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雑談で心をラクにする。

私の2024年1月1日は両親と実家でこたつに入りながらみかんを食べていた。
テレビでは明石家さんまさんと木村拓哉さんが一風変わったレストランで食事をしていた。

家族といっしょにダラダラと観ていたら、突然テレビのスピーカーから鳴り響く緊急地震速報。
何回聞いても聞きなれない、何回聞いても不安にかられるあの音声。
震源地は石川県だった。関東でも気持ち悪い揺れ方だった。

この瞬間から日本中の空気感が入れ替わったように思えた。お正月で和やかな空気は途絶え、テレビやラジオで触れ合うのは被害の生々しい映像ばかり。
NHKのアナウンサーは避難を促すために語気を強めてマイクに音を載せる。
その声は日本全国に点在するテレビのスピーカーを使用して拡声される。

強い語気に思わず耳を背けたくなりNHKからチャンネルを変えようとも思ったが、地震が多い日本ではいつ自分達が被災してしまうかわからない。
「もし自分が被災地だったらどうするか」というイメージをつけるためにも、じっとテレビの映像と音声を受け取り続けた。

私達の家族は福島に実家があり、東日本大震災で多くの親戚や友人の消息が不明となってしまった。
今回の地震規模からも、既視感のある光景がテレビから流れてくることに心を乱されていた。

不安に駆られながらも報道特集に切り替わったテレビ映像をザッピングしながら家族と会話をする。

「NHKのアナウンサーうるさいけどこうじゃないと逃げない人いそうだもんね」
「わざわざ1月1日じゃなくてもいいのにね…」
「去年の夏に佐渡島へ旅行してたんだけどなぁ、被害少ないといいけど…」

ただの雑談だが、ただの雑談があることで心を落ち着けようとする。
全員がなんとなく、そうしたくてしている雑談だった。

ひとつ屋根の下で信頼のおける家族とちょっとした雑談をし続ける。
長年住んでいたのだから、言葉を発さずとも相手の雰囲気と行動だけで気持ちを察することができる。
これだけ心を落ち着けられる場所は、私にとってはここが世界で一番だ。

こうした雑談は家族だけでなく、友達と話すでも気持ちはラクになった。
いつもはくだらない内容の発言しかしないLINEしかしないグループでも、適当な雑談を重ねることでゆるやかな繋がりを感じて心が落ちつく。
私のことを知っていてくれる人と雑談をするのは、なんとも落ち着くものだ。

⭐︎

なんだかんだ、人はコミュニケーションが必要な動物なのだと思う。
自分自身の生活が穏やかなときはひとりでも生きていける気がしてしまうのだが、こうして世間が揺れ動いてしまうと、どうしてもコミュニケーションを取りたくなってしまう。
不安定な状態でコミュニケーション不足だと気分が塞ぎ込む実感がある。
気分が落ちると過食気味になってしまったり他人に不躾な連絡をしてしまったりと、絶対に良くないことをしてしまいがちになる。
もういい加減にいい歳なのだから、自分の機嫌が良くなるように対策はし続けなければならない。

⭐︎

もちろん個人差があることは重々承知した上で、だが。

コミュニケーションは人類にとって必要。
これはもう人間の本能的に仕込まれたプログラムなのだと感じた。
天気の話をしていっしょにいることを共感したり、ちょっとした冗談で笑い合ったり。
雑談をして自分と相手の良い感情を表に出すことで少しは心が浮上する。

人類に雑談は必要だ。
どんな状況にあっても。


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