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感情の記憶

悲しみに暮れたり
不安に押しつぶされそうになったり
小さな希望を見つけて安堵したり
喜びに胸をふるわせたり

日々を生きてゆくことは
さまざまな感情に対面すること。

いつかわたしの命が終わって
わたしのからだをつくる原子が
宙に散り散りになったら、
この感情の記憶は
消えてしまうのだろうか。

それとも、
その小さな粒に記憶を残したまま
次のいのちへと
受け継がれてゆくのだろうか。

原子でできている人間が
感情を持つのならば、
同じく原子でできた
この世のすべてのものにも
感情が宿っているのだろうか。

誰かとおいしいあんこを食べながらそんな話をしたいと思った、秋のはじめの静かな夜。

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