ともちゃんの幸せ


デッドエンドの思い出を買ったのは大学生のころ。
いつものように本屋で目をひかれたタイトルを片っ端から手に取った。
表紙を見てさらに良ければ最初のページを開く。
たまにあとがきも読む。
よしもとばななさんの本は江國香織さん好きの私にとってネットではオススメとよく目にしていた。
しかし、育ちの良さがいかに良いことかを強く熱弁されている気持ちになって途中で本を置くこともあった。
もちろんよしもとばななさんが伝えたいことはそんなことではない思う。
あくまで私にとってだ。
それでも小説の中で好きな文章や考え方もあったのでハマり切らないものの偉そうで恐縮だが気になる存在だった。

ともちゃんの幸せは短いお話だが好きだ。
物語の途中で天の声の如く小説家が現れて驚いたが2回目に読んだ時はすんなりと入ってきた。
ざっくりいってしまうと、ともちゃんが一般的には辛い過去を持っていることや恋の始まりの予感が書かれている。
もちろん今後の恋の行方も気になるのだが、私にとってはある一文の情景が印象的でそれでもうこの物語は収まっている。

ともちゃんが大切にしているものがきれいな輪になってともちゃんのまわりに存在している。
クルクル回ったりしている。そんな景色だ。

とても暖かくて穏やかな雰囲気をこの文章を読むだけで感じ取れる。
その雰囲気を感じるためだけにこの本を手に取ってしまう。そんな本だ。

タイトルになっているデッドエンドの思い出も好きである。また書けるときがあれば感想を書きたい。

大学生のころこの本を仲の良かった友達に貸したときとてもおもしろかったと感慨深く言ってくれてとても嬉しかった。
その友達とは疎遠になってしまったけれどもっと色んな本の話をしたかった。

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