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運動器の解剖学(骨学まとめ)全テキストデータ!総論~各論まで!

運動器の解剖学(総論)から(各論)の全テキストデータです。
系統的に学習するためのものです。
目次がありますので目的の記事内容へすぐに飛ぶことができます。
記事内容については、必要に応じて更新します。
(※テキストデータですので、現時点では画像の掲載はありません。)

はじめに


今回、ご紹介する運動器の解剖学(講義ノート)は、実際に医学生に対して講義をするために自分用に作成したものがベースとなっています。

内容的には、運動器の解剖学に関する講義ノートです。いくつかのパートに分けて骨学・靭帯学・筋学について書いて行く予定です。

今後作成する予定の骨学(各論)については、オリジナルの骨の写真を使っているため、イラストで描かれたものとは異なるリアルな情報を得ることができます。

また、運動器の解剖学を学ぶ上で必要となる知識が学べるように系統的に書いていますが、一般的な日本の解剖学の書籍(日本人体解剖学、分担解剖学)よりもできるだけ平易で読みやすい文章となるようにしています。

今回、運動器の解剖学(講義ノート)を執筆する上で骨学、筋学、運動学に関する国内外の主要な文献を参考に致しました。解剖学の文献によっては統一されていない分野もありますが、できるだけ一般的に取り扱われる表記内容となるようにしております。

解剖学とは?


解剖学は生物体(人体,動物,植物)の形状,大きさ,構造および位置関係を研究する学問で生物学の中の形態学に属する.対象の違いによって人体解剖学,動物解剖学,植物解剖学があり,研究態度や手技により肉眼解剖学,顕微鏡を使用する顕微解剖学に分けられる.
肉眼解剖学には骨格系,筋系,神経系などの系統別に説明する系統解剖学,頭部,頸部,胸部,腹部,背部,上肢,下肢などの部位別に説明する局所解剖学が含まれる.
顕微解剖学は顕微鏡を使って生物体の組織全般の研究を行う学問で,組織学,細胞学などが含まれる.

■生物学biology
  形態学morphology
    解剖学anatomy

■対象の違いによる分類
  人体解剖学human anatomy
  動物解剖学animal anatomy,zootomy
  植物解剖学plant anatomy(vegetable anatomy)

■研究態度、手技による分類
  肉眼解剖学gross anatomy
    系統解剖学systematic anatomy(descriptive anatomy)
    局所解剖学regional anatomy
  顕微解剖学microscopic anatomy
    組織学histology
    細胞学cytology


人体区分について


人体は体幹(たいかん)と体肢(たいし)に分けられる.体幹は(頭部,頸部,)胸部,腹部,背部,体肢は上肢と下肢からなる.

■体幹 trunk
  (頭部,頸部,)胸部,腹部,背部

■体肢extremities
  上肢U/E ;upper extremity(upper limb)
  下肢L/E ;lower extremity(lower limb)


位置、方向、面を表す用語


矢状面(しじょうめん)sagittal planes
  正中面median plane

前額面(ぜんがくめん) frontal planes
 (=前頭面frontal planes,冠状面coronal planes)

水平面(すいへいめん) horizontal planes
 (=横断面transverse plane)

矢状面・・身体を左右へ垂直に分ける面
正中面(正中矢状面)・・中央の矢状面
前額面(前頭面、冠状面)・・身体を前後に垂直に分ける面
水平面(横断面)・・身体を上下に水平に分ける面

前方 anterior:前額面に面した腹側方向.腹側ventralと同じ.
上方 superior:頭の方向.頭側cranialと同じ.
内側 medial:中心(内部)の方向.
近位 proximal:身体の中央へ近い方向.
尺側 ulnar:前腕で尺骨のある側.
橈側 radial:前腕で橈骨のある側.

前方 anterior  ⇔  後方 posterior
腹側 ventral   ⇔  背側 dorsal
上方 superior  ⇔  下方 inferior
頭側 cranial   ⇔  尾側 caudal
内側 medial   ⇔  外側 lateral
近位 proximal  ⇔  遠位 distal
橈側 radial  ⇔  尺側 ulnar


骨の表面の形状を表す用語


 骨の表面の凹凸は,筋や靱帯の付着などによって形成され,その程度や形状によって使われる用語が定まっている.
 成長期の骨が筋や靱帯などに牽引されるとその部位が隆起し,骨端症と呼ばれる状態となることもある.
 その他,血管や神経が通る部位には「~溝」や骨を貫く「~孔」などが形成されることも多い.

■隆起をあらわす用語

結節(けっせつ)・・限局性の丸い小さいかたまり.
  例)大結節greater tubercle
隆起(りゅうき)・・限局性の丸い大きいかたまり.
  例)踵骨隆起calcaneal tuberosity
粗面(そめん)・・ざらざらした粗い面で筋が付着する.
  例)脛骨粗面tibial tuberosity
突起(とっき)・・ある大きい部分から突出,あるいは伸張した組織.
  例)茎状突起styloid process
(きょく)・・トゲのようにとがっている突起部.通常は骨の名称に使われる. 
  例)棘突起spinous process
(せん)・・線状を形成してい部位.骨や軟部に使われる.
  例)ヒラメ筋線soleal line、白線(はくせん)
(りょう)・・長くつらなる隆起部.
  例)小結節稜crest of lesser tubercle、腸骨稜
(しつ)・・「くし」とも読むため、そのような形状の部位?
  例)恥骨櫛pubic crest
(とう)・・骨や器官において、端の丸く肥厚(ひこう)した部分.
  例)橈骨頭head of radius


■陥凹をあらわす用語


(か)・・表面から、かなりくぼんだ(落ち込んだ)部位.  
 例)関節窩glenoid fossa
圧痕(あっこん)・・靭帯や神経線維、脳の実質などによる圧力が加わってできる部位.
 例)肋鎖靱帯圧痕impression for costoclavicular ligament、指圧痕digital impression、三叉神経圧痕trigeminal impression
切痕(せっこん)・・骨や器官の辺縁部において、刀でえぐったような切れ込み部分.
 例)大坐骨切痕greater sciatic notch
(れつ)・・裂け目のような狭い隙間のこと.
 例)上眼窩裂superior orbital fissure
裂孔(れっこう)・・大きく開いた裂け目の部分.
 例)食道裂孔esophageal hiatus、伏在裂孔、血管裂孔
(こう)・・すぐ通り抜けられる短いあな状の部位.骨や軟部に使われる.
 例)大静脈孔caval opening、おとがい孔mental foramen
(かん)・・孔(こう)が長くなって真っ直ぐな管状になった部位.
 例)下顎管、中心管、導管など
(どう)・・管(かん)よりも太い管状の部位.
 例)外耳道ear canal
(こう)・・管への入り口、くぼんだ臓器や管への開口部や入り口.
 例)動脈口ostium arteriosum、鼓室口、内尿道口
(どう)・・内部に膨らんだ空洞でほとんど、閉鎖されている骨壁がある空洞.
 例)上顎洞maxillary sinus、蝶形骨洞

■その他の用語


(めん)・・器官、骨の表面部分.
 例)関節面、肋骨面
平面(へいめん)・・平らな面を意味します.
 例)側頭平面、項平面、膝窩平面、平面関節など
(ばん)・・板状の部位.
 例)椎弓板(ついきゅうばん)
(よく)・・翼のような形状の部位.
 例)腸骨翼、大翼
(し)・・血管や神経、骨にも使われる.枝分かれした部位のこと.
 例)坐骨枝、三叉神経の第三枝(下顎神経)など
(えん)・・面と面の間(交わる部分).
 例)内側縁、外側縁、上縁

解剖学的立位姿勢について


英語では、Anatomical standing position;Anatomic positionと言います。

顔面と視線が正面を向き,上肢を下垂,手掌面を前方に向けた立位姿勢.この肢位を基準に前方,後方,外側,内側,外転,内転などの方向や位置が関連付けられる。


母指と手指の運動方向の用語定義

解剖学的(立位)姿勢では手のひら(手掌)が正面を向くため,橈側(母指側)方向は外側,尺側(小指側)方向は内側となる.そのため母指を開く場合は母指の橈側外転(とうそくがいてん),閉じる場合は母指の尺側内転(しゃくそくないてん)という.
手指では中指から離れる(開く)と外転,近づく(閉じる)と内転となる.(※中指は母指側へが橈側外転,小指側へが尺側外転と定義され,中指に限り内転はない.)

骨学総論

骨学Osteologyは、骨の構造や機能について研究する学問です。

運動器の解剖学②(骨学総論)では、骨学の基本的な用語や意味について書いています。

骨格系


骨が連結したものが骨格であり,受動的運動器官である骨(こつ),それに付属する軟骨,個々の骨を連結する靱帯からなる.骨格は軸骨格(じくこっかく)と付属骨格(ふぞくこっかく)に分けられる.

骨格系Skeletal system
  骨bone
  軟骨cartilage
  靱帯ligaments

軸骨格axial skeleton
付属骨格appendicular skeleton

軸骨格・・身体の中心に位置する骨.頭蓋骨,耳小骨,舌骨,脊柱,胸郭からなる.

付属骨格・・軸骨格に付属する骨.上肢骨,下肢骨からなる.

骨格系の役割


①支持…姿勢の保持
②臓器の保護…脳や脊髄,内臓を保護する
③受動的運動器官…筋が付着する
④カルシウムの貯蔵…血液内のカルシウムを調整
⑤造血…赤色骨髄にて行う


bone


結合組織の一つで骨の細胞と骨基質からなる.成人では頭蓋骨23,頸椎7,胸椎12,腰椎5,仙骨1,尾骨1,肋骨24,胸骨1,上肢骨64,下肢骨62の計200(耳小骨を加えると206)ある.

骨bone
      骨の細胞
         骨原性細胞osteoprogenitor cell
         骨芽細胞osteoblast
         骨細胞osteocyte
         破骨細胞osteoclast
      骨基質bone matrix
         膠原線維collagen fiber
   骨膜periosteum
   軟骨cartilage
   骨質bone substance
   骨髄bone marrow

結合組織connective tissue

栄養孔nutrient foramen
 栄養管nutrient canal
 栄養動脈nutrient artery

骨は骨膜,軟骨,骨質,骨髄から構成される.骨の表面には1個~数個の栄養孔とそこから骨の内部に続く栄養管がある.栄養管には栄養動脈や静脈が通り髄腔(ずいくう)につながっている.骨の表面は骨膜で被われ,緻密骨(緻密質),海綿骨(海綿質)の順で深部に続く.


結合組織とは?


中胚葉由来の線維性組織.臓器の支持部,骨,軟骨,筋膜,腱膜,腱,靱帯,血球の壁などにあり上皮組織,筋組織,神経組織,結合組織同士を結合させる.血液と比較すると,骨の細胞が血球,骨基質が血漿となる.

骨の細胞とは?


■骨の細胞・・以下の4つがある.
1)骨原性細胞 骨芽細胞に分化する前の細胞.
2)骨芽細胞 骨髄の造血幹細胞から分化し骨をつくる細胞.
  骨の表面にある.
3)骨細胞 骨芽細胞からつくられる細胞.
4)破骨細胞 骨髄の造血幹細胞から分化し骨を溶かす酵素を分泌する.

■骨基質・・有機成分の膠原線維,無機成分のリン酸カルシウム,水酸化カルシウム,ハイドロキシアパタイト,ナトリウム,マグネシウム,フッ素などからなる.


1.骨膜
periosteum


骨の表面(※関節面,腱や靱帯の付着部を除く)を包む2層の薄い線維性の膜.
骨の太さの成長に関わり神経や血管に富み,成人になっても骨の修復作用に関わる.下(深層)の骨質とはシャーピー線維Sharpey's fiberで強力に結合する.

2.軟骨
cartilage


軟骨細胞chondrocytesと細胞外基質(硬度を維持するコラーゲン,水分保持作用のプロテオグリカン,ヒアルロン酸など)が主成分の線維状や網目状の構造体で,通常,神経や血管,リンパ管はない.弾性および柔軟性がある結合組織で,硝子軟骨,弾性軟骨,線維軟骨に分類される.

細胞外基質extracellular matrix
  膠原線維(コラーゲン)collagen
  プロテオグリカンproteoglycans
  ヒアルロン酸hyaluronic acid

硝子軟骨hyaline cartilage
  軟骨膜perichondrium
  骨端軟骨epiphysial cartilage
  関節軟骨articular cartilage

弾性軟骨elastic cartilage
(=黄色軟骨yellow cartilage )
  エラスチンelastin fibers

線維軟骨fibrocartilage
  膠原線維(コラーゲン)collagen

硝子軟骨(ガラス軟骨)とは?


type IIコラーゲンを多く含む.硝子軟骨の表面(関節軟骨を除く)は厚い結合組織の層(軟骨膜)で被われて青みを帯び軟骨の修復や成長を行う.胎児の骨格の大部分は硝子軟骨であり,成長とともにゆっくりと骨へ置き換わる(置き換わる時期は骨により異なる).その他,関節軟骨,気道の軟骨,肋軟骨,成長期の骨端軟骨に存在する.

1)骨端軟骨(=骨端板,骨端軟骨板,成長板) 骨端と骨幹の間にある板状の硝子軟骨.骨が完成(骨端線が形成)するまで骨の長さの成長に関係.骨の完成時期は骨により異なる.

2)関節軟骨 0.5~4㎜の厚さで関節表面を被う硝子軟骨.その摩擦係数は0.001~0.006で潤滑性が高いが自然修復能力は極めて低い.

弾性軟骨とは?


エラスチンを多く含み柔軟性がある.黄色みを帯び黄色軟骨ともいう.耳介(じかい),耳管,喉頭蓋(こうとうがい)にある.

線維軟骨とは?


type I コラーゲンを多く含む堅固な軟骨でプロテオグリカンの含有量は少ない.力学的負荷がかかる部位にある.腱や靱帯の付着部,特定の関節(顎関節,肩鎖関節,胸鎖関節),関節円板,関節半月,恥骨間円板,線維輪にある.

3.骨質
bone substance


表層にある緻密骨,深層にある海綿骨からなる.

緻密骨compact bone
   ハバース管Haversian canal
   フォルクマン管Volkmann canal
   栄養血管nutrient vessel

海綿骨spongy bone
   骨梁trabecula

髄腔medullary cavities


■緻密骨(緻密質;皮質骨)  象牙様で固く強度がある.骨の表層にあり骨幹部で厚く骨端部で薄い.関節軟骨の下(深層)も緻密骨が薄い皮質となって被う.
 ハバース管 縦へ走る小管で栄養血管を通す.
 フォルクマン管 横へ走る小管で栄養血管を通し,ハバース管同士やハバース管と骨表面とを結ぶ.

■海綿骨(海綿質)  緻密骨よりも内部にあり骨梁(こつりょう)を形成する.骨梁は,荷重(力学的負荷)方向に関連した網目状や線状の構造で,その間隙(かんげき)は骨髄で満たされる.

■髄腔(ずいくう) 海綿骨よりさらに内部の間隙で長(管)骨にある(成人の鎖骨は例外で髄腔がない).

4.骨髄
bone marrow


海綿骨の間隙と髄腔を満たす柔らかいパルプ状の細網組織で赤色骨髄と黄色骨髄がある.

髄腔medullary cavities
赤色骨髄red bone marrow
黄色骨髄yellow bone marrow

■赤色骨髄 造血機能がある骨髄.5歳頃までは全ての骨髄が赤色骨髄である.成人では,脊椎,腸骨,胸骨,肋骨,長管骨の近位端にある.
■黄色骨髄 造血機能が終わった赤色骨髄が脂肪組織(黄色に見える)へ徐々に置き換わったもの.

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