ひとめぼれとタケルくん

食べることは、生きること。

炊飯の水加減をちゃんとカップで量ってご飯を炊いたのは、たぶん、人生で小学校の家庭科の授業一度きりだと思います。義務教育において家庭科の役割は、家事手伝いをしてこなかった、する機会を与えられなかった子ども達に自分の力で生きるヒントを与える大切な機会だと思います。洗濯機がないと自分でパンツも洗えない大人、案外いるのではないでしょうか。

私はというと、田舎特有のかかあ天下ならぬ婆天下の環境で育ったので、小学校に上がる前から火を使う料理とお裁縫以外の家事は一通り出来たし、それが「普通」だと思っていたので、きっちり計量しないと料理が出来ないとか賞味期限を過ぎたものは即座に捨てる、というタイプの人を見ると、自分で味や状態の判断が出来るほどの生活力がないんだなぁと思ってしまいます。(勿論、お店などの売り物は販売基準があるのでルールを遵守すべきだとは思います)

そんなわけで、料理の味付けはもとより炊飯の水加減も大体目分量で感覚的に生きてきたわけですが、遠征の食事を作るとなると話は別です。例えばお湯を沸かす作業でも既定量を越えると容赦なく吹きこぼして座席が大惨事になるし、水加減を間違えたご飯はお粥以上の固形物になれません。よくて糊。私の地元は寒冷地なので、ひとめぼれ等の水加減を少な目で炊ける品種がメジャーなのですが、遠征用にわざわざ無洗米を買わなくとも洗い米をタッパーに冷凍してペットボトルに水道水を入れて運べばいいのでかなり楽です。

遠征当初は持参した冷凍おにぎりを翌日お茶漬けにして食べたりしていたのですが、お米の美味しい田舎で生まれ育った身としては、遠征期間が伸びれば伸びるほど炊きたてのご飯が食べたくなる不思議。そういえば、311で陸の孤島と化した釜石で、半月ほどがっつり被災生活した我が親父殿は、遠野から3時間かけて届いたおにぎりがまだ熱々で涙が出るほど美味しかったと言っていたな。

温かいご飯には食べ物以上の力があるのかもしれない。

保冷温庫を買ったあと、食材の保存に悩む必要性がなくなったので自炊のハードルがだいぶ下がり、ようやく車載用の炊飯器を買いました。12V用の直流炊飯器タケルくんです。1.5合炊き用ですが、サブバッテリーの試運転だと2合でも炊けました。2合炊いても1時間かからないので早いほうかな。勿論普通の炊飯器に比べたら炊き上がりはランクダウンしますが、サブバッテリーでも炊飯出来るし車内や停電時にも炊きたてのご飯が食べられるので御の字です。

運転中は走行揺れで水平状態を保てないので炊き上がりにばらつきが出ます。食べられないことはないけどお米が潰れてたりするので、公式サイトの注意通り駐車中に作るといいと思います。蒸気口が針先程度で湯気がほとんど出ない仕様になっているらしく、マジで存在感なさすぎて運転中にうっかり触ると悲鳴が出ます。蓋の上にレトルトカレーとか乗せておくと熱々のを一緒に食べられるのでオススメです。普通にご飯炊いてカレー作るより美味しく感じられるのは何ででしょうね。

水加減を失敗した時は、フリーズドライのお味噌汁とかを追加投入してしばらく保温放置すると簡単に雑炊が出来てこれもまた美味しいです。

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