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おはなし茶屋 第3話 晩秋、紅葉、上生菓子

みなさん、こんにちは。
11月も後半。今週の始めから急に寒くなりましたが、体調など崩されてないでしょうか?私は寒すぎてお布団と離れられず、「お布団と結婚しよ」と決断したところです。(ちなみに毎年してます)

11月はだんだんと寒くなり、冬に向かっていきますが、外の景色もだんだんと赤、黄、橙に染まる季節。1週間、期間が空けばまったく違う顔を見せてくれます。

和菓子の世界でもこの時期の上生菓子は紅葉を模したものが多く店頭に並びます。カラフルで鮮やかな上生菓子は見ているだけで嬉しくなるし、和菓子といえば上生菓子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

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といってもお高いんでしょ?と言った声が聞かれます。確かに普通の和菓子に比べたら、見た目のかわいさに反してお値段がかわいくないです。なんでそんなに高いのだろうと疑問に思う方も多いかもしれません。

和菓子メーカーの製造にいた私が出す答えとしては「上生菓子には職人の努力と技術が詰まってるから」です。

①空気によって練りきりの状態が変わる
上生菓子の原料は練りきりと呼ばれる上生菓子用のあんこが使用されます。練りきりはとても繊細でちょっとした空気の変化で状態が変わります。そのため、まずは環境をしっかり作ることができないといけません。

季節によって空気は変わりますから、1年を通して同じ空気の日なんてありません。私が実践を見せてもらった時は真夏でしたが「クーラーを止めてもらっていいですか?」とおっしゃっていました。すごいですよね。

②すばやく作業をする
次に些細な変化に気づき、練りきりの状態を見極めてすばやく作業を行うことです。空調はもちろん、手の温度でも練りきりの状態が変わるので時間をかけて手の中に持っていると品質が変わってきます。

私も、ものは違えどおまんじゅうを包む仕事をしていたのですが、やはり時間をかけるといろんなものが温かくなってきて柔らかくなります。そうすると形をうまく作れなくなるのです。

③綺麗な模様や鮮やかな色を瞬時に作り出す技術
皆さんも感じる通り、上生菓子はとても綺麗な模様や鮮やかな配色が素敵ですよね。それをすばやく仕上げていく技術が必要です。

実演や動画を見ていると、三角棒を使って線をつける、菊芯でつぼみの部分を作る、色を作るなどさまざまな作業を意図も簡単に行なう職人の皆さん。実際にやってみるとびっくりするくらいうまくいきません(当たり前ですが)

何回も何回も努力することで身に付く技術をすばやく行なうことで素敵な上生菓子が出来上がります。まさに努力と技術の結晶です。

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目の前のお菓子だけにお金を出すと思うと高いかもしれませんが、商品の向こうにいる職人の方の技術を考えるとどう感じますかね?人それぞれ感じ方は違えど、感じ方が少し変わったら嬉しく思います。

今回は上生菓子にスポットを当てました。
和菓子は日常生活で食べやすいどら焼きやおまんじゅうから、今回語ってみた上生菓子のように高級なものまで様々です。11月はおりおりめぐりで紹介されている亥の子餅や旬の栗が使われてる栗蒸し羊羹もおいしい季節です。

寒くなってきたこの季節、温かいお茶と和菓子ともにほっこりする時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?私はおいしい加賀棒ほうじ茶を探しに行く旅に出てこようと思います。

今回のお話はここまで。ではまた。



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