「被害者意識」に捕われない働き方のススメ。


私を誰より可愛がっていたのは、私自身だったんです ー
いつまでも被害者でい続けることで、周囲をみんな、加害者にしてしまいました。
(中略)
だからいつまでも「被害者意識」から逃れられない理由でもあるのですが、それゆえにどんな揉め事でも相手が悪いから、反省もないのです。
撫物語 029


西尾維新 著「撫物語」は人気アニメ「化物語」をはじめとする人気シリーズの第21作目です。毎回登場ヒロイン(主役)が代わり、本人自身によって語られていくストーリー。今回の主人公は千石撫子。撫子というと、物語シリーズを知らなくてもアニメの主題歌から独り歩きして有名になったこの曲「恋愛サーキュレーション」が有名ですね。

本ストーリー上では、どんどん堕ちていってしまうという役柄でしたが、今回は騒動が落ち着いて、一段落した後の撫子(と斧乃木ちゃん)による、いつまでも逃げ続けていた、被害にあっていた女の子が現実と向き合う怪異談。なんですが…。

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引っかかった言葉「被害者意識」

今回は本自体はいいんです、もちろん面白いんですけどね。実はストーリーの結末に当たる部分で撫子がこの気づきを得ます。それに対して扇ちゃんが「含蓄のある話だね。」と言ってますが、そこから自分自身に当てはめて、まさにこのような状態に囚われていた時期があったなと、一気に過去に振り返り、同じく"気づき"を得ることがあったからです。まさに自分もその「被害者意識」に囚われている時期があり、客観的に見て当時の自分も同じような考えを持っていたかもしれないなと反省することになりました。そこであったことを自分への反省として、そして周りの方が同じ状況に陥らないための参考になればと思い、恥ずかしながらもまとめていきます。

02
さて、なにがあったか(自分語りのフェーズ)。

前職では未経験でWEBディレクターとして転職し、大手クライアントの運用案件中心に社内でチームが結成され、そこに新加入という形で入社した私はOJTの一環で当時の上司が担当していたキャンペーン制作を一緒に手伝うことになりました。
そのキャンペーンは月2・3回ほど案件があるのですが、当時は制作運用も安定しておらずまさに事故物件と呼んでもいいような状態。そして入って3ヶ月ほどでその上司が体調不良にて即離脱。まったく経験がないシステム案件を引き継ぎほぼゼロ状態で、まるっと任されることになったというのが事のはじまり。
まあそこから、失敗しながら事故りながら、時に周りに助けてもらいながらなんとか勧めてきたのですが、かなりの頻度と工数にも関わらず、他チームメンバーに割り振られることもなくいつまでも担当はわたしだけのまま。やっかいだったのが、かなりの売上になっていたため一部社内からは評価?される始末。運用で受けてるので案件は数多くデスマーチの音色は高らかに鳴り響くも、チーム内でひとり分離され、まさにそのキャンペーンだけやってるマンに陥ってしまった私。

そんな状況で、どんな精神状態になっていたか振り返ってみると、
・被害者意識でいっぱい
・この仕事は自分しかできないというプライド
・過重労働から来るメンタル低下
前述したように、不可抗力で突然振ってきた事故案件をまるっと被ってしまった。そしてそのまま一人担当することになったことで、自分の中に「被害者意識」が生まれてしまっていたことは間違いありません。まさにプチメンヘラ状態。「ミサトさんも、綾波も助けてくれなくて怖いんだ。助けて、助けてよアスカ。」とか言ってる感じ。
抜け出すきっかけが無かったとはいい切れませんが新しいことにチャレンジする行動力が低下し、他の案件など機会があっても手を挙げず「この案件が優先」「忙しくて無理」が良い言い訳になりました。自分がひどい状態に陥っていても、自分が招いたことじゃない、自分のせいじゃないと簡単に他人に責任転換していたように思えます。そしてそれは、もちろん理想としている自分とは異なるものです。

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この3つの相乗効果


この3つが組み合わさると非常に厄介だなぁと、いま客観的に振り返ってみて感じます。自分の状況を元に少し考察してみると、自分でも周りも「なんでこんなことやらされてるんだろう?」と思っているにも関わらず、それが自分の価値を高める評価対象(誇り)になってしまっているから止めることは自己否定につながってしまう。その仕事がなくなってしまったらずっとそれだけやってきて、それで評価された自分はどうなってしまうんだろう?という深層的な不安が逃げるという行動を起こさせません。それを責任感と言い換えてしまっていたかもしれません。またメンタルが低下してることで、周りとのコミュニケーションや協調力の低下。そして厄介なのがこのような状態になってしまったことで、誰かに助けを求めることをしなくなることです。

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被害者意識+プライド


現在では、一時的に実家のコンビニを手伝っているのですが、経営している父もまさに同じような状態に嵌っていました(親子ですね笑)。一日も休まずに深夜に出勤し、経営者として自分で調整することもせず、「休んで」といっても聞けない状態となっていました。特に批判された時に必ず返される発言に、その時の状態がよく表されていました。
「わたしは、一日も休まずに働いているんだ怒」と。


誰も休まず働いてなんて言ってないんだよね。というかそもそも経営しているんだから自分で管理しなくちゃいけないよね。客観的に見たらそれが当然なのかもしれません。しかし"被害者意識バーサクモード"になっていると、なにかあったら人のせい、そしてプライドを使って自分を守ろうとしていました。ただそれは大切に扱ってほしい、正しい行動をしてると思わせてほしいという叫びなのかもしれません。


こんなことを自分は2回ぐらい経験してる笑のですが、2回目は不可抗力で巻き込まれたのではなく自分で選んだことでした。ただそのような状態でも過重労働になってくると、むっくむくと心に宿った被害者意識が大きくなってきます。「誰も助けてくれない」病が襲ってくるんです。注意しなければいけないのは過重労働だけでも被害者意識バーサーカーを作ることはできる。ということ。

05
被害者意識のゴール


このような意識を持つと、最終的にどうなってしまうんでしょうか?
私は結果、溜め込んだ被害を周りに撒き散らすことになってしまったんです。自分一人ではどんどん受けきれなくなった案件や、解決できないタスクが溜まりに溜まって事故りました。処理できなくなった、事故ったタイミングから強制的に周りにフォローしてもらうことになるのですが、会社の有志一同を巻き込んで多大な迷惑をかけることになります。申し訳ないと思いつつも、残念なのがそんな中でも心底では「自分は悪くない」と思っているところでしょうか。
多分このような状態になってしまうのは不可抗力があるにせよ、もちろん自分自身にも問題(性格とかも含め)があると思います。では自分の中に宿った被害者意識を成長させないために、どのような考え方をすると良いのでしょうか。

06
被害者意識という気付き


まさに「撫物語」を読んでなのですが、過去あの時このような状態になっていたなということを文字で見ることで、客観視することができたのは自分的に大きいです。世の中に当たり前だけど"気づく"ということは実は自分の行動を変える良いターニングポイントです。自分はこの気づきを元に過去の出来事を改めて振り返り反省することができたこと。知るというだけでもそうならないよう注意するきっかけができました。


自分の仕事を、手離れしやすいようにする
よく言われることですが、「この仕事は自分しかできない」なんてことは余程のスペシャリストでない限り無いでしょう。退職するとよくわかりますが、自分がやっていた仕事は同僚や新しく入った社員がしっかり穴埋めできるものです。
自分の仕事に対していつでも引き継げる、極端に考えるならばいつ自分がクビになってもいいぐらいの気概を持っておくこと。それをもちろん行動にする必要もあるので日々の仕事をマニュアル化していったり、また情報を随時共有し、その仕事を他の人でも担当できるように準備しておく。プロジェクトメンバーもはじめから社内で人を巻き込んで最低でも2人体制(もしくは1.5人体制)とすることで、ストレスの分散化ができるといった効果もあります。全部自分が責任を背負うのではなく、役割をしっかり決めて責任も分担しましょう。またこういった地道な作業は休暇などその他突如起こる事態にも有効です。動き始めの時点から自分しか知らない環境を作らないことが大事です。自分で貯めれば貯めるほど、その仕事から逃れられなくなります。そして今やっている自分の仕事を手放さないことには自分は次のステップに進めなくなってしまいます。


外部に相談できる人を作る
社内に助けを求めることも重要ですが、助けを求めたけど誰もわからないし介入もしてくれなかった…。なんてこともあり得ます笑。そんな時、社内で分からないなら外部!日々のつながりの中で、自分の業務に関して外部に相談できる人がいると客観的な意見をもらえるのでお勧めです。また自分ができないからこその外部パートナーだと思いますので、積極的に業務の相談や質問をしてみてはいかが?ただ下請け業者はクライアントの家庭教師ではないので、もちろんWin-Winの関係になるよう意識することを忘れずに。また社内スタッフの役割を再確認し、誰がそのスペシャリストなのか見極めることも重要です。わからないことが出来た時に誰に聞いていいのかわからない、自分で貯め込んでしまうといったことがないような環境を作っていきましょう。


(早めにお薦めの手段)休む
四の五の言ってる場合じゃないです、休みましょう。パラメーターを休息に全フリしましょう。英語の勉強とかしてる場合じゃないです。


過重労働や、わからないことを一人担当にされてしまった場合このようなケースになる可能性があるということを事前に知っているだけでも、ある程度対策はできると思いますし、案件の割り振りをする時点で塞ぎこんでしまうような体制にしないということも重要かと思います。正直、自分も客観視できただけで具体的な対策方法を実践したわけではないんですが、ただ知ったということまた振り返り反省できたということで、自分でもまた同じ状態にならないように環境を整えていきたいと思っています。またこのような状態になっている同僚には、無理やり介入して状況を整理してあげる必要があると思います。助けを求めてくるまでなにもしないでは、いずれ破綻してしまうのは明白です。早めに手を打ってあげてください。

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最後に

最近よく自己啓発本を読むことが増えてきたのですが、特に興味深い考察を与えてくれる精神科医ゆうきゆう原作の、漫画で心理学を面白く教えてくれる「【アドラー心理学】マンガで分かる心療内科・精神科in池袋 第6回「課題は分離しろ!」」に自分の行動を変えようと思えるきっかけになるメッセージがあったので、併せて紹介します。

みなさんも受動的な行動で、人のせいにしてしまった経験はありませんか?私自身も両親のコンビニを手伝うきっかけになったのもまさにこのメッセージの影響がありました。自分がやりたくないのに両親の体調不良などで不可抗力的にやらなければならないような状態が生まれ、また人のせいにしてしまう可能性を増やすよりも、自分自身で決断することで前向きにチャレンジしていこうと考えたからです。
ちょっとした仕事でも受け身の姿勢で受けるのはなく、自分で手を挙げること(自分自身が選択)を試してみてはどうでしょうか?

教訓
・「被害者意識」状態を知ること
・自分の人生の決断は、自分自身ですること

参考:
撫物語
【アドラー心理学】マンガで分かる心療内科・精神科in池袋 第6回「課題は分離しろ!」
被害者意識には三大基本欲求ってのがあるってお話し。

※特定の個人や組織を批判するものではありません。
※この記事は2017年4月3日にg.o.a.tで公開した記事の再編集版です。

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