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千夜蹴行 第五夜

「70m先の1cm」

 今夜は、天才的なミッドフィルダーの話。ゲームを操る。この魅惑的な響きは、ゴールシーンに勝るとも劣らない魅力を発するよね。
 一本のパスがディフェンダーを切り裂き、そして、ゴールを生み出す。フィールドの中央に位置し、鋭い嗅覚でチャンスの谷間を嗅ぎ分け、誰もが予想し得ない場所にパスを通す。まさに、一撃必殺のインターフェースって感じだな。

 こんな中盤のファンタジスタを語るとき、けっして忘れることの出来ない奴がいるんだ。
 ギュンター・ネッツアー。60年代後半から、70年代前半にかけて活躍した西ドイツの天才プレーヤーだね。ボルシア・メンヘングラードバッハで名将・バイスバイラー監督に見出されたネッツアー。
馬並の肺活量と活動量で「駿馬のイレブン」と言われたボルシアMGのカウンターサッカーを操っていたんだな。

 ブロンドの長髪をなびかせて、31cmの大足から繰り出されるパスは、70m先に1cmの誤差(ほんとに、測ったんかい!!などと言ってはいけない)とも言われていたね。  
 さらに、信じられないほどの距離を走り、炸裂するようなシュートを放つ。ま、バッジオのエレガントさに、ダービッツの運動量を搭載し、バティーのシュート力を兼ね備えた男。そんな感じだよ。すげ~だろ。 
 でも、残念ながらワールドカップで活躍することは無かったんだ。74年の西ドイツ大会の時は、怪我やその他の軋轢で、その場を右半身不随の男・オベラート(左足しか使えない、名波くんみたいな奴)に渡してしまったんだな。不運と言えば、不運だけど。
 その後、レアルマドリッドに移り、黄金期を築き上げたね。ドイツも、このネッツアーみたいなプレーヤーが再び現れれば復活するかもな〜。
 がんばれ!ゲルマン魂!
と言うことで、今夜は終わりにしとくか。  そいじゃ、またね。

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