アクティベーションロックの解除に四苦八苦した話(+Appleサポートの情報連携体制への不信感)

2020年4月中旬。
私は父から「もう使わないから」とiPadAir2を譲り受けた。

新しいもの好きな父は、80歳。
Androidタブレットをはじめ、様々なガジェットやWebサービスを使いこなしている人だ。
パスコードやAppleIDはきちんとメモされていて、iPad本体と一緒にパスワード帳もくれた。保証期間が過ぎているため、レシートは捨てたそうだ。
父のiPadにはアプリはほとんどインストールされておらず、ほぼ購入初期状態のままだったが、私は初期化を実行することにした。

初期化ができない

iPadを初期化する場合、「設定」から「すべてのコンテンツと設定を消去」するが、これができなかった。
原因はすでにApple IDがロックされていたから。父が私に譲る前、何回かパスワードの入力を間違えてしまったらしい。
そこで私はiForgotでApple IDの復元を試すことにした。

父はGmailのアドレスを使ってApple IDを作成していたが、まずGmailにログインできない。
メモに書かれた通り入力してみるが、「パスワードが間違っている」と表示されてしまい、2ファクタ認証や他のメールアドレスの紐付けも設定していなかった父のアカウントは完全に使い物にならなくなっていた。
そして、知っての通りGoogleにはAppleサポートのような公式への問い合わせ窓口が存在しない。

次に、秘密の質問2つでの解除を試みるが、これも失敗。
父がパスワード帳に書き込んでいた「質問と答え」の組み合わせが「一致しない」と表示されてしまう。
ひらがな、カタカナ、漢字、全角、半角……一字一句間違いなく入力する必要があるため、ノートに書いた「答え」自体は正しくても、何かが少しずつ間違っていたのだと思う。

Apple IDのロックが自力で解除できなくなってしまったため、私はAppleサポートに電話をすることにした。
オペレーターによると、この現象はアクティベーションロックというものらしい。

オペレーターは最後までサポートすると言ってくれたし、神サポートと名高いAppleだから、サポートの言う通りにやっていれば大丈夫だろう。
……このとき、私は本気でこう思っていた。

ーーここから1ヶ月半も高ストレスな対応を迫られるとは思ってもみなかったのである。

結論:アクティベーションロックの解除には、レシート+販売店スタッフの名刺やサインがあると良さそう

これだけは言わせてほしい。
レシートは、保証期間が切れてからも決して捨てるな。そして購入直後、その場で販売したスタッフの署名と捺印をもらった方がいい。

アクティベーションロックが解除されるまで、本当に大変だった。
私の場合最終的に解除されるまでに1ヶ月半もかかってしまったし、その間にAppleサポートへの電話は5回もしている。
ちなみに普段は他人のミスや仕事の遅延に寛容な筆者だが、5回の電話のうち2回はキレているし、その度に不信感が増していった。
いつも穏便に済ませようとし、企業とバトルになった時は何度か泣き寝入りも経験している筆者としては珍しいことだった。

そんな大変なストレスを抱えることになった原因である「アクティベーションロックの解除申請」だが、最終的に解除申請が通った時のポイントは、以下の点だと私は考えている。

1.解除申請者の名前は「Apple IDの持ち主である父でも、譲り受けた私の名前でも、どちらを入力しても構わない」とオペレーターに言われていたが、Apple IDの持ち主である父の名前を入力した
2.レシートにiPadシリアル番号が記載されていなかったため、レシートに名前が載っている販売店スタッフにシリアル番号を追記してもらい、署名捺印してもらった
3.2の対応をして下さった販売店スタッフの名刺をレシートに添付した

なぜこんなにも手続きが難航したかの詳細は後で書いて行くが、最大の原因はAppleが解除申請に必要な書類の詳細を意図的に伏せているからだと思う
Appleサポートは最上級スタッフの「スペシャリスト」を含め、アクティベーションロックの解除に必要な書類の要件を知らないというのだ。

スペシャリスト曰く「私もなぜかはわからないが、解除申請に必要な書類の要件を公開すると、それを悪用して不正に解除申請をする輩がいるから非公開にしているのだと思う」とのこと。
だがそれで本当の持ち主も解除できないような事態になるのは、いかがなものなのか……。

この記事を書くにあたり「アクティベーションロック 解除できない」というワードでネサフをしまくったが、不正を働く輩への対抗手段により、なくなくアクティベーションロックを解除できずApple製品を文鎮化させている正規の持ち主も少なくないようだった。

また、顧客からの追加問い合わせや、情報連携に対する姿勢にも疑問がある。
スペシャリストへの追加問い合わせについては留守電を聞いたスペシャリストが、スペシャリストの都合で折り返し電話をすることで成り立つが、それでは仕事や学校都合で電話ができない人は多い。
後述するが、スペシャリストからの電話に出られなかった顧客から折り返しの電話をすると、新しい担当者を割り振られてしまい、問題が振り出しに戻ってしまう上、前の担当者から情報が引き継がれないという致命的な問題もある
このあたりについては電話で直接Appleサポートに改善を要求したが、今頃どのように扱われているのだろうか……。

では、次からは私がどのように対応していって、最終的に解除できたのかを語っていこうと思う。

※結論(アクティベーションロックを解除申請を通過するためのポイントと考えられる点)は先に申し上げたので、ここから先は補足状況となります。
同じ状況の方の助けになればと思います。

Appleサポートに頼る

2020年4月22日、18:30頃。
Appleサポートに電話し、ガイダンスに従って「iPadに関する質問」の窓口に繋いでもらった。
この時は比較的早く、7分程度でオペレーターに繋いでもらうことができ、ここで現在自分が直面している問題についてオペレーターに伝えた。

・父のiPadを譲ってもらい、初期化をしようとしたらApple IDへのサインインを求められた
・サインインしようとしたが、Apple IDがロックされていた
・iForgotでApple IDの復旧を試したが、すべての方法で失敗した
・Apple IDへのサインインができないこと以外に不具合は起きておらず、通常通りiPadは使用できる
・「iPadを探す」機能がオンになっていて、オフにするのにもサインインが求められる

この3点を伝えたところ、「アクティベーションロック状態にある」と伝えられた。
アクティベーションロックについて、Appleではこう説明されている。

アクティベーションロックがかかっていれば、たとえ第三者の手に渡ってしまってもデバイスは安全に守られ、取り戻せる確率が高くなります。たとえ持ち主がリモートでデバイスのデータを消去したとしても、第三者が持ち主の許可なしにデバイスを再アクティベートすることはできません。この機能は、「[デバイス] を探す」をオンにし、自分の Apple ID とパスワードを覚えているだけで活用できます。

紛失や盗難から個人情報を守るための機能だそうで、アクティベーションロックの解除には、手続きと審査が必要だということだった。

アクティベーションロック解除申請#1

オペレーターによると、アクティベーションロックの解除申請は、購入時のレシートを写真に撮り、別途メールで送られてくる解除申請フォームから提出すると、今現在のスケジュールでは8営業日以内に審査結果が届くということだった。

レシートにはiPadのシリアル番号が記載されている必要があるということだったが、記載がなければレシートの余白に自分で手書きしても構わないという。

また、解除申請者は、Apple IDの主である父でも、iPadを譲り受けた私の名前でも、どちらでも構わないと。

父に確認すると、「購入時のレシートは保証期間外になって捨ててしまっているから、購入したコジマ×ビックカメラに再発行を依頼してみる」という。
父がコジマの責任者に問い合わせると「ポイントカード(本人でなく家族が行く場合は+委任状)があれば再発行します」と言われたそうで、私は委任状を作り、父にサインをもらって店舗に向かった。

実際にコジマの店舗へ行くと、父の認識とは少し話が違い、「レシートの再発行はできないため、代わりに購入履歴証明を印字します」と言われた。
渡された購入履歴証明には以下のものが書かれており、私は「ほぼレシートじゃん」と感じた。

・購入年月日
・対応してくれた店員名
・品名
・金額
・支払い方法
・ポイントカードの所持者(父)の名前
……etc.

一般的なレシートのようなお店のロゴやシリアル番号の記載はないものの、他に必要だと言われた内容は揃っているし、これで父がiPadAir2を購入した証拠は提示できると思った

私は購入履歴証明を持ち帰り、言われた通り余白にシリアル番号を記載した。
申請フォームの入力欄(名前や購入店舗の情報、この申請フォームにたどり着くまでにどんな経緯を辿ってきたかなど)をすべて入力し、写真を添付して申請完了。
2020年4月23日の20時頃のことだった。

審査落ち#1

2020年4月29日。
オペレーターが言っていた通り、8営業日以内に審査結果がメールで届いた。

が、審査には通らなかった
これはその時の実際のメール。

スクリーンショット 2020-08-21 11.31.17

この通り、何が不足していて審査に通らなかったのかはメールには記載されていなかった

アクティベーションロック解除申請#2

ここで再びAppleサポートに問い合わせ、審査に通るにはどうしたらよいのかを質問。
すると通常のオペレーターでは対応できないと言われ、10分ほど保留で待たされた後に「スペシャリスト」と名乗るSさんが「解決までしっかりサポート致します」と電話に出た。

Sさんは、一番最初にAppleサポートに電話した時のやりとりをもう一度私にしてきた。
正直、「なんでログみないのかなあ。記録残しておくって言ってたじゃん」と、この時点から嫌な予感がした。

面倒な繰り返しのやりとりが終わると、Sさんは「購入時の他の書類を探してほしい」と伝えてきた。
購入時の書類は提出したもの以外になく、これ以上は用意できるものがないと伝えると「申請フォームをもう一度送るので、前回とは入力内容を変えて試してみてください」と。

私はこの回答に納得がいかなかった。
何か不足の情報があったから審査に落ちたのであって、フォームに入力する値を少しいじったところで審査が通るのか?と。

この疑問をSさんに伝えたところ、彼女はこう答えた。
審査については担当部署が判断することなので、こちらではわかりません(笑)」と。しかも半笑いで。
つまりAppleサポートはアクティベーションロックの解除に必要な情報を把握していないのである。

嫌な予感MAX。担当部署に繋いでほしいと言うと「それは絶対にできません、そういうルールなので」と断固拒否。
ここはSさんの言いなりにならず自分の頭を使わないとまた審査に落ちるぞと思い、私はSさんに「私、最初の申請の時に自分の名前をフォームに入力したんです。父でも私でも、どちらの名前でもいいとオペレーターさんが仰っていたので。それがいけなかったんですかね? 父の名前なら審査が通るんでしょうか?」と尋ねた。

するとSさんは「そうかもしれませんね! 一度その方法でやってみて頂いていいですか?」と、なんとも不確定なお話をなさる。
これ以上Sさんと話しても無駄な気がするため、審査にかかる日数を聞いて電話終了。
Sさんに繋がる電話番号が書かれたメールが送られてきて、何かあればここに電話をするように言われた。

Sさんは審査は2〜3営業日あれば終わる(GWも営業中)というので、「本当か?前回より6営業日も少なくなってるぞ?空いたのか??」と思いつつ、申請フォームに入力する名前を、今度は私ではなく父の名前に変更して申請をしてみた。2020年4月29日。2回目の解除申請である。

審査落ち#2

2〜3日の営業日が過ぎても、Appleから審査についてのメールは届かなかった。
「やっぱりSさんの言ってた2〜3日は嘘じゃん」と思い、仕方なく最初のオペレーターが言っていた8営業日まで待つことにした。

しかし8営業日を過ぎてもメールは届かない
2020年5月9日の正午。我慢の限界を迎え、Sさんから届いたメールに書かれているSさん直通の番号に電話をした。
正直もうSさんとは話したくないのだが、面倒な確認行為をされるくらいなら……と思った。

Appleサポートのスペシャリストと連絡をとるには必ず、サポートを受けたい人が電話→常時留守電の番号にメッセージを入れる→担当のスペシャリストが留守電を聞く→折り返すという流れになる。
その場でスペシャリストが電話に出る、ということは絶対にないそうだ。

しかし翌日の5月10日になっても折り返しの連絡は来ない
面倒なので留守電をやめてiPadの窓口に電話をしてSさんから折り返しの電話がないためこちらから電話したと伝えると、別のスペシャリストのOさんが登場

Sさんに2〜3日の営業日で審査が完了すると聞いたが、審査についてのメールが届かないこと、そしてSさんから折り返しの電話がなく不誠実に感じることを伝えると、Oさんは丁寧に謝罪してくれ、現在の審査状況を確認すると言ってくれた。

審査状況を確認すると、実は既に審査には落ちていて、まだ連絡が届いていなかったらしい
これまた審査に落ちた理由は不明で、何の資料を追加すれば良いのかはわからないという。

ここで私はちょっとキレたのだが、OさんはSさんと違い、半笑いのような対応はしないし喋り口調も丁寧な方だったため、静かにキレるに留めた。

そして、もうこちらに打つ手はないことを伝え、このiPadを下取りに出して新しいiPadを買う資金にできないかと打診してみた。しかし、やはり盗難品対策のためのアクティベーションロックがかかっている端末を買い取ることはできないという。

しかしOさんは「これまでの履歴を拝見して、たくさんお電話して頂いたり、店舗に出向いて資料を集めて下さったりしているのがわかります。こちらも最後までできることをさせてください」と言ってくださり、新しい案を2つ提示してくれたのだった。

1つは、レシートの代わりとしてコジマからもらった「購入履歴証明」に、追加情報を加えたものをコジマに発行してもらうこと。
手書きでも構わないので、追加情報として加えてみてほしいのは以下のものだと言われた。
・シリアル番号
・販売店名
・販売店住所
・販売店電話番号
・販売店のロゴマークシールなど
・販売店スタッフの署名、捺印
・販売店の角印

もう1つは、以前のマニュアルに載っていた方法で、スペシャリストのOさんが「アクティベーションロック解除専門部署」に連絡をしてみるというもの。
こちらは「以前のマニュアル」になるため、そもそも審査にこぎつけることも難しいかもしれないということだった。

私は正直、どちらの方法もアレだなと感じていた。
コジマがお金にならないことに労力を使ってくれるかはわからないし、Appleが「以前のマニュアル」の方法を許すとは到底思えなかったからだ。

しかしOさんが真摯に対応してくれたため、私は私でコジマにかけあい、Oさんには以前のマニュアルによる方法もお試しいただくということでお願いすることにした。

Oさんからは「5月中に必ず電話します」と約束してもらうことができ、やはりSさんの時と同様、Oさんの留守電番号がメールで送られてきたのだった。

コジマ×ビックカメラとの交渉#1

Oさんからの連絡を待つ間、私は教えてもらった通り「シリアル番号を機械印字してもらう」「以前もらった購入履歴証明に、お店のロゴや住所、電話番号などを追加してもらう」ための交渉をすることにした。

まず店舗に電話をし、「以前そちらで購入したiPadを修理に出したところ、購入履歴証明以外に用意してほしい資料があると言われたので、詳しい方とお話させて頂きたい」とお伝えした。

すると保留ののち、担当者などが特にいなかったのか、電話をとった人が戻ってきて「どのような資料が必要ですか?」と尋ねられた。

そこで私は「購入履歴証明には店舗の住所や電話番号、iPadのシリアル番号が載っていなかったため審査に通らなかったようです。Apple社も審査要件を開示していないため、サポート担当者の憶測によるものとはなりますが、そのあたりの情報が必要なようです」とApple社の要求する書類がどのようなものであるかはサポート窓口も知らないということを強調してお伝えした。

するとコジマ店員も「Appleのサポートも書類要件がわからないんですか…?」と不信感MAX。そうですよね……。
こちらが困っていることを理解していると共感してくれたうえで、「でもコジマでシリアル番号を追記することはできません。シリアル番号は、コジマが発行するレシートや保証書には一切載らないんです。シリアル番号はApple社のみが知りうる情報であり、コジマでは控えていないので証明するものがありません」と、店員は言った。
そして「以前お渡しした購入履歴ではなく、もっとしっかりとした書面が必要な場合は、手数料や本人確認書類の提出が必要です。それでも絶対にシリアル番号は載りませんが……」とも。
手数料はなんと1000円……。新しくiPadを買うよりはずっと安いが、「もっとしっかりした書面」にも結局シリアル番号が載らないと考えると、無駄な出費になりそうだ。

なんてこった。
Appleはシリアル番号をレシート等に印字しろというけれど、販売店はシリアル番号なんてAppleしか知らないというではないか。

どうしようもなくなったため、「Appleには、コジマさんではシリアル番号を印字することはできないと言われたとお伝えします」と言って電話を切った。

Appleからの謎のメールが届く

コジマから「シリアル番号は載せられない」と回答された件についてはOさんから電話がかかってきた時にお伝えしようと思い、ストレス要因となるAppleサポートとは離れて日々暮らしていた。
これ以上有効そうな書類が用意できず諦めモードになっていて、Appleへの問い合わせが面倒になっていたのである。

すると2020年5月20日。Appleサポートからの謎のメールが届いたのだった。

スクリーンショット 2020-08-21 11.33.04

これが実際の文面。
電話をかけろという内容のみ記載されており、Appleの要件がさっぱりわからない
お問い合わせ番号は「アクティベーションロックの解除方法」について問い合わせた時に付番されたものだから、それ関連のものだというのはわかるけれど、「こちらから連絡します」といったOさんの話と結びつかない。

最初のスペシャリストSさんの時もそうだったが、Oさんもやってくれたのか? なかなか失礼じゃないかね? まさかのAppleを語る詐欺メールか? それにしてはお問い合わせ番号がリアルすぎる。

そんな風に思いつつ、メールに「電話番号は以下のURLにて〜」とあるため、そこに記載されている番号に電話した。
留守電に入れて折り返しを待つ、という工程が面倒だったこともあるし、以前教わったOさんへの留守電番号ではなく、メールの案内通りに連絡してみた

保留状態で10分ほど待つと、スペシャリストではなく通常のオペレーターが電話に出た。
「問い合わせ番号●●について電話をしろとAppleサポートからメールが届いているのですが、差出人が不明です。私にメールを送った人を呼んでください」と伝えると、「誰が送ったかはわからない」とオペレーターは言う。

以前スペシャリストのOさんが私に電話をかけてくると約束してくれていたからOさんではないかと伝えてみるが、それもわからないと。

また10分保留にされた後、オペレーターが戻ってきて「ログを調べたところ、たしかにスペシャリストのOが5日後の5月25日に私様にご連絡を差し上げる予定を組んでいるが、今回のメールを送った者が誰かはわからない」と言った。
え? そんなの調べればわかるじゃん、天下のAppleさんだよ。ITリテラシーの低い会社ならともかく、あのAppleですよ……。

ここで私はまた静かにブチギレた。
「電話をしろとメールをしておきながら、電話をしたらこのように扱うとは何事ですか? 私の元に届いたメールはApple社を語る詐欺メールでしょうか? それにしては問い合わせ番号など正確すぎるのですが」と伝えると、オペレーターは「ログに残っていないから分からない」と連呼。

「あなたでは話にならないのでスペシャリストの方をお願いします」と伝えると、オペレーターが引っ込んでまた15分程度保留。
また別のスペシャリストのTさんという方が電話に出た。

例のごとく、ログをみながら最初の問い合わせの内容をいちいち確認。私は今回、とにかくメールの差出人と要件を知りたかったので「今はそんなことはいいからメールの差出人と要件を教えてほしい」と伝える。

するとTさんは「メールの差出人や要件を正しく把握するためにもログを見る時間をください」と。15分も保留にしておいて、その間にログを見ていなかったと……。
「この電話に出る時にオペレーターから何を聞きましたか? どこまで内容を引き継いでいますか?」と尋ねると「私はオペレーターから電話を代わってほしいと言われたから代わっただけで、内容は知れされていないのです」と言う。

すべてが面倒になり「この問題について新参者の方が関わると、解決が長引きそうなので、Oさんと代わってほしい」と伝えるが、「私スペシャリストのTが一度電話に出てしまったので、Oは担当には戻れません」と。
Appleサポートのシステムとして、一度スペシャリストが交代してしまうと、前回の担当スペシャリストに担当してもらうことができなくなるというのだ。

そんなことは一度も聞いたことがなかったので、「それを知っていたら最初からOさんを呼んでくれと頼んでいた。このケースについてご存知のOさんを呼んでほしい。今日がお休みなら別の日でいい」と伝えたが「それはシステム上無理です」の一点張り。

ゴネればなんとかなるかもと思い、その後もあの手この手でOさんに繋げてもらおうとしたが、Tさんは「無理です」としか言わない。
……Oさんは退職したのだろうなと思った。

「じゃあ5月25日にOさんが私に伝えようとしていた内容は何なのですか?それはわかりますよね?」と聞いたところ「Oが何を連絡しようと計画していたのかは分からないです。それを私から回答することはできかねます」とTさん。

え、なんでだよ??

「じゃあ、Tさんが横槍を入れたせいで担当から外れてしまったOさんですが、5月25日になったら予定通り私に連絡をくれるのでしょうか? それともうっかりTさんが電話に出てしまったせいで5日後の連絡も水に流されるのですか?」と私が意地悪く尋ねると、Tさんは「それはO個人がどう判断するかによります。連絡するかもしれないし、担当から外れたことで連絡しないかもしれないです」と言った。

あろうことか、Appleサポートは担当が変わる際にきちんとした情報共有をしないし、個人の采配で仕事ぶりが変わってしまうと、職員自ら暴露してしまったのである。

結局その場ではAppleからの謎メールの差出人も、なぜ電話をかけろと催促されたのかという理由も分からなかった
きちんと社内で確認して連絡をしてほしいと伝え、折り返しの電話を待つことにした。

ーー折り返しの電話は30分程度でかかってきた。
Tさんいわく「メールの差出人は結局分からなかった。もしかするとアクティベーションロック解除の専門部署かもしれない。そしてOが伝えようとしていた内容は『Oが試した以前のマニュアルに沿った手続き方法では申請が通らなかった』というもので、私Tではなく、以前の担当のOが引き続き対応をしていたとしてもアクティベーションロックは解除されなかった。だからなんとかコジマに書類を出してもらってほしい」という内容だった。

ここで「コジマは、シリアル番号はAppleしか知り得ない情報だし、シリアル番号を印字するような書類を用意することはできないと言っている」と突きつけると、Tさんは「それなら、本体や箱に印字されているシリアル番号をコジマに見せ、記載してもらってはどうか」と提案してきた。
コジマが書けないと言っているのはそういう問題ではなく、あなた方が頑なにアクティベーションロックを解除しないのと同じ理由だと思うのだが……。

とにかくこちらも一度説明して断られていると言うと、「では私様がコジマの店員さんとお話している時に電話をくれたら、私がコジマの店員さんにご説明します」との提案が。
しかし現地に行き、担当者を呼んでもらって、保留状態で10分以上待たせるAppleに電話するのはコジマの店員に対して迷惑だ。この提案は断り、いまこの瞬間、私をコジマ店員だと思って必要な書類について説明してくれとお願いした。
するとTさんは「私どもも要件は知らないのですが」と前置きした上で以下の情報を追記したら審査に通る確率が上がるかもと言った。

・シリアル番号
・販売店名
・販売店住所
・販売店電話番号
・販売店の印鑑
・販売店のURL

Oさんが言っていたものよりも少なくなっているが、ほぼ同じ内容だ。
最悪シリアル番号は買いてもらえなくても、その他の情報ならなんとかコジマも対応してくれるかもしれない……。

私はAppleと戦うのを諦めた。

コジマ×ビックカメラとの交渉#2

本当にごめんなさいの気持ちで、再びコジマに電話。
今回は担当者がいたようで、責任者らしい人が電話に出てくれた。

「Appleのサポートを受けるために、前回頂いた購入履歴証明に、あれとこれを追記していただきたいんですけど……本当にごめんなさい……」と電話すると、「そうですか、ではご都合の良い時にご来店いただき私を呼んでください」とあっさり了承された。
ちょっと拍子抜けしたが、「ありがとうございます! では明日お伺いします!!」といった私はこのトラブル対応の中で一番希望に満ち溢れていて元気だったと思う。

翌日店舗に行くと、なんと昨日対応してくれた担当者は休み。挙句、誰も私が来店することになっていたことは知らなかった。
20分ほど待たされ、「ああ、今回もだめなんだ」と思っていたところ、なんと父がiPadを購入したときにレジを操作していた店員さんが登場。この方の名前は、購入履歴証明にも記載されている

「当時私が販売したものなので、私が対応させていただきます」と笑顔で登場した店員さんの笑顔が眩しすぎた。
4年も前に購入したものなのに、異動も退職もせず、あなたが同じ店舗にいてくださったことの奇跡よ。と私は噛み締めていた。

事情を説明し、店員さんには手書きで以下の項目を追記してもらった。
・販売店名、住所、電話番号(これらは一体型の店舗のスタンプで対応)
・機種名
・シリアル番号(iPad本体でご確認いただき書き写してもらう)
・購入費
・店員さんの署名・捺印

そして最後に、「それでも何かあった時のために」と店員さんは名刺をくれた。

何度も「ありがとうございます」を連呼し、私はAppleに解除申請をするべく帰宅した。

アクティベーションロック解除申請#3

先ほど店員さんに追記してもらった購入履歴証明と、もらった名刺をセットにして写真を撮った。
まずはこれで申請に必要な書類の画像は作成完了だ。

次に申請フォームへの入力。
これは案内通りに情報を入力しておけばいいが、ここで私はとにかく「申請者は父である」というところを強調するようにした。

まず、申請者の氏名は、譲り受けた人ではなく、譲った人の名前を入力。
最初のオペレーターには「譲り受けたあなたでも、譲ったおじいさんの名前でも、どちらでも構わない」と言われたが、「譲り受けたあなた=窃盗犯?」という図式を立てられないようにした。

メールアドレスは、父のAppleIDに紐づいているメールアドレスが使えなくなっていたため、私のアドレスで入力した。

そして他の項目を入力していき、最後に購入履歴証明と名刺の画像を添付して申請完了だ。

それからは何もAppleから連絡はなく、今回は解除されるだろうかと日々悶々としながら過ごしていた。

そして申請から11日後。
Appleから、無事にアクティベーションロックを解除したというメールが届き、iPadが初期化できた。

スクリーンショット 2020-08-21 12.17.51

結局、何が決め手となって申請が通ったのかは最後までわからない。

店員さんに直筆署名や名刺を頂いたことかもしれないし、それが偶然にも販売当時に担当してくださったのと同じ方だったからうまくいったというだけかもしれない。

もし「販売当時に担当してくださったのと同じ方だったから」という理由なら、その店員さんが退職していたり異動になっていたりしたら、アクティベーションロックを解除できずに終わっていたかもしれないわけだ。

Appleサポートのオペレーターやスペシャリストも、それぞれで指示内容が異なっており一貫性はなかったし(父の名前でもあなたの名前でも、どちらでも良いと言ったと思ったら、別の担当者は父の名前のほうがいいかもといったり)、「かもしれない」「もしかしたら」「確かなことは言えないが」などの予防線を張る言葉が多く、対応されるこちらは大変なストレスであった。
今回の記事では省略したが、何度も問い合わせをする中でAppleサポートには再三「消費者はそのような不確定な要素は求めていません。確実な情報を求めます」と伝えてきたので、神サポートと名高いAppleサポートがさらなる改善をして、「主神級サポート」とでも呼ばれる日が来ることを望みたい。

アクティベーションロックの解除申請が通らず困っているという、正規のApple製品の持ち主が、みな私と同じ対応方法で解決するかはわからないが、何かヒントになれば幸いである。

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