![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61942279/rectangle_large_type_2_dd856c9b5fd3279e1704c2c4adbeb3cd.png?width=1200)
おはなし茶屋 第1話 きぬかつぎ
「里芋」
いきなり何を言い出すのかとお思いだろうが、2年前のこの時期の私の感情にずっとあった言葉。里芋である。
昔、十五夜の月が出る夜に収穫した里芋を供えて秋のみのりに感謝する秋の風習があり、供えた里芋を蒸した「きぬかつぎ」という料理を食べたらしい。
十五夜の別名が芋名月というのも納得がいく。和菓子屋ではこれにちなんで秋の季節菓子として、里芋を模した和菓子がいろいろと作られるのである。
当時、和菓子屋の新入社員だった私は季節ごとに開かれる研修でこれを習ったのだけど、ひたすらに不思議だった。
豊作っていうと稲が思い出される。きのことか。芋でもさつまいもならまだわかるけど里芋。里芋の旬って冬じゃないのー?(調べたら8月から10月だった)
色々と考えたけれど、勤めていた会社でもきぬかつぎという名のおまんじゅうを販売していたので「とりあえず和菓子食べてみるか」と思っていた。だけど、9月の発売時期に1年目は体調を崩し、2年目はもういないとなって、今年を迎えてしまった。
さて今年の十五夜。
あいにくの雨っぽいけれど、お菓子は今年こそ念願のきぬかつぎを準備しよう。そう思って意気揚々と私は勤めてた会社のホームページを開いたのだけど。
購入方法 店舗にて販売します
近くに店舗はなく、あいにくのコロナ禍。店舗がある県外まで買いにいくこともできやしない。どうやら今年もお預けのよう。
でもまあ、里芋を蒸した本物のきぬかつぎは食べることができるわけで。里芋はスーパーに売ってるものね。
けど里芋の「さ」の字も思い出さないで、最終的に近所のお団子屋さんでみたらし団子買ってきて食べるあたり、「人間、花より団子だよな」と思うのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?