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チョコレートの作り方

一番シンプルなチョコレートはカカオの木の種であるカカオ豆とお砂糖から作られます。
簡単に言ってしまえばチョコレートとはカカオ豆とお砂糖を細かくして固めたものなのですが、ただ細かくするだけはでなく、美味しいチョコレートができるには途中の化学変化も欠かせません。
ということで、今回はカカオ豆とお砂糖からのチョコレートの製法にふれてみましょう!

1.焙煎

原料となるカカオ豆は発酵・乾燥の後、表面に種皮がついた状態で輸入されます。
まずこれを、種皮がついたままロースターに入れて100~140℃で煎ります

カカオ豆の中の糖類、有機酸、アミノ酸、フェノール類などの風味の前駆体が加熱によって変化し、様々な香りの成分が生まれ、味の変化ももたらします。
また焙煎すると皮が取れやすくなり、中も割れやすくなります。
焙煎は風味の大部分を作る大切な工程のひとつで、メーカーは豆の特徴をよく分析して焙煎をしています。

ちなみに家庭ではフライパンかオーブンなどでも焙煎出来ます。
ただし火の通り具合の見極めや美味しい風味を引き出すことの難易度は高めです…
焙煎前には水洗いするところもあれば、高温の水蒸気で殺菌するところもあります。また、先に豆を大きめに砕いて内皮を取り除いてから焙煎するニブローストという方法もありますが、先に説明した豆ロースト法が主流です。

2.分離

種皮はチョコレートに使わないので中身から分離します。
焙煎後のカカオ豆を粗く砕いてバラバラにして風選機にかけると、風や上向きの気流が軽くて薄い種皮だけを吹き飛ばしてくれます。
こうして種皮が取り除かれたカカオ豆はカカオニブと呼ばれます。

家庭でやりたいときは手でひとつずつ種皮を剥いてください。無心になれます。笑

3.摩砕

種皮を取り除いたカカオニブをすりつぶしてペースト状にします。
ペースト状に変わったカカオニブはカカオマスと呼ばれます。

カカオニブは半分以上が油分なので、すりつぶすだけで結構どろどろになります。
特に規模の大きくない場合などでは、摩砕と微細化は分けずにレファイナー(後述)だけにかけて精練に移ることも多いです。
もちろん、一般家庭にそのような機械はないと思いますので、おうちではすり鉢で根気よくペースト状にしましょう!(最初だけ強めのフードプロセッサで砕いてからだと楽ですが、弱いものだと刃が折れます。)

4.微細化

複数のロールを組み合わせたレファイナーという機械で、引きちぎるようにしてカカオの粒子を細かくします。
ざらつきを感じない境界が20μmと言われているので、滑らかなチョコレートを作るにはこれより細かくします。ここでまたペースト状から粉状に変わります。

5.精練

コンチェと呼ばれる機械でカカオマスをよく練ります。
練る力で粉状のチョコレートからカカオバターが滲み出して粘土状に、そして粒子がカカオバターに覆われてやわらかい生地になります。
このようにカカオマスを滑らかにする物理的変化に加えて、摩擦熱によって水分や酸・揮発性の高い香りを飛ばす化学的変化も同時に起こります。

お砂糖もここで加えて、チョコレートを数日かけて練ります。メーカーによって練る時間や砂糖を入れるタイミングなどが違いますが、舌触りと風味の変化の具合が理想的なバランスになるように、それぞれよく考えられています。

6.調温

テンパリングとも言って、チョコレート中の油、カカオバターの結晶を整えるために結晶の融点付近に温度を下げて少し上げる工程です。
これをしないと表面がでこぼこして白くなるブルームが起こりやすくなり、舌触りや香りが落ちるので、美味しいチョコレートには必須の工程です。

チョコ作りのみならず、チョコを使ったお菓子作りでも、一度溶かして結晶がほどけたチョコレートを固める前はしっかり温度を測ってテンパリングをするようにしましょう。

7.充填

チョコレートの型にテンパリング後のチョコレートを流し入れ、気泡を抜くように振動させます。
型はモールドと呼ばれていて、プラスチックやシリコン等で出来ているものが主流です。

8.冷却

チョコレートを冷やし固めるときに、低い温度で急激に冷やすとカカオバターが融点の低い結晶になって室温でもすぐに溶けてしまうようなチョコレートになります。
そのためゆっくりと冷やすようにするほか、冷却途中で少し温度を上げて調節する工場もあります。

これが固まったら、型から外してチョコレートが完成します。


カカオからチョコレートへ

姿かたちの違うカカオ豆とチョコレート、その間でカカオ豆がどのような変化を辿っていたのか想像していただけましたか?
私達が普段よく見ているのは既になめらかにされて型の形に整えられたチョコレートばかりなので原料のカカオ豆にはどこか想像力を働かせにくいところもあります。
作り方を知ることでカカオ豆への親近感が少しでも上がりましたら嬉しいです!

実際に工場などでは立派な機械で作っていますが、カカオ豆(カカオニブからでも!)をネットかチョコレートショップの店舗で買ってきて、あとはすり鉢さえあればおうちでもチョコレート作りが体験できるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

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