読んだ本② 「ライフピボット 縦横無尽に未来を描く 人生100年時代の転身術」

読んだ本の簡単なまとめ

著者は黒田悠介さん。最近ライフシフト系列の本が多いが、その中でも少し先鋭的(?)な本なのではないかと思う(ライフシフト、タイミングを逃して読んでないから早く読まないと)。大まかにいえば会社依存ではなく自分の中にスキルを積み重ねてそれを元にキャリアを転換し続けようという内容だった。タイトルは積み重ねた自分のスキルをもとに仕事を変えていけば、まるでバスケでピボットするように仕事も人生も変えていくことができる、という意味だと思う。

学んだこと(詳しい内容は3つまで)

1.世界の変化(なぜライフピボットが必要か)
3つ書かれている。
 ・人生の長期化:人生100年時代で昔のキャリア論が通じない
 ・ライフスタイルの短期化:仕事も企業も長くもたなくなった
 ・世界の変化の加速:イノベーションの連鎖とグローバル化
これは本当にそうだと感じた。2つ目は3つ目の結果でもあると思うが、本当に技術進歩もビジネスの進歩も早くなってきている。この中でずっと残り続ける企業を探すのは難しい。もし企業が残っていても自分がそこに残り続けられるかはまた別である。それに加えて人生が長くなり、最近では年金受給が75歳から可能になる予定で仕事をする期間も長くなる傾向にある。こうなると一つの企業に依存するのではなく、自らでキャリアを作っていくことが必要なのに納得感があった。

2.蓄積と偶然が転換を生み、常にそのループである
3つの蓄積に偶然が加わると仕事(もしくは人生)の転換が起きる。そしてその図式は蓄積+偶然=転換→蓄積、という風にループさせることができる。言われてみれば当たり前だが、ポイントは蓄積を自分で意識しているかと偶然を自分で計画しているかだと思う。何も考えずに会社で働いていると自分の中の蓄積を認識できない(どんな目標・キャリア管理シートがあっても一緒)。そして偶然は機会を作らないと舞い込まない。加えて確率がほぼ変わらないのだったら試行回数を増やす必要がある。
このあたりはPDCAの人生版という感じがした。

3.三つの蓄積を貯める6つのアクション
ここでは「マッチングサービスを利用する」「発信しつづける」「イベントに登壇する/主催する」「コミュニティに参加する/主宰する」「ギグワークをする」「ギブワークをする」があげられている。どれも普通に企業に勤めているだけではなかなか経験しない外側へのアクションである。個人的には発信とコミュニティは思い浮かんでいたが、他はあまり考えられていなかった。今後少しずつこういったアクションをとる機会を増やそうと思った。

キーワード一覧
・成功の判断軸・蓄積と偶然が転換を生む、そのループ・人生の長期化・ライフスタイルの短期化・スティーブ・ジョブズ「Connect the dots」・計画的偶然性理論とその方法・ハニカムマップ・3つの蓄積・スキルの振り返り方・経験による自己理解・隣接可能性・Will/Can/Need・PERMAモデル・3つの阻害要因・マッチングサービス・ジョハリの窓・発信する・イベントに登壇する・コミュニティに参加する・ギグワークをする・ギブワークをする

”個人的な”感想と考え

学びの量   ★★★★☆ 4
面白さ    ★★★★☆ 4
わかりやすさ ★★★★★ 5

もともとこの本を読もうとしたキッカケは、他にキャリアチェンジやスキルチェンジの本を読んでいたところにたまたま会社の後輩から薦められたからだった。自分より若い世代がどういった本に興味があるのかも知りたかった。ただ、最終的には自分にとっても最初に想像していたよりも学びが多かった気がしている。その割に学びの量が5にならなかったのは書かれているライフピボット例に技術者がほぼいなかったため。正直少し自分や自分の会社とは遠い内容にも感じた。

この本を読んで思ったのは二つ。一つは今後メタ認知がより重要になるだろうということ。もう一つはなぜライフピボットで稼げる人が出てくるか。

一つ目のメタ認知について、これを思ったのはこの著者もそうだが早くから自分をわかっている人は成功するなと感じるため。自分は比較的大きい企業に勤めて10年程度だが、危機感のようなものを感じながらも自分の足場の安定性を考えていることが多かった。最近は考えがやっと変わり、世の中から見た時の自分の立ち位置を測って、将来の自分を設計していく考えになり始めている(少し遅すぎるが)。結局、転職をしようと思ったときに簡単にできるかどうかもこれで決まる。自分の会社で必要とされていることと社外で必要とされるかは別問題だからだ。その会社に残るかどうかは世の中に必要とされた後のただの選択であって、自分の足場(会社)が安定していると思い込むことに特に意味はない。

自分もそうだが比較的大きい企業に入ると会社がつぶれない前提で物事を考えることが多い気がする(もしかしたら小さくても日本だとそうなのかも)。そうなるとメタ認知は会社の周りの人にどう見られるかだけを捉えられればよかった。今後は企業という枠が不安定になっていき、おそらく自分自身で世の中の自分の立ち位置を測る必要性が多く出てくる。そのときにどれだけ自分を正確に測れるかでその後の成長度合いが決まると思う。そのためには著者が書いている通り経験による自己認識が重要になってくるはずだ。

二つ目はなぜライフピボットで稼げる人が出てくるのか。この本にもライフピボットで成功した例が複数紹介されている。ただし、そのうちのいくつかは仕事として成り立つのか・・・?と思ってしまうものもあった。そのためこのライフピボットによって経済が回るのか?経済を回さないものに今後人は流れるのか?という疑問がわいていた。

これを考えるときには以下の考えが役に立った。
・2つ掛け合わせると希少性が増す
・希少な(気がする)ものには人はお金を出す

2つを掛け合わせると希少性が増すはユーチューバーを考えるとわかりやすい気がする。何か一つのことについて知識があるだけ、もしくはユーチューバーをやっているだけでは希少性はないが、何か一つのことについて知識を持っていてそれをYouTubeで披露する人は希少だ。その希少性は掛け算であがるため、「ある職業についている人の割合xユーチューバーになる人口の割合」くらいの希少性がでる。

さらに2点目の希少なものには人はお金を出すということが加わると、2つ掛け合わせた希少性でお金が稼げるようになる。この本ではグラフィックレコーダーやコミュニティオーナーなどそこまで有名ではない業種の話が出ていたが、有名ではないということは希少だということ。その希少性にはその不足で困っている人や企業からお金が出る。

ただし、供給が需要を上回るとお金が出なくなってくる。これは市場の原理だ。しかしこれもこのライフピボットの経済は回避できる可能性があると思う。

なぜなら掛け算による希少性はいくらでも生み出すことができるからだ。3つとかを掛けだしたら指数関数的に増えていく。加えて言えば、常に情報格差がうまれるというのもある気がする。新しい職業は相場が決まっていないためにいくら払うのが普通なのかが判断できない。実際グラフィックレコーダーとコミュニティオーナーの相場がわかる人は少ないと思う。そのためNFT商品の高騰のようになぜかわからないけどお金が払われるような商品やサービスが生まれ続ける気がする。

もちろんだからと言ってなんでもいいわけではない。需要がないものには結局お金は払われない。おそらく必要なのは「隠れた需要を発見できる」「時代の流れを先読みできる」「偶然を起こす機会を作り続ける」こと。こう考えると、この能力は企業人でもユーチューバーでも求められる能力だ。まぁこのあたりはビジネスの基本だから当たり前なのかもしれない。

ただこのライフピボットという生き方はこの能力すら開発できる可能性を感じる。企業に属する人も試してみた方がいいかもしれないと思ったので、このnoteで100くらいの投稿を達成したら次のアクションをとってみようと思う(週一だと2年かかるから週二くらいで書かないと)。

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