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吉田日出子「上海バンスキング」

リンゴの木の下で 明日又会いましょう
たそがれ赤い夕日 西に沈むころに
楽しく頬よせて 恋をささやきましょう
真紅に燃ゆる思い リンゴの実のように


高校生の頃、演劇好きの九つ年上の
姉の影響でよく聴いていた。

オンシアター自由劇場
名作「上海バンスキング」のアルバム。

綿菓子のように
ふわふわと甘い、吉田日出子の歌声。

虚弱体質だった私は
天気にもすぐ影響を受けるので
ちょうど今日みたいに
蒸し暑い梅雨の日なんかは
学校を休んで部屋でぼんやりと
聴いていた。

窓の外の雨音と相まって
デコさんの柔らかい歌声が
身体中に染み渡った。

いやぁ…何とまったりとした高校生だったんだろう。


命かけて貴方こそ 私の恋人いつまでも 
貴方とならば忍びましょう 苦しみも悲しみも 
つらい浮き世の荒波越えて 
二人でいきましょ 貴方と私 
命かけて貴方こそ 私の恋人いつまでも   


当然ながら
実生活でそんな想いを経験することは
一切ないまま、現在に到るのだが。

とても、荒波を超えてる気がしない
脱力感たっぷりの歌声。

短大進学で上京してから
Bunkamuraシアターコクーンで
自由劇場の舞台を観た。

舞台終わりには
ロビーで生演奏をしてくれて
デコさんの初生歌に、感激のあまり
人目もはばからずボロボロ泣いた。

そんな頃もあったのである。









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