#30daybookschallenge
SNSで流行っている#30daybookschallengeをやってみました。
Day1 シリーズの中のお気に入り本
「ギヴァー 記憶を注ぐ者」 シリーズ 第二巻 「ギャザーリング・ブルー 青を蒐める者」 ロイス・ローリー
児童文学ですが近未来の「理想的な」コミュニティの欺瞞、より良い世界を目指すキャラクターを描いたディストピア小説で一番クオリティが高いと思っています。
「ライラの冒険」第二巻 「神秘の短剣」 フィリップ・プルマン
私たちの住む世界の人殺しの少年が異世界の少女と旅をする巻。一巻より断然ハードボイルドで好きです。
Day2 好きな作家のお気に入り本
「独りでいるよりやさしくて」イー・ユン・リー
中国生まれ中国育ち、大人になってアメリカに渡り英語で小説を書き始めた作家イー・ユン・リーの長編小説。鋭い観察眼と構成力、流麗な文章を併せ持つ作家です。人をよく観察している作家だと思います。
1989年、天安門事件の年。反権力運動に身を投じていた大学生が被害者となった毒物混入事件を核に、事件に関係した高校生たちの人生を描いた作品。読後も何日か引きずる作品でした。他人の干渉を徹底的に拒む冷酷で強い主人公の造形に惹かれました。昔の中国の風景の描写も美しい。作中あるキャラクターがアメリカ人とする「ドクトル・ジバコ」についての会話は「革命がすべての人々を幸せにするわけではない」のメタファーかな。
Day3 読み終えなかった本
「犬は勘定に入れません」コニー・ウィリス著 kindleあり
ドゥームズデイ・ブックは面白くて一晩で読んだのに続編の本作はどうも冗長でページをめくる手が進みませんでした。
Day 4 覚えている子供の頃に読んだ本
「ぼくはくまのままでいたかったのに」
イエルク・シュタイナー
熊が人間の生活を強要され、アイディンティティクライシスに陥る絵本。作中の家具がモダンで憧れました。
Day5 お気に入りの古典/名作
「フランケンシュタイン」メアリー・シェリー kindleあり
世界最初のSF小説とも言われる本作。フランケンシュタイン博士に作られた「怪物」の拒絶されつづける悲しみと彼の理路整然とした知性が印象的でした。博士が全部悪い。構成が意外に凝っていて面白かったです。古さを感じませんでした。Kindleで無料で読めます。
Day 6 打ちのめされた本
「青い眼が欲しい」トニ・モリスン
大恐慌時代のアメリカ中西部を舞台に、白人の容姿に憧れる少女の一年間を描いた小説。主人公は自分の不幸の原因が白人の美の基準にそぐわない自分の容姿にあると思い込み、青い眼になれるよう祈り続けます。父親からの強姦により精神に異常をきたし、「青い目になれた」と信じ込むもののより青い目になりたいと想像上の友人と会話します。
短い作品ですが、打ちのめされました。他人が自分の見た目に期待する姿に沿って生きようとしてはならないと思った本です。
Day 7 ロードトリップのお供にベストなオーディオブック
「オン・ザ・ロード」ジャック・ケルアック
オーディオブック聞きながら旅したことないですが、なんとなくこれはやってみたい。
Day 8 おすすめのシリーズ
「ライラの冒険」 フィリップ・プルマン
人間がダイモンと言われる自分の魂をした姿の動物と共に生まれてくる世界を舞台にした、嘘つきな少女が誘拐された親友を探しに行き権力の陰謀に巻き込まれる冒険譚。たった三部作!二巻では私たちの世界の人殺しの少年とチームアップします。 実写化されたHBOドラマ ダーク・マテリアルズもAmazon PrimeのHBOチャンネルで配信中!
Day 9 贈り物として渡したくなるお気に入りの一冊
「刑務所図書館の人々 ハーバードを出て図書館司書になった男」アヴィ・スタインバーグ
厳格なユダヤ教徒の家庭に育ち、ハーヴァード大を卒業した後刑務所図書館の司書を務めた著者のノンフィクション。刑務所の中の事情や受刑者とのやり取りを通して変わっていく著者の内面、アメリカのユダヤ教の若者の暮らしも知れる一冊。
Day 10 読めば幸せで涙が出る本
「ひげねずみくんへ」アン・ホワイトヘッド・ナグダ
小学四年生の女の子が小学2年生のサウジアラビアからの転校生と授業でペアを組むことになり、「ねずみ」になりきって手紙を書く絵本。登場人物が来ている服、ピアスやネズミ型クッキーの絵が可愛くて子供の頃好きでした。
Day 11 一緒にディナー/一杯飲みたいキャラクター
「銀河ヒッチハイクガイド」の銀河ヒッチハイクガイド改訂版を作成する現地調査員の宇宙人、フォード・プリーフェクト。宇宙の話を聞きたい。Don't Panicとタオルは大事と人生に最も重要なことを教えてくれたキャラクター。
Day 12 嫌いな”人気”本
「海賊と呼ばれた男」 百田尚樹
単純につまらない 人の説明描写に時間を割きすぎしかもその描写が死んでる 金とインクと木の無駄
Day 13 タイトルに色の入った本
「ホワイト・ティース」 ゼイディー・スミス
第二次世界大戦で共に戦った白人イギリス人とバングラディシュ人、二人の男の友情とそのジャマイカ人の妻、子供たちの成長を2世代にわたって膨大な知識で描いた小説。最後の疾走感が好きです。ゼイディー・スミスは人の情けないところを突き放さずに書くのが抜群にうまいです。それも中年男のずるさと怠惰、思春期の自己愛の欠如から引き起こす恥ずかしい出来事まで多岐に渡ります。
Day 14 新解釈版のおとぎ話
なし
Day 15 読めば悲しさで泣いてしまう本
「ドゥームズデイ・ブック」コニー・ウィリス kindleあり
SF兼時代小説。過去への時間旅行が可能となった世界、史学生が実習の一環として疫病が蔓延する14世紀のイングランドに送られる話。同時に現代でも疫病が流行り始め… それぞれ疫病に立ち向かう人々、どんどん失われる命。主人公の全力を尽くす姿に感銘を受けました。映画化されるならキヴリンはメイジー・ウィリアムズ、ダンワージー教授はマーティン・フリーマンのイメージ。
「カイト・ランナー」(君のためなら千回でも) カーレド・ホッセイニ
アフガニスタン出身、アメリカ在住の作家による1975年ごろのカブールで裕福な家庭に育った主人公と使用人の子の友情、と後悔を持ちながらアメリカに渡り大人になった主人公の生活を描きます。アフガニスタンの激動の歴史を背景にした物語であり、主人公の贖罪の物語です。過ちを犯した時どうすればいいのか、人として強くなるとはどういうことか考えました。
全然関係ないですが私の好きな俳優リズ・アーメッドも過去カイト・ランナーの舞台に立ったことがあります。
Day 16 二回以上読んでいる本
「ペーパータウン」ジョン・グリーン 密かに憧れていた幼馴染みが、自分と奇行に及んだ次の日行方をくらました。卒業式の日、仲間と共に彼女が残した手がかりを追い車で旅に出る。疾走感が好きです。ケルアックのオンザロードが好きなら多分好き。
Day 17 タイトルに人の名前が入っている本
「パイの物語」(Life of Pi) ヤン・マーテル
動物園を経営していた家族とインドからカナダに移民する途中、船が難破し、虎と漂流した少年が語る物語。主人公はヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教を信仰しておりそれが作中大きなキーワードとなります。映画より宗教を巡る話が多く、主人公の語ること全てがメタファーのような作品。読んだ人と語り合いたいです。
読んだ人向け、PhD持ちのギャングスタラッパー設定のYoutuberによる書評・結末の解釈。コメント欄も必読です。
Day 18 好きな著者が故人の本
「銀河ヒッチハイク・ガイド」ダグラス・アダムス kindleあり
自分が今抱えている問題は宇宙規模で考えればどうでも良いと思える、とにかく笑えるSF小説。
Day 19 ナレーターの声が好きなオーディオブック
なし
Day 20 物語の語り手が信頼できない本
「悪童日記」シリーズ アゴタ・クリストフ kindleあり
「僕たちは見たこと全てをノートに書き留める」戦時下のヨーロッパのある国、祖母に虐待されながら生きる双子の兄弟の物語。主人公たちが悲惨な出来事に一切悲しまず、ひたすら無感情に生きようと試みます。このシリーズは一読の価値ありです。
Day 21 とても好きなアンソロジー本
「地球の中心までトンネルを掘る」ケヴィン・ウィルソン kindleあり
九井諒子のファンにおすすめの少し・不思議で逸脱した人々を描くアンソロジー。内気でプラモデル製作が趣味のチアリーダーと近所の発明好きの年下の少年の淡い恋を描いた「ゴー・ファイト・ウィン」がお気に入りです。
Day 22 LGBTQであるラブストーリー本
「荊の城」サラ・ウォーターズ kindleあり
お嬢様と彼女を騙して財産を奪おうと召使としてやってきたスリの少女の恋愛。最初互いを見下していた二人の感情が愛に変わっていく廟所が見事。From enemy to loverものの傑作です。 下巻の展開が怒涛。韓国映画「お嬢さん」の原作。映画と全く違うのですがこちらもおすすめです。
Day 23 暗記している本の一節
「良い人と悪い人がいるんじゃなくて、良い行動と悪い行動があるだけなんだ。天性は変えられないけど行動は変えられる。」ライラの冒険 琥珀の望遠鏡より ウィル・パリー
Day 24 二人以上の著者が共署した本
「よい移民」ニケシュ・シュクラなど kindleあり
「彼らは多様性を議論する 僕はそれを生きている」70年代以降生まれのイギリス人の移民二世・3世、ミックスの著名なクリエイター21人のエッセイ集です。
好きな俳優リズ・アーメッドも「空港とオーディション」で寄稿しています。
Day 25 実は好きな作中の悪役
「坊ちゃん」の赤シャツ kindle無料版あり
坊ちゃんって絶対老害になったよなと読みながら思っていました。作中主人公にボロクソに言われる同僚の教師、美術と文学に詳しく礼儀正しい赤シャツの方が友達になれる気がする。このガサツな主人公と繊細で端正な「こころ」を書ける漱石の振り幅がすごい。
Day 26 おすすめの伝記
「ペルセポリス」マルジャン・サトラピ
70年代から80年代、イスラーム革命、イラン・イラク戦争などのイランを生きる聡明でパンクな少女の日常を乾いたユーモアで描いた著者の伝記コミック。フランスに亡命し、イランに里帰りした続編もとても良いです。
Day 27 毎年読んでしまう本
「ライラの冒険」シリーズ フィリップ・プルマン
年によって受け取り方が変わる。最初に読んだ時と自分がどれくらい変わったか確認のために読んでいる節がある。
Day 28 まだ読んでいないけど読みたいと思っている古典/名作
「白い黒人」/Passing ノラ・ラーセン
1929年出版のデンマーク人とアフリカ系アメリカ人の間に生まれた著者による小説。幼なじみの混血の女性、一人は白人と結婚し白人として生き、もう一人は黒人医師と結婚し黒人として生きる二人の関係。レベッカ・ホール監督、テッサ・トンプソン、ルース・ネッガ主演、アンドレ・ホランド、アレクサンダー・スカルズガルド出演で映画化されるので楽しみ。(撮影は2019年に終了済み)
Day 29 気に入っている本の表紙
「スノウ・クラッシュ」ニール・スティーブンソン
連邦政府が機能せず、各地で都市国家がフランチャイズ経営される近未来のアメリカ。主人公の高速ピザ配達人兼フリーランスハッカーのヒロ・プロタゴニストは、使用すると電脳空間と現実世界の肉体両方にダメージを与えるコンピューターウィルスをめぐる事件に巻き込まれていく。プリント基板をイメージした装丁がクールです。映画化企画も進んでいることだしこのデザインのまま復刊してくれ〜 個人的にヒロ・プロタゴニストはハン・ヒョンミン君に演じてほしいです。(ヒロは在日コリアンとアフリカ系アメリカ人のミックス)
Day 30 今まさに読んでいる本
「未来のアラブ人 中東の子ども時代(1978~1984)」
シリア人の大学教員の父とフランス人の母のもとに生まれ、カダフィ政権下の80年代リビアで子供時代を過ごした著者の伝記バンド・デシネ。自分がいかに愛された可愛い子供だったかを何回も書くのはしつこいけど、当時のリビアやフランスの状況を知るきっかけになった。また著者を可愛がる大学教員の父の人種差別的な言動も書いていて父親を偶像化せず一人の人間として書いている。
ペルセポリスには及ばないけどカラッとしていて面白い。
「SHOE DOG」 フィル・ナイト kindleあり
Nike創業者の自伝
「オリエンタリズム」エドワード・サイード
好きな俳優リズ・アーメッドのよくいうRepresentationとはここからきているのかな、と読みながら思ったりした。引用している書物が多いので全ての引用書籍も読みながら理解するのは1年かかりそう。
喜びます