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うるおい

ながいながい枯渇期間を経て、やっと少しずつ、うるおいつつある。

あ、からだでも土でもお金でもなくて、心がね。

きっともともとは、たっぷりと水を湛えていたはずなのに、むやみやたらに、あちこちで振りまいてきてしまったのだな。

ばかだねえ。
じぶんで干からびさせておいて、干からびちゃったと泣くなんて。

ばかだねえ。
そんな潤沢に水があるのなら、まずはじぶんのために使えばいいのにね。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

茨木のり子さんの言葉がしみる。

これまで何度も枯れたけど、そのたびにまたうるおいを補給して、生き延びてきたんだ。

好きなものを食べて、好きな歌をうたって、好きな場所に行こう。そしてなにより、好きな人に会おう。そしたらきっと、もっとうるおってゆく。

外はしとしと梅雨のあめだけど、それさえも心のうるおいにかえてしまうんだ。

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