GISを活用した自治体DXを考える
自治体におけるDX推進と聞いてすぐ思い浮かぶのが「ハンコが~」や「紙が~」など、内部事務に関する課題が多い印象ですが、本来の自治体の役割である住民に対して提供する行政サービスの向上を目的としたDX推進を考えてみました。
過去に行った自治体支援の経験を振り返り、以前支援していた自治体でGISの調達支援を行っていたことを思い出しました。当時は建設・工事関係を所管している部署で導入していましたが、様々な業務で活用できるのでは、と考え、GISを活用した事例がないか調べてみた結果をお伝えします。
GIS・・・「Geographic Information System」の略。地理情報および付加情報をコンピュータ上で作成・保存・利用・管理・表示・検索するシステム
■事例①
北海道開発局では民間企業協力の基、外国人観光客をターゲットとし専用で開発したアプリで得た位置情報データをGISと連携し、分析している模様です。
どの時期に、どの時間に、どれくらい滞在していたかが分かるため、人気の観光ルートの情報などが容易に提供可能となります。
逆にどのタイミングが一番混雑するか把握できるため、都市部の人気観光地などにおいては、空いているタイミングの情報を提供することにより観光客の誘致にも一役買えそうです。
■事例②
埼玉県狭山市では被災者支援システムとGISを連携させ、災害発生時における土地柄に応じた避難行動支援を行っています。
このような災害や防犯といった自治体固有の業務に対しては、例えば不審者情報や犯罪が発生した日時や場所などをGISに連携することで効果的なパトロールルートなどが確立できたりなど、さまざまな場面に活用できます。
自治体での事例を取り上げてきましたが、国交省でも「PLATEAU」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、全国約50都市で3D都市モデルを整備し多様なテーマでユースケース開発やhackathonを実施しています。プロジェクトにおいて集積した知見や活用手法を集積し、その成果がオープンデータとして順次公開されています。
この動きを受けて、東京都では「デジタルツイン実現プロジェクト」を進めています。
3Dモデルの収集にあたっては、スマートフォン・タブレットの3Dスキャンアプリを活用する等、面白い取り組みとなっています。
ちなみに海外の事例では、米国 Esri社がTwitterのツイート情報をGISと連携し、企業のブランド戦略や課題解決に活用しています。
上記は民間企業での活用事例ですが、どの場所でどういうツイートがなされたかという膨大な情報をGIS上に集めて分析し、自治体が抱える課題や問題を的確に把握することでより住民に寄り添った行政サービスの提供が期待できます。
DX推進という号令の下、ただ予算の消化を目的としたDX化ではなく、今回紹介した事例などを参考にGISを活用した自治体DXを考えてみてはいかがでしょうか。
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