見出し画像

【JaSST Review'19 レポート】【セッション3】『違和感のつかまえかた』 ~組み込みシステムの開発者(テスター)としてやっていること~

脱脂綿

公演概要

スピーカー:深谷 美和さん(toRuby(とちぎRubyの勉強会))

セッションの内容:

みなさんは「なんとなくだるい」「寒気がする」「熱っぽい」というような違和感を感じた時、どうしますか?症状がひどくならないよう行動を変える方が多いのではないでしょうか。
開発の現場で感じる違和感も同じです。違和感は『注目すべきシグナル』です。より良い製品を作るため、みなさんは行動を起こさなくてはなりません。
本セッションでは、私がいつ、どこで、何を見て違和感を感じているのかを紹介します。また違和感をつかまえるために大事なこと、違和感をつかまえやすくするコツや工夫についてもお伝えする予定です。
今よりももっと違和感に敏感になりたい、違和感をもっと製品開発に活かしたい、そんな方の参考になればうれしいです。

予め期待していたこと・抱いている疑問

レビューにおいて違和感を見逃さないのは大事、というのは恐らく万人に共感いただけるのではないかと思いますが、じゃあ実際の現場で行動を起こしているのかというと目をそらしてしまいます。

また、レビューにおいてやはり気付きが鋭い人とそうでない人が出てくるのは、違和感にどれだけ敏感になるのかという所が大きいように思います。

セッション1の内容が勘に頼らない形式的な欠陥の見つけ方なのだとしたら、セッション3の内容は逆に、勘を鋭くする方法でしょう。両方を備える事で良いレビュアーとして働く事ができるのではないかと期待しています。

セッションの内容

信じられるか、このセッションを無料で全文公開してるんだぜ...!?

最初に話されていたのは違和感とは何なのかというお話でした。

違和感とは、いつもの状態と今の状態との差分である。
風邪の引き始めに覚える違和感とは、健康状態との差分のこと。

違和感とは、理想や期待値と現実との差分である。

試着室で感じる違和感とは、似合う服に関して自分が持っている理想や期待値との差分のこと。

だから違和感を捕まえるためには、いつもの状態を知り、理想と期待値を知り、現実を知ることが必要であるということ。

そういった違和感をではどのように考えて捕まえているかという話もまた物凄かったです。具体的な部分が多く含まれるので全て紹介はしませんが、強く印象に残った内容を紹介。

起きたら嫌なことは何かを考えている。
○○が起きたら嫌だなというものから、どうやったらそれを起こせるかを考えている。
朝会の時、話題に上がっていないことは何かを考えている。
誰も(自分でさえも)考えそうもないことは何かを考えている。
ある追加機能について話されている時は、その機能ができないことについて。逆にできないことについて話が上がっている時は、できることについて。
他人の違和感をインプットする努力をしている。違和感やバグについて他のテスターと共有していくと、自分には無かった観点が入ってくる。それによってインプットした観点でバグが見つかる。
他者の違和感×自分の思考の相乗効果を狙っている。
想定外を捕まえるのではなく、想定を広げる
自分達の仕事の範囲を一歩相手側に踏み込んで見る。これだけやっていればいい、は危ない。
捕まえたいものに周波数を合わせる。
差分が微量で違和感を捕まえづらいものに関しては、わざと差分が大きく出るように操作をする。例えば重いPCで操作したり、スマホアプリなら横向き画面で操作したり。

最後に、違和感を見つけたらどうするのか。折角見つけた違和感を放っておいてはいけない。

特にバグの報告は「言いづらいこと」になりがちなので気にする人が多いとのこと。自分も経験があるなと思っていたのですが、そこは「仕事だから仕方ない(だから割り切れ)」とのこと。そうですね。

バグを見つけた時に取るべきアクションについては、3つにまとめられていました。

1. 捕まえた瞬間に声を出す。
違和感を無かったものにしづらくなるので有効。何かがあったぞ、と意識を持つようになり、チームメンバーも興味を持ってくれる。

2. 観察する
違和感の正体を明らかにする。小さな違和感ほど時間の経過に伴ってその感覚が薄れてしまうので、そうならないように観察結果を書き留める。

3. 同僚に話す
同僚はどう思うのか、同じようにおかしいと感じるのか。

全ての話の最後に一言。
もしこの話が分かりやすかったと思うなら、違和感に対する感度が鈍くなっています」と警告されました。

疑問に対する答え

「違和感」と呼びながらも、それを捕まえるための方法は勘のようなふわふわしたものではなく、もっとロジカルな思考でした。

ロジカルではありますが、inputすれば明日からすぐ使えるようなものでもありません。方法を覚えたら、後はあくまで実践によって反復練習していかねばならないものです。

感想

「人が考えていないことを考える」という話を聞いて、これまでの自分の仕事への取り組み方が変わるような気がしています。

どこか「私はまだまだ若輩だから、先輩と同じものが見れるようにならなければ」と考えていたように思います。しかし考えてみれば、先輩が見つけられる違和感であれば私が見つけなくても良いのです。そうではなく、先輩が考えないことに思索を広げるべきです。

また最後の違和感に対する感度が鈍くなっているという警告に関しては、その通りだと思わされました。とても分かりやすいセッションを聞いたからこれで明日から僕も敏腕テスターになれる、わけがないのです。むしろ、今日聞いた話を全てやったとしても、これだけやっていればいい、という思考に陥ってしまいます。

理解した気になる時、安全だと思っている時こそそこに落とし穴が無いか疑うという、熟練テスターの思考を一部見せて貰えました。しかし自分のものにするにはこれから気の遠くなるような実践が必要なのでしょう。

違和感の捕まえ方についてのセッションを通じて、これからの学習についての姿勢にまで考えを広げる機会まで得られた、とても良いセッションだったと思います。ぜひ資料を読んで見てください。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!