ときのそらミニアルバム『My Loving』私的レビュー

はじめに

このnoteは、VTuber事務所「ホロライブ」に所属するバーチャルアイドル[ときのそら]さんのミニアルバム「My Loving」を聴いた衝動でTwitterには収まり切れなかった感想を、レビューと言いつつ主観で書き綴っただけの文章です。低レベルな内容ですが暇つぶし程度になれば幸いです。

2020年3月4日にビクターエンタテインメントからリリースされた、[ときのそら]さんの2ndアルバム「My Loving」

既に多くの方がnoteにて記事を執筆されていて、Twitterでもハッシュタグ「#MyLoving聴いたよ」で多くの感想が投稿されています。

尚、2020年3月6日時点で手元には「初回限定版」が1枚・「通常版」が2枚ありますが、レビュー対象は通常版を対象としております。まずはアルバムの物理的な部分を見ていきたいと思います。

※以下、敬称略。

アルバムジャケット

今作のアルバムジャケットは、ピンクを基調とする春の雰囲気を纏った外見となっており、[ときのそら]のバストアップ写真もピンクと白の衣装で纏められていることで、このアルバムの内容が明るく楽しいものであることが伝わってくる。ネット上の表現を借りれば「可愛いが過ぎる」。

その為当方のようなオッサンの場合、実店舗でCDを手に取って会計まで持っていくには、ほんの少しの勇気と覚悟が必要になるかもしれないが、今の時代は通販もダウンロード販売もあるので問題はない。一切を気にすることなく「可愛いが過ぎる」を堪能することが可能である。

アニメイト渋谷店で購入させて頂きました

歌詞ブックレット

ジャケットと同じくピンク系の色で統一されたブックレットは楽曲の歌詞とクレジットが掲載されているのみというシンプルな内容だが、Special Thanksとして記されている内容が非常に重要であろう。このアルバムは「大好きが詰まった宝物」なのだから。

次からはメインとなる楽曲をレビューしていきたい。

01. Equation of Love

アルバムの顔となる1曲目は、明るくポップな「Equation of Love」。

曲調がかなり元気で溢れていて、これからの春の季節にちょうど合うようなわくわくする曲となっており、非常にストレートなラブソング。

演奏も心地よく、特にリズム隊(ドラム・ベース)が「わくわく感」を演出していて、曲のイメージを伝えやすくしている。

歌声の表情も「恋愛途中のドタバタも楽しんでいる」感じが伝わってきて、[ときのそら]の中にある好きという感情はこんな感じと言われているようで、「My Loving」というアルバムタイトルに相応しい曲だと思う。

02. Wonderland

本アルバムから最初に公開されたMVでもあるリードトラック、「Wonderland」。

メルヘンチックな曲調の1番の歌詞の内容は、「活動開始からこの2年半は奇跡のような日々だった」と歌っているようにも聞こえる。これは彼女からそらとも(ときのそらのファン名称)へ向けた感謝の気持ちが込められているのではないだろうか。

商業的に考えれば、次の曲「サヨナラブロッサム」や「刹那ティックコード」という選択肢もあっただろうが、この「Wonderland」がリードトラックに選ばれたのは曲に込められた意味があったからだと思う。

穏やかではあるがリズミカルな演奏に乗った彼女の歌声は、アルバムの中で最も和やかな雰囲気が感じられる。

03. サヨナラブロッサム

6曲入りミニアルバムの3曲目、時代が時代なら「A面最後のトラック」となる曲は、3月という季節の別の側面である別れを感じさせる「サヨナラブロッサム」。

メロディーとピアノの音が、桜の舞い散る卒業シーズンという情景をいとも簡単に描写してくるが、歌詞の内容と演奏が曲の芯を通っている為、悲しげではあるが「前向きな決意」が聞こえてくる。

また、歌詞の中に[ときのそら]と彼女のこれまでの物語を連想させるような単語が少ないことで、歌唱表現の幅がまた一段と広がったことがハッキリと判る。

自身の物語性という背景に頼らずとも、その歌声で聴く人間の心に影響を与えるよう、更なる進化を促したこの曲は、アルバムの中でも強力な色を放っている。より簡単に言えば[ときのそら]を知らない人にも刺さるであろう。

04. 刹那ティックコード

B面最初のトラックに相当する4曲目は、[ときのそら]と同じVTuber事務所「ホロライブ」に所属する戦友[AZKi]とのユニット「SorAZ」初のデュオ曲である「刹那ティックコード」。

マイナーキーで疾走感のある激しめの曲調に[ときのそら]と[AZKi]二人のクリアでそれぞれ特徴のある歌声が乗り、ドラマティックな曲に仕上がっている。某所であれば「処刑用BGM」のタグが付くような、アニメやゲームの勝ち確シーンで挿入されるような曲と言えば雰囲気は伝わりやすいと思う。

[ときのそら]のオリジナル曲としてはかなりメロディアスHR/HM色が強く、こういう曲も得意とする[AZKi]とのデュオ曲ともあってか、歌声の表情も格好良さや切れ味を帯びており、新たな一面を"開拓"している。

05. フレーフレーLOVE

2019年10月6日、[ときのそら]1stワンマンライブ『Dream!』で初披露された曲で、「下しか向けない状況でも、自然と自分で前を向きたくなる」ような、優しい力強さを湧きあがらせてくれる「フレーフレーLOVE」。

メロディアスなイントロから一転して足元を支えてくれる演奏と心を支えてくれる歌声は、甲子園の応援歌として採用されても不思議ではない曲調である。

ワンマンライブ直後にリリースされており、今日までのイベントやライヴで目にする機会も多かったので彼女のステージパフォーマンスと併せて聴くのが当たり前という感じもするが、CDに収録されている音源は今の[ときのそら]から未来の[ときのそら]への応援のようにも聞こえてくる。

06. ゆっくり走れば風は吹く

今回のアルバムのラストを飾るのは、「ゆっくり走れば風は吹く」。

タイトルの通り、少しずつ暖かくなり始めた小春日和の青空の下をゆっくり走り出したくなるような曲調で、アルバム最後の曲だが既に3rdアルバムが見えてくるような感じもする。

「サヨナラブロッサム」とは対照的に、この曲は「ときのそらの物語」が背景となっており、彼女の足跡を振り返りつつこの先も歩みを止めずに進み続けて行こうと歌っているように聞こえる。

そしてこの曲に込められた「仕掛け」は、彼女の物語が背景にあるからこそその物語を知っている人間を一撃で貫いていく。noteやTwitterで多くの方が「反則」と述べているその仕掛けが気になる方は、彼女の2年前の様子を見てみるのも良いかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=wGNJ-wILHas&t=


アルバム全体

収録曲は6曲であるが、起承転結がはっきりとした作品として完成されていると思う。

1曲目にアルバムの方向性を提示する曲を置き、2曲目にリード曲、アルバム全体のサビとなる中盤には感情を揺さぶる曲と昂らせる曲を配置して、終盤はテンションの上がる曲で締めるという、良く見られる曲配置である。

一例として、METALLICAのアルバム「Master of Puppets」が思い当たった

演奏も非常に聴きごたえがあり、名前を聞けば納得できる素晴らしい演奏家の方々がそれぞれの曲、アルバム全体に作品としての説得力を与えている。

ミニアルバムであっても、[ときのそら]の作品としてリリースする意気込みと言うか、ビクターエンタテインメント及びアルバム制作関係者各位の真摯さが伝わってきたことに、心からありがとうと言わせて頂きたい。

おわりに

乱筆・乱文・支離滅裂な内容にも関わらず、お付き合い頂きましてありがとうございます。以降は完全に主観からの感想です。

約1年振り、2枚目のアルバムですが「My Loving」は確実に「ときのそらの物語」のマイルストーンとして打ち立てられた作品だと思います。曲調が全て異なる楽曲を様々な歌声の表情で彩り、そして確実に[ときのそら]は「進化を続けているという事実」を一番解りやすい形で示していると思います。

今後も「ゆっくり走っていく」であろう、そらちゃんの物語のその先を見続けて行きたい。本当に素敵なアルバム、ありがとうございました。


Appendix.1

「Wonderland」と「刹那ティックコード」は2020/2/15日(土)アニメ・ゲームフェス NAGOYA 2020のVTuberステージDAY1『ときのそら & AZKi』にてライブで聴いていたため、特別な思い出がある曲です。

CDで改めて聴いて、「もう一度ライヴで聴きたい」と強く感じました。[ときのそら]の真骨頂は、リアルな会場でリアルな聴衆を前にしたステージパフォーマンス時に発現すると実感したのもいい思い出です。

また、「ノンストップストーリー統一衣装の中で、一人だけ黒衣装だったAZKi」とのユニット「SorAZ」の活動にも期待しています。ステージ上で対になるような配色、狙ってたとしか思えないですよね。

2020年に入ってから頻繁に「全国ツアー」という単語が出てくる回数が増えているのも、期待し過ぎてはいけないと理解しているものの、やっぱり色々考えが巡ってしまいます。

Appendix.2

刹那ティックポーズ

個人的に「刹那ティックポーズ」と勝手に命名させて頂いているこの立ちポーズ、シビれますね。またライヴで見たいです。