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占い師の葛藤。

心根が優し過ぎるが故。

遺伝子に強く組み込まれている、
他人の苦労を少なくしたいという欲求が自分を突き動かす時、
同時に焦りが喉奥に迫ってくる。

(この行動は彼らを救うか?)


只只管に目の前の陥りそうな人生を助けたいと考えてしまう。
全く関係のない他人に関しても。
だから星図や命式を出して診てしまう。
目の前に迫った問題について解決策を知ってしまう。
だけど、

この行動は彼らを救うか?

葛藤する事幾度となし。


近年は自分の事の方に気持ちを向けているから、
今は彼らには何も口を開いてはいない。

でも本当は突いて出そうになる。
でも本当は彼らに自ら答えを知って欲しい。
だから彼らを時に任せている。
今は。

萌え出した芽を差し出さんとする相手は、
空腹の鹿であると。
本来は如何に己を護る術を伝えたいけども、
それを見て見ぬふりをしている。

今は鹿に喰われてくれと。

その芽を今は喰われてくれと。

非情になり、時を待つのも。
今は知らぬ己が運命を。
待ち、受けて、傷を知って進めと、知っている。
台本はこの劇を悲劇と終焉した。
その台本を既に読んでいながら、何も言わずに今は見送るのみよ。

新しい春の風は君の柔らかい芽を根ごと失わせると知っている。
それは君の新しい試練の幕開けだと知っている。
だからそれを伝えない。
知らぬ事は、又、幸い哉。

幸いは、幸いを感じる為の深層の少し上澄みであると、私は痛感するのだ。

だから今は知らぬままで。


嗚呼…!幸い哉!


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