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栃渋作り

布帛への染めに柿渋を使う事があります。
染料店はもとよりホームセンターなどでも
売られているので簡単に入手しやすく、質も悪くはないのですが
それだと面白くないので
夏の終わりに渋柿が手に入った時は自作しています。

作り方としましては
①叩いて
②潰して
③水に浸け
④しばし放置で
⑤祝完成。

と極めて繊細かつ複雑な手順を要します。
匠の技。

現在、手元には2年前に作ったものが3リットルほどありまして、こちらは鋭意熟成中です。
一体何がどう鋭意なのか?
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそうなると先ずは
鋭意とは一体なんなのか?を考える必要があります。
鋭意の概念について我々人類は共通の認識を持たなくてはならない。

とは言え
本日の議題は栃渋ですので
鋭意の定義につきましては改めて場を設ける事でご容赦ください。

とにもかくにも
先に私が申し上げた狭義の鋭意(もしくは私的な鋭意)につきましては企業秘密とさせて頂きます。
頂きたく存じます。
頂いた上にさらに存じちゃいます。
頂きたく存じちゃう所存で御座います。

秘密なんてものは一つや二つくらいあった方が
ミステリアスな魅力を醸し出せるんじゃないかと言うのが弊社としての結論です。
名付けまして
「ミステリアスな魅力を醸し出せるんじゃないか作戦」です。

左:仕込み直後 中:二年熟成1番液 右:二年熟成2番液
人によって潰された柿たち

さてさて
話は表題の栃渋。
今年は柿ではなく栃、栃渋作りにチャレンジしています。
パンが無ければケーキを食べればいいじゃない。
柿渋をつくらないのなら栃渋でいいじゃない。

どう辿り着いたのか?
たぶんSNSだとは思うのですが
偶然に栃渋なるものを見つけたところから始まります。
そう…あれが全ての始まりだったんだ…
(遠くを見つめる眼差しで)

調べたところによると
一般的には栃渋と言いつつも実際はくぬぎの殻斗(実じゃなくてカサの方ですね)で作られており
一般的には織部焼において
酸化被膜の除去や貫入を染めたりに使われているようです。
一般的には。

草木染ではどんぐり系の殻斗の煮出し液を用いる事もあり
そこから考えるとおそらくタンニンが主成分なのでしょう。
であれば煮出さなくても
柿渋のように使えるのではないかと考えた訳です。
たぶん使える。

と言う事で
今、仕込んでいます、栃渋を。
↑倒置法を使ってみました。
栃渋with倒置法。
トチトチコンビ結成です。
歴史的なコンビ結成の瞬間に立ち会えた事を誇りに思います。

で栃渋な訳よ。
作り方としましては
①水に浸け
②しばし放置
←今ここ
と極めて繊細かつ複雑な手順を要します。
匠の技。

沈められつちまつたくぬぎの殻斗

「結果は…また後日」
①そう一言だけ告げた男を都会の闇は静かに飲み込んでいった。
②男は一言だけそう告げると都会の闇に身を任せた。

どちらか、カッコいいと思う方で終わりにしてください。
(完)

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