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ロックダウンのNZで 某第3東京市と化したオークランド、4回目のロックダウンに合成の誤謬を見る

ニュージーランド政府は本日夜に緊急記者会見を行い、新規の市中感染が見つかったことで、4度目のロックダウンを敢行すると発表した。

今回のロックダウンは、前回と同様にオークランドがレベル3、その他がレベル2で、またしてもオークランドに行動規制がかかる事態となってしまった。明朝6時から規制が始まる。まるで某アニメに登場する第3東京市の様相を呈してきた。

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国中の携帯電話に一斉送信される警報メッセージ。
緊急地震速報に似ている。

人災的側面

今回のポイントは、前回のクラスターであるパパトイトイ高校のある生徒の、兄に当たる人物が取った行動にある。

まず、当該生徒自体は3度の検査で全て陰性だった。しかし、23日に家族である兄が風邪のような症状を呈し、26日に検査を受けた。その後、自主隔離することなく、生活圏内での移動を続け、特に訪れたスポーツジムはたくさんの人が利用することから、新たなクラスター発生源になりかねないとして、大急ぎでコンタクトトレースを行っている。

DNA解析が終わっていないが、もしパパトイトイ高校の市中感染と同じ英国株だった場合、感染力の強さからすでにクラスターが発生している可能性が高く、今回の会見が「緊急」記者会見だったのはそういう意味だ。取りあえずオークランドは今すぐ人の動きを止めないと、最悪の場合、蔓延の可能性もありうる。

合成の誤謬

症状が出てから後も、自主隔離をせずに日常生活を送ってきたこと、特にテストを受けたあとにスポーツジムに行ったことについて、SNSでは例のごとくこの人物を攻撃する人がたくさんいる。

確かに、この人物の取った行動は軽率だし、実害も出ている。私だって、今回のロックダウンが元で職を失うかもしれない。その時、冷静でいられるかはわからない。

だから、この人物を擁護はしないけれど、積極的にSNSで石を投げることは、私はしないし、したくない。ルールに違反した人に厳罰を科すべきと言う声がすでに上がっている。一見、正しいことに思えるけれど、これこそ「合成の誤謬」ってやつじゃないだろうか。

民主主義の怖さはここだ。熱狂した大衆は、誰にも求められない。

今回は、テスト後にジムに行くという明らかに軽率な行動だから批判しやすいけれど、では、軽く喉が痛むだけで自分の日常生活を、直ちに、「ロックダウン」できる人は、どれだけいるんだろうか。生活に必要な買い物は?は?子供の送り迎えは?仕事は?

症状があったら、休む。一般論としてそれは正しいし、確かに皆がそれに従うべきだ。でも、運用が簡単ではないことは確かだ。攻撃している人は、そのことを自覚した上で、攻撃しているんだろうか。

検査を受けて、その前後の行動が批判されるようになったら、誰も検査を受けなくなる。かといって、厳罰をもって臨まないと徹底はできない。飛行機の事故調査と同じだ。

うまくやってるように見えるニュージーランドもジレンマを抱えて綱渡りをしていることにはかわりはないようだ。

たくさんの方々からサポートをいただいています、この場を借りて、御礼申し上げます!いただいたサポートは、今まではコーヒー代になっていましたが、今後はオムツ代として使わせていただきます。息子のケツのサラサラ感維持にご協力をいただければ光栄です。