」を送っている自分はちょっと自慢。
SDG's、サステナブル・・・地球にやさしくあるための1つの取り組みとして、動物性食品を取らないことは良いこととして謳われている。食生活を変えるのは、自分を大切にしている自分を感じるため、食生活は暮らしへの意識の高さの象徴だから

本音を言えば、食生活を変えても劇的な変化はないし、日々年齢を重ねていることは実感している。でも、今の自分ができる努力をしているのだから、5年後10年後、同世代の人よりも生き生きとしている自分がきっといると信じていたい。

調査レポート

【調査概要】
調査目的:動物性食品から植物性食品へ食生活を変えた30代・40代女性のインサイトは何か?
調査手法:1x1 デプスインタビュー
対象者:半年以上継続して動物性食品から植物性食品へ移行した食生活を送っている 34歳・41歳・41歳女性(N=3)

プラントベースフード』 
耳にされたことがある方も多いと思います。
「動物由来の原材料ではなく、植物由来の原材料を使用した食品」のことを指します。近年、動物由来の食品についても「代替品」が多く出るようになってきました。大豆ミートや、大豆や小麦から作られたチーズやバター、豆乳やオーツミルクなどを見かけた、もしくは実際に食べられている方も多いのではないでしょうか。

これまで動物性食品を摂取する食生活を主にしてきた人達が、植物性食品へと食生活を大きく変えるということは何かの理由があるはず。
今回は「動物性食品の摂取を抑え、植物性食品を中心とした食生活」にシフトした女性についてレポートしたいと思います。

1.植物性食品の摂取状況

日本における現在の植物性食品(プラントベースフード)摂取の実態についての調査を引用します。
「プラントベースの情報サイトVegewel」が、2023年1月に実施した『第4回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査』【2,418人(男性1,213人・女性1,205人)(20代480人・30代482人・40代484人・50代486人・60代以上486人)】によると

「ご自身が取り組んでいる食生活はありますか?」との質問に対し、今回23年1月の調査ではベジタリアンが4.5%、ヴィーガンが2.4%、グルテンフリーが4.3%、無添加・オーガニックが8.3%、マクロビオティックが2.4%、ファスティングが3.3%、低糖質・糖質制限が13.0%、ローフードが3.1%となりました(複数回答可)。

「意識して肉や魚など、動物性食品を減らすことはありますか?」との質問に対し、今回23年1月の調査では26.1%が「ある」と回答しました。
前回調査(21年12月)の19.0%から7.1%ポイント上昇しました。

『日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel』

意識的に動物性食品を減らす人が25%を超え、じわじわと日本でも動物性食品を減らし、植物性食品への意識が高まっていることがうかがえます。

2.食生活をシフトする前はどんな食生活だったのか

食べることが好きで、これまで大きな病気をしてきた経験もなく、体調を崩すことも少なかった健康な女性。
20代までは、食べたいものを好きなだけ食べても、特に体調に支障が出ることもなく、「大好きなステーキは毎週!」など食べたいものを気にせず食べる生活。
食べることが好きなので、食事は日々頑張っている自分へのご褒美。ご褒美だから我慢はしない。我慢をして健康に良いものを食べるなら、食べない方が良いし、むしろ美味しいものを食べた方が元気になれる!とこれまで思ってきたタイプの方も多いようです。

3.食生活を見直すきっかけ

自分の食べたいものを食べていた20代を経て、30代になってくると様々な体調の変化を感じてきます。

例としては
・妊娠出産を経て何となく不調が抜けない。
・何だか風邪をひきやすくなった。
・ちょっと加齢臭?が気になる・・・
・最近お肉を食べると体が重く感じる。

確実に20代の頃と体が変化している気がする、これが年齢を重ねるということなのか・・・?
年齢を重ねる怖さを感じつつ、何とか抗いたい、今のうちに少しでも老化を食い止めたいという思いがわいてきます。

とはいえ、何から気を付けたら良いのかわからず、まずはネットやテレビの情報番組でヒントを探す日々。
膨大なネットの情報の中でも、信頼できそうな記事(自分が見知っている企業のサイトや、医師の名前が出ている記事)を見て、どうやら自分の不調には『食事の見直し』が良さそう、という思いになっていきます。

具体的には
加齢臭や皮脂臭の理由は、動物性脂肪が原因だとネットやテレビで見た。肉を調理した後の油がなかなか取れないことも、体の血がドロドロになりそうで体に悪い影響を及ぼす原因になりそう。
食肉を育成する過程での薬品が人間の体に良くないとネットで見た。
・お腹を壊しやすく、腸活を考えた。腸活のために食事を調べていくうちに、動物性食品と植物性食品のメリット、デメリットを知るようになった。思い起こすと風邪で食欲がなくお肉が食べられなかった時にお腹の調子が良かったような気がするため、自分にはお肉が合わないのかもしれない、植物性食品を取り入れてみようか・・

動物性食品が体に良くない影響を与えそう
→植物性の代替食品があることを知り、取り入れてみようという思いに至ります。

4.具体的な行動

「植物性食品」に挑戦しようとすると、まず手に取るのが大豆製品の食品。大豆ミート、厚揚げ、豆腐、豆乳あたりから取り入れる方が多いようです。
昔からある厚揚げや豆腐はまだなじみがあるけれど、大豆ミートは初めてのチャレンジ。「お肉の代わり」として見てしまうため、お肉とのギャップに対して違和感を感じることも・・・。
特に、家族に自分と同じメニューを出しても、初めての食材でいつもと違う食事にちょっと不評。何とか食べてもらいたい、自分も本当はまだ慣れないけれど頑張って続けたいと思い、味付けを濃くして食べやすくするという工夫も見られます。(塩分も本当は気を付けたいけれど、まあ仕方ないか・・・と妥協している様子も)

具体的な植物性食品の使い方としては
・お肉のステーキの代わりに「豆腐ステーキ」
・大豆ミートの味があまりおいしくないため、「煮込みハンバーグ」「酢豚」のような味付けがしっかりしている料理で大豆ミートを使う
・麺類のトッピングとしてひき肉炒めの代わりに大豆ミートを使う
・牛乳の代わりに豆乳、バターの代わりにマーガリン

時には、子供と自分のメニューを別にしてそれぞれの料理を作る、という努力もし、家族によってメニューを変えたり、食べやすくするように味付けを工夫をしたり。

ちなみに、動物性食品=肉という認識であり、魚も動物性食品に理論上は入ると理解しているけれど、感覚としては別物で、植物性食品に近いような、自然由来の食品のイメージを持っています。
肉は無理やり食べるために加工された人工的なイメージと比較し、
魚は自然の恵みをそのままいただいているから、体にもやさしそう

5.食生活を変えた結果

今回、継続期間は5年以上前から、2年前、半年前と期間はまちまちでしたが、共通して言えるのは「劇的な変化はない」ということ。
何となく体が軽くて朝起きやすいような、体調が安定したような気がする時もあるけれど、食生活のおかげなのかは実はイマイチよくわからない。
味付けを変えたり、時間をかけたり、何とか植物性食品を食べようと頑張っているのに、努力に見合った良い変化が出ないことに不満に感じている様子も。
とはいえ、食事に気を配らない自分には戻りたくない
なぜなら、食事に気を配っている自分は、『自分をきちんと見つめ丁寧に暮らしているような気がする』から。
丁寧に暮らしている自分は、きっと周りの人より意識が高いと思える気がして満足できるから。
何よりも「私は健康に気遣えている人」と思えている心の状態が大事。

食生活を変えたことは実は自己満足だけなのかもしれない、と言いつつも、きっといつか同世代の人と大きく差がついて若々しくいられる、という未来へのほのかな期待が見えたインタビューでした。

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