就職活動 飲み込まれる


就職活動、ガクチカ、志望動機。
つまらねーーー。これほどまでにつまらない言葉の羅列があるだろうか。

そこに身を呈してダイブしていくたび、自らの身体と心は削られ、染色され、透明化していくような感覚に陥る。

Q.あなたが今まで力を入れたことはなんですか?

その問いで問われているのは、あなたが力を入れたことではない。
問われているのは、あなたが力を入れ、そして世の中に益をもたらしたその結果だ。
あなたの人生と行動がどのように世の中に役立ったかだけが問われる。
そこにわたしは存在しない。

その問いに答えるたびに、自らの人生を自らの手によって再認識し、再定義し、言葉に綴る作業を繰り返す。
その度に、私の人生の意味を、世の中にとって有益だったこと、意味があったものとして、作り変えていく。
この「社会」のための身体が、構築されていく。


牛乳が甘い。外で犬が泣いている。肌寒いから赤いセーターを着る。そういう、美しくて(無駄な)ことが、私の人生の中から削ぎ落とされていく。
心から笑ったり、泣いたり、社会にとっての意味がないことが、削ぎ落とされていく。
夢とか、反抗とか、連帯とか、そういうことも無に帰する。

そこに、抗うためには自分を創り出し、偽り、提出することでしか、
この軟弱な皮膚という殻の中で流動し蠢く自分自身を守れない。
それが、お金をもらってこの社会で生きていくための術なのだと納得する。
いつまでも素直で、ありのままで、生きるなんてことは難しい。
その中で、どうやって私を守りながら、死なないようにうまく生きていくかってことなのかもしれない

死んだら終わりだと思う。
生存は抵抗だなんて言葉を友達が教えてくれたが、本当にその通りだと思う。
死なない程度に狡猾に、でも信念を持ち続けて心で静かに炎を燃やし続けて生きることで精一杯だけど、それこそが最も素晴らしい。

私はここに生きている。この社会に嘘をつきまくって、死なない程度に、生き延びてやるんだ。
そんくらいの性悪さと美しさを持って、立ち向かっていきたい。


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