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「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!苫米地英人 (著)

私はよく「機嫌が悪い時は大体、お腹が空いている時か、眠たい時なんですよねー」などといっていたのですが、この本を読んでドキッっとしました。なぜならその発言は、「私の脳みそは、サル、ゴリラ並みなんですよねー」と言っていることと同じことだったからです…(苦笑)。反省。

それはさておき、頭の中って一日中忙しいですよね。ああだこうだと、休むことなく自己対話が繰り広げられていて。ちょっと嫌なことを言われると、悶々とした気分が続いたり、将来が不安になって、嫌な想像ばかりしてしまったり。
集中して仕事に取り組みたいのに、他のことが気になってしょうがなかったり。イライラ、モヤモヤで、まさに頭の中がゴミでいっぱいです。

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!
おー。頭の中をすっきりさせたい。


本書では以下の内容が記されています。

頭のゴミを捨て、スッキリした思考で生きる為には、自分以外の人のために行動すること。誰かのために行動する喜びを知ると、悩みや不安、怒りなどの頭の中のモヤモヤは消える。曇った現状の外側へ一歩踏み出すための方法。

頭の中のゴミとは…。

「感情」
「他人のモノサシ」
「常識のモノサシ」
「これまでの自分」
「マイナスの自己イメージ」

「我慢」
「自分中心」
「恐怖」
「論理へのとらわれ」

だと著者は言っています。

順番に説明していこうと思います。

⒈生産性を下げる「感情のゴミ」を捨てる。

やる気スイッチは必要ない。気分転換のための行為は一時的な対処療法にすぎない。
歯を磨く、タバコを吸う、コーヒーを飲む、化粧をバッチリきめる等。
根本的な治療方法は、頭のゴミをごっそり捨てることである。

感情的な人の脳は、サル、ゴリラに近い。
嫌なことがあると、気分が萎えてずっと引きずってしまう。
感情は大脳辺縁系扁桃体という古い脳が司っていて、環境の変化によって生じる生体反応にすぎない。面白い、痛い、美味しいは、暑くて汗をかく、寒いと震えるのと同じこと。

感情にひたってはいけない。抽象度の低い人は感情に支配される。
抽象度の高さ=視点の高さ。
 会社でイライラした→自分がイライラしていると部下の教育に悪い→自分より頑張っている人がいる→自分がムードメーカーになろう。

抽象度を上げるためには、理性を司る前頭前野の働きを扁桃体に介入させる。
そのためにはゴールを持つ。目標と目的を持っていれば、感情を乱される出来事があっても、そのつど振り回されなくなる。
会社で嫌味を言われた→今の目標は絶対にプレゼンを成功させること→嫌な気分を引きずっているヒマは無い→感情のゴミが溜まらない。

ゴールのない幸福を目的にしない。
「楽しい」「嬉しい」「幸せ」などのプラスの感情もゴミである。
新品の服を着て気分良く出かけた→自分より容姿の良い人が、センスの良い格好をしていて、他の人に褒められていた→気分が萎えた。
ポジティブな感情も、風向きが変わると瞬時に吹き飛んでしまうもの。

ポジティブな感情が、ゴールに近づくものなら、存分に喜んで良い。

ゴールに向かって生きている人は、苦楽は関係なくただひたむきに生きている。感情は苦も楽も、娯楽として楽しむ。

ここまで読んで、ふと疑問が湧きました。
自分の目標を果たすために人間らしい感情を切り捨てるなんて、なんか冷たくないですか?ターミネーターみたい。
感情の機微を味わってこそ人間なんじゃないですか?

そこに関しても、著者は説明してくれています。
本書が言っていることは、感情で頭がいっぱいになり、他人に迷惑をかけたり、冷静に物事を考えられなくなったり、目の前の仕事に集中できなくなるのが良くないということです。
喜怒哀楽は人間の感情としてごく自然なもので大切なものだけれど、それらにいちいち振り回されてはいけないと唱えているのです。
喜怒哀楽を人生の味わいのうちと捉えて、感情を娯楽として味わえば、抽象度が上がる。抽象度を上げた世界から物事を見れば、人生はもっと豊かになると言っているのです。

なる程。では、ここで頻繁に出てくるゴールとはなんでしょうか?。
そもそもゴールが設定できていないと、この本を読んでいても自分に落とし込むことができません。


それでは、ゴール設定をするための方法を順番に上げていきます。

⒉「他人のモノサシ」というゴミを捨てる。

自分て何?自分というものを説明しようとすると、ほとんどが他者から与えられた情報であることがわかる。

名前、出身地、出身大学、勤め先、住んでいる所→ただの情報。
性格 明るい、人見知り等→親や先生、上司、友人から言われたこと。
欲しい物→ 雑誌、TV CMのすり込み

自分の頭の中は、他人から与えられたモノサシばかり。だからモヤモヤする。
本当に欲しいものは何だろう。
若々しさ、人々からの尊敬、出世、起業、田舎暮らし。
欲しいと思っているものは、大体が他者からのすり込みでできいるので、実際に手に入れてもなんだかモヤモヤする。満たされない、不安、何かが足りない、充実感がない。モヤモヤする。
頭の中が他人でいっぱいだから、いつもゴミ箱状態。
常識、周囲の目、他者との競争。他人の目に映っている自分の姿。

頭の中が他者のすり込みでいっぱいだと
自分が持っているエネルギーを発揮できない。本来の能力をブロックしている。

そこでまた疑問が。そんなこと言ったら、
私多分、100%すり込みで出来上がってるのでは?
本当に欲しいものを考える基準が、そもそも生まれた時からのすり込みでできているのに、どうすりゃ良いんですか?

説明は続きます。

まず、自分ていう人間は、すり込みでできているものなんだと受け入れる。その上で、今欲しいもの、なりたいものを考えてみる。例えば、いつまでも若々しさを保ちたいとか、会社をやめて起業したいと思っているとする。なぜそうなりたいのか。自分が欲しいと思ったものは、なぜ欲しいのかを考える。その裏側にある本音とは何か

(建前)起業して大成功する→(本音)みんなからチヤホヤされたい。みんなに羨ましがられたい。
本音にフタをしない。人に言わなくてもいいので、本音を頭の中で自由自在に膨らませ、鮮烈にイメージする。ドーパミンがドバドバ出るくらいに、常識にとらわれたり他人の目を気にせず、願望を頭の中で膨らませる。
本音=究極のwant toをさらけ出す。そこからゴールを作っていく。

⒊「これまでの自分」というゴミを捨てる。
変わりたいけど変われないのはなぜか。

「過去の自分」を捨てる。
あの時ああしていたら、今はもっと幸せだったはず、というたられば思考
「もっと勉強していい大学に入っていたら」「あの時結婚しなれば」「あの失敗さえなければ」
ああしておけばこうなっていたかも、という「仮想の自分」も頭のゴミ。過去をベースに未来を考えると自分を抑え込むことになる。世界も、自分も過去の記憶で成り立っている。

脳は巧妙に手抜きをする。
RAS(網様体賦活系)とは脳幹の基底部にあるフィルターシステムのこと。
RASの働きは、重要度が高いと判断された情報を選別する。

例えば、デパートなどで呼び出しのアナウンスがあった時、普段は意識しないのに、自分の名前が呼ばれた場合はアナウンスが聞こえる。カフェで周囲の騒音の中、自分に興味のある言葉だけは耳に入ってくる等。
RASは、昨日までの自分が重要だと判断したものを、今日も重要だと判断している。私達は、RASが見せる世界で生きている。
人間は、RASの選別によって安定した状態で過ごせ、生きやすい様になっている。これを「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」と言う。

だが、この機能が悪く働いた場合、現状から抜け出せなくなる。
昨日までの自分が重要と判断していた、他者からのすり込みや、世間の常識、他者に映る自分の姿など、自分にとって当たり前と思っていることを、現状のまま維持するために、恒常性維持機能(ホメオスタシス)が思考と行動を制限してくる。

現状維持とは、良くも悪くもいつも通りの、自分がラクでいられる範囲(コンフォートゾーン)に居続けることである。

ゴミでいっぱいの自分の頭の中をリセットしたい時、自分が望むものを自分のモノサシで選び直したい時は、この脳の働きに変化を持たせる必要があります。


⒋「マイナスの自己イメージ」というゴミを捨てる。

人は頭の中で、常に自己対話をしている。そしてそのほとんどがネガティブなもの。
自己評価に対するネガティブな自己対話は、親、先生、上司、先輩、友人など、他者からのすり込みによって作られたものである。
人は、1日に約100回、自分を定義する言葉を口に発したり、頭の中で発したりしている。その繰り返しが自己イメージをより強固なものにしてしまう。言葉による縛り。


失敗体験を繰り返し思い出すことも、自分自身への強力な刷り込みになり、這い上がることが難しくなる。
自分はダメな人間だ、というイメージは、「言語」「イメージ」「感情の記憶」の3つの要素でできている。
過去に上司に言われた「お前はダメな人間だ」という言葉と、「あの時は最悪だったな」という自己対話、怒られている時の自分イメージ、惨めな自分という記憶。

自己評価の高い人間になるためには
常にポジティブな自己対話を心がけることが重要。
失敗した時は「自分らしくないぞ」成功した時は「自分らしいな、当然だ」という自己対話をルールにする。この自己対話を意識的に続けていくと、自分がラクでいられる範囲(コンフォートゾーン)が高いレベルに移動して、恒常性維持機能(ホメオスタシス)が高いレベルで働く様になる。つまり、脳の働きに変化が起こる。

自己対話をポジティブにしても、あなたの過去しか見ていない他人からの、心ないすり込みは続く。「大丈夫なの?」「そんなことできるの?」「会社を辞めて食べていけるの?」
自己評価を下げる相手を「ドリームキラー」と言う。
ドリームキラーを撃退する方法は一つ。「夢を他人に話さないこと」。
自分自身を心の拠り所にすること。釈迦の「自帰依自灯明(じきえじみょうとう)」。

そして、最大のドリームキラーは自分。ネガティブな自己対話である。

⒌「我慢」というゴミを捨てる。


会社にいきたくないけど、いかなければならない、大人なんだから我慢しなきゃいけない。我慢しないと、食べていけない。want toではなくhave toばかりだと、毎日頭の中がモヤモヤします。
この「やらされ感」、「強制されている感」は、「自分はたいした人間じゃない」とうメッセージを無意識に刷り込むため、自分の存在そのものに対する自己尊重を深く傷つけ、潜在能力を大きく低下させてしまいます。結果的にモチベーションが下がり、能率も悪くなり、ストレスが増えていきます。

やりたくないことをやめる思考実験。
とはいえ、やりたくないことをすぐにやめるのは勇気が要ります。
そんな時は、思考実験をして頭の中を整理整頓してみます。
①まず、やりたくない事を5〜10個書き出す。
②その中から一番やりたくないことを選ぶ。
③それをやめたらどうなるか、やめるにはどうするかを考えてみる。

本書の例。
嫌な取引先と手を切りたい。
嫌な取引先は総売り上げの25%を占めている。
取引先を新規開拓する。
1社5%なら2社で10%、もう1社で15%。
新規の取引先が開拓できる。
もしくは25%のコストダウンをする。
業務改革が社内で認められるかも。

思考実験をすると、我慢しなくても良いことが見えてくる。
「やりたくないことを我慢してやっている」ということが、ラクでいられる範囲(コンフォートゾーン)になっていて、「やらなくても大丈夫」なことが盲点(スコトーマ)に隠れて見えていなかった。

⒍「自分中心」というゴミを捨てる。


やりたくないことはわかったけど、やりたいことがわからない。
目指すゴールはどこにあるのか、自分の本音(want to)を掘り起こし、抽象度を上げていく。

「チヤホヤされたい」「羨ましがられたい」という気持ちは自分だけの幸せです。

この「自分だけの幸せ」という表現は、実は矛盾した表現だとも著者は言っています。
美味しいものを食べる、運動をして気持ち良い、というのは、生体反応で、サル、ゴリラと変わらない。
美味しいものを食べた、運動をして気持ちよかった→ブログで発信して他の人にもこのおいしさを知ってもらおう、健康維持で若々しくいられることを知ってもらおうと、自分以外の人が幸せになることで初めて真の幸福感を感じられる。

「優越感と幸福感は違う」
人にプレゼントをした→喜んでくれた→自分もすごく嬉しい。
「自分は何をやりたいんだろう」→「自分が何をすれば人が喜ぶんだろう」
スタートラインは自分の本音から始めて、そこから抽象度を上げていく。
起業してお金持ちになってモテたい。→人の役に立つビジネスをやろう。
自分だけではなく、自分の周囲の人、世の中の多くの人を幸せにできることをゴールに設定する。

実現可能なゴールを設定しない。
今の会社で社長になるはNG。現状の延長線上にあるものなので、脳に機能しない。
壮大なゴールを設定することで、ゴールに向かって恒常性維持機能(ホメオスタシス)が働き、自分がラクでいられる範囲(コンフォートゾーン)が移動する。

もう少し詳しく説明していきます。


この本は、精神論ではなく、脳の仕組みを利用しています。
自分の脳の認知機能に対して、意識的に介入していく方法です。


現状=我慢して会社員をしている。
ゴール=観る人に希望を与える日本一の俳優になる。

現状とゴールにギャップが生まれる=認知的不協和
認知的不協和を脳が解消しようとする。
脳は、臨場感(ワクワク感)が高い方を本当の自分とする。

現状の外にゴールを設定すると
ゴールに向かって、自分がラクでいられる範囲(コンフォートゾーン)が移動する。
すると盲点(スコトーマ)が外れて、ゴールへの道筋が見えてくる。

ゴールが設定されると、前向きな「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」が生まれ、自分の中で臨場感が高まる。
臨場感が高まると、周囲の反応も変わってきて、応援してくれる様になる。
ドリームキラーがドリームサポーターになる。

⒎恐怖というゴミ

仕事を辞めたら食べていけなくなる、という恐怖。

「食べられない」という恐怖は、扁桃体に刻まれている人類の歴史の飢餓の恐怖です。
しかし、今の日本では飢餓の恐怖はありません。会社を辞めても、失業保険があるし、
バイトもある。いざというときは生活保護もある。悪徳金融から借金をしなくても、国から融資を受ける制度もあります。知識さえあれば、飢餓で死ぬことはないのです。

失敗する恐怖
「うまくいかなかったらどうしよう」「怒られたらどうしよう」
という恐怖は、感じても意味のない恐怖。ビクついている暇があったら行動する。恐怖の原因を消すために行動し、やるべきことをやった後は淡々と結果を待つ。原因を消すために、頭と体を使う。

⒏「論理へのとらわれ」というゴミ。


言語での思考は、A→B→C→Dと直線的に展開する。
天才は、A→Dに行く。それは全体が見えているから。
現実は、ありとあらゆることの相互作用でできているので、順序立てて考えようとすると、頭の中がゴチャゴチャになってくる。
全体を見渡せると、部分も見えてくる。
頭のゴミが多い人は、部分の迷路に迷い込んでいる。

⒐まとめ


頭の中に常にある、悩みや不安や怒りなどのモヤモヤをなくすには、
頭の中のゴミを捨てること。

頭の中にあるゴミとは、
「感情」
「他人のモノサシ」
「常識のモノサシ」
「これまでの自分」
「マイナスの自己イメージ」

「我慢」
「自分中心」
「恐怖」
「論理へのとらわれ」

ゴミを捨てるためには、ゴールを設定する。
ゴールに必要ないものは、全てゴミと判断する。

ゴールとは。

まずは自分の本音を深掘りする。
次に、自分中心の本音を他者への貢献へと抽象度を上げていく。

人間の本当の幸福とは、自分一人では味わえない。他者と分かち合える喜びこそが本当の幸福で、目指すべきゴールはそこにある。

精神論、根性論、よくある自己啓発本ではなく、認知科学者の目線から、人間の脳の仕組みに介入し、頭の中をスッキリとさせる、自分の可能性を広げて、より良い人生を生きるという方法論でした。

本書では、認知科学に基づいた方法を、たくさんの具体例をあげながら、わかりやすく解説しています。興味のある方はぜひ読んで見てください。

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