《8/10 追記》【ポケモンSV・ゼロの秘宝】 「キタカミの里」を言語・文化・モチーフの観点から考察
2月27日、PokemonDayにて『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以降、「スカーレット・バイオレット」と呼ぶ)のダウンロードコンテンツ(以降「DLC」と呼ぶ)の1st Trailerが公開された。
DLCのタイトルは「ゼロの秘宝」。
前編・後編に分かれており、前編が「碧の仮面」、後編が「藍の円盤」。どちらもパルデア地方の外が舞台であり、前編が「キタカミの里」、後編が「ブルーベリー学園」へと旅立つ。
続く、約4ヶ月後の6月21日に配信された
『Nintendo Direct 2023.6.21』にて、
DLC「ゼロの秘宝」の2nd Trailerが公開された。
映像では冒険の舞台となる「キタカミの里」「ブルーベリー学園」のフィールドや新キャラクターの姿が公開され、初めて実際の冒険のようすが明かされた。
そして、1ヶ月半後の8月8日に配信された『Pokémon Presents 2023.8.8』にて、
DLC「ゼロの秘宝」の3rd Trailerが公開された。
映像では新キャラクターや新ポケモンなどの姿が公開された。他にもお楽しみ要素やオーガポンのテラスタルした姿などが明かされた。そして映像の最後には「前編・碧の仮面」の配信日が9月13日に決定したことが明かされた。
そこで本記事では、「前編・碧の仮面」の舞台「キタカミの里」について、PokemonDayとNintendo DirectとPokémon Presentsで公開された映像と情報を元に考察していきたいと思う。
考察方法としては主に、キタカミの里を言語・文化・モチーフの観点から深堀りすると同時に、ヒスイ・シンオウ地方との共通点を探っていき、その世界観に迫っていきたい。
そして、キタカミの里に伝わるともっこさま伝説についてもモチーフの視点から考察していこうと思う。
なぜこのような手法を採るのかというと
キタカミの里とヒスイ・シンオウ地方との共通点が多いからである。
なので、本記事では和風な世界観という共通点から見えてくる他地方との繋がりとモチーフからキタカミの里を考察する。
【概要】
● 公式サイト
▼ 新たに登場するポケモンたち
▼ 登場人物
《3rd Trailer追記》
(備考)
碧の仮面のメインイラストを見れば一目瞭然であるが、キタカミの里は和風の世界観である。
左右にはたくさんの提灯が吊るされており、主人公や新たに登場するキャラクターのゼイユとスグリもじんべえの姿で、彼らの後ろには三角屋根の建物が立っている。まさしく和風であり、日本の伝統的なお祭りの風景という印象である。
2nd Trailerで公開された情報ではスイリョクタウンを拠点にストーリーが展開され、イイネイヌ、マシマシラ、キチキギスの3体が「ともっこさま」と呼ばれていること、キタカミの里では伝統的なお祭り「オモテ祭り」が開催されることなどが明かされた。
また、ゼイユとスグリの説明にある「他の地方からやってきた人に対して、冷たい態度をとることがあるようです。」、「パルデア地方からやってきた主人公のことが気になるようです。」との一文からキタカミの里はパルデア地方とは別の地方にあることが分かる。実際、2nd Trailerではウパー(パルデアのすがた)ではなく、原種のウパーが生息している様子が見られる。
3rd Trailerでは、サザレやブライアといった新キャラクターや「鬼退治フェス」や「とこしえの森」での写真撮影などお楽しみ要素が公開された。また、林間学校では課題としてキタカミの里に伝わる昔話が書かれた看板を探すオリエンテーリングが行われるようである。
● 1st Trailer
● 2nd Trailer
● 3rd Trailer
【考察】
■言語|キタカミの里とヒスイ・シンオウ文字
1. 共通の文字を使う意図とは?《3rd Trailer 追記》
1st Trailerや2nd Trailerの掲示板や屋台、看板などの文字を見てなにか気付かないだろうか……?
そう、使われている文字が『LEGENDS アルセウス』および『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』で使われた文字と同じなのだ。
(ここからは当該文字を「ヒスイ・シンオウ文字」と呼ぶ)
例えば、1st Trailerの掲示板。
掲示板に貼られた黄色い長方形のポスターの文字列と『LEGENDS アルセウス』より、キング場の垂れ幕の文字列と完全に一致するのである。
他にも看板に書かれた文字列も『LEGENDS アルセウス』にて、使われていた文字と一致する部分があるとTwitter上で報告されている。
そして、2nd Trailerも含めると共通する文字列はさらに増える。
例えば、バス停の行き先と思われる3つの文字列が『LEGENDS アルセウス』より、ギンガ団本部の掛け軸と一致する。
例に挙げたものの他にもいくつか2nd Trailerと『LEGENDS アルセウス』で共通する文字列が確認されている。
1st Trailerと2nd Trailerの同作と共通する文字列を整理し、まとめたものが下記の表である。
3rd Trailerで新たに確認できたヒスイ・シンオウ文字の内、『LEGENDS アルセウス』の作中の文字列と一致した文字列は3つ。2nd Trailerであらかた出尽くしたのか新たに確認できた文字列自体が少なかった。
以上を鑑みるとキタカミの里ではヒスイ・シンオウ文字が公用語として使われていると見てよいだろう。一応、文字は同じだが文法は違うなどの可能性はある。だがそれでも、文字体系が同じであるということは確かである。
この文字の一致は果たして偶然だろうか?
それとも、明確な意図をもって一致させているのだろうか?
また、なぜパルデア文字ではないのか?
これらの疑問に答えるために、ポケモンシリーズにおける言語の使い分けについて解説する。
ポケモンシリーズのゲーム内言語としては
『金・銀』でのアンノーン文字が初出である他、第3世代で登場する点字や第5世代で登場する海底遺跡文字などがある。しかし、いずれも古代遺跡でのみ見られる文字であり、作中(現代)で他に使われている描写はない。
公用語としての文字がポケモンシリーズの中で初めて登場した作品が、『サン・ムーン』である。
ファンの間では舞台であるアローラ地方にちなんで、「アローラ文字」と呼ばれる。
『サン・ムーン』以降の全ての作品に公用語としての文字が登場しており、以下の5種が存在する。
作中での主な用途は、店やジムなどの建造物の看板、街や人などの名前、雑誌や書類などの文章等であり、非常に広い場面で使われている。端的に言うと地方における標準文字であり、その地方の文化、世界観を表す象徴的な意味を持っている。
そのため、作品内に登場する公用語は、1作品あたり1つであることが多い。
実際、『ソード・シールド』では、ガラル地方が舞台であるためか、作中に登場する全ての文字がガラル文字である。また、同作の世界を舞台にした短編アニメ『薄明の翼』においても、同様に全ての文字がガラル文字である。
▼『ソード・シールド』でのガラル文字の一覧
ただし、『LEGENDS アルセウス』での、ラベン博士のように舞台とは別地方の出身である場合や『スカーレット・バイオレット』での、言語学の授業のように別地方の公用語が使われる事もある。
このようにして『サン・ムーン』以降の作品は地方ごとに言語の使い分けがされている。
言語はポケモンの世界を構成する要素のごく一部分である。だがそれでも、それぞれの地方の文化、世界観に個性と深み、そして没入感を与える重要な機能を持っていると言える。
以上を踏まえると共通の文字を使用する意図とは、キタカミの里とヒスイ・シンオウ地方が同じ文化圏に属し、関連した世界観であることを表現するためであると思われる。
2. キタカミの里のヒスイ・シンオウ文字はどこから来たのか?
次に、少し掘り下げてヒスイ・シンオウ文字がどのような経緯でキタカミの里で使われるようになったのかについて考える。
まず、一般に言語は人の移動に伴って周辺へと伝播していくと考えられており、これはポケモン世界でも同様である。
言語ではなく、神話についての言及であるが、
『ハートゴールド・ソウルシルバー』より、
シントいせきのやまおとこが次のように語っている。
神話や伝説は、文化や信仰とも言い換えることができ、言語はそれらと強く結びつく存在である。
神話や伝説が人の移動によって動き、各地で交わるならば、言語も同様に動き、交わっただろう。
よって、キタカミの里のヒスイ・シンオウ文字の起源は、キタカミの里が発祥か、または他地方から人の移動により伝わった、のいずれかであると考えられる。
前者の場合、キタカミの里からヒスイ地方へヒスイ・シンオウ文字が伝わったということになるが、これはあり得ないことではない。なぜなら、同文字がヒスイ地方固有の言語なのかは分からないからである。
『LEGENDS アルセウス』の作中で同文字が確認できる場所の多くはコトブキムラかギンガ団本部である。しかし、ギンガ団は様々な地方から集まった人員で構成された他地方組織であるため、どの地方の言語なのか、ヒスイ地方固有の言語なのか、判別することができないのだ。
これはコンゴウ団・シンジュ団についても同様で、ギンガ団より長くヒスイ地方に住んでいる彼らも移民であるという点は変わりない(「ふるいポエム5」を参照)。
つまり、ヒスイ・シンオウ文字はキタカミの里が発祥である可能性は否定できないという訳である。
とはいえヒスイ・シンオウ文字はギンガ団からコンゴウ団・シンジュ団まで、ヒスイ地方全般で使われている様子は作中で確認できるため、ヒスイ地方の公用語であることは確かである。
一方、後者の場合、前者とは逆で他地方から伝わったと考える。ヒスイ・シンオウ文字が確認できる地方はヒスイ地方とシンオウ地方のみであるため、ここではヒスイ地方から伝わったと考える。
キタカミの里がヒスイ地方からの移民によって作られた里であるとした場合、上記のやまおとこの言うように言語以外にも文化も同様に交わっているはずである。
よって、ここからはキタカミの里の文化とヒスイ・シンオウ地方の文化の共通点を見つけ出し、交わった痕跡を探すこととする。
■文化|キタカミ文化とヒスイ文化の共通点
1. 祭りの共通点《3rd Trailer 追記》
キタカミの里では、「オモテ祭り」と呼ばれる長く受け継がれてきたお祭りが開催される。様々な屋台で賑わうお祭りで、たくさんの提灯で飾られる。
このお祭りという文化だが、『LEGENDSアルセウス』の作中にも実は登場している。
その場面とはオリジンディアルガ/パルキアの暴走を止め、時空の裂け目を閉じた後、つまりエンディングである。
このお祭りは時空の裂け目が閉じたことなどを祝うためにデンボクの提案で行われたもので、コンゴウ団・ シンジュ団とギンガ団、三団合同で開催されたお祭りである。上記イラストではカイがやぐらの上で笛を吹く様子が確認できる。
こちらのお祭りもたくさんの提灯で飾られ、みな浴衣に身を包んでおり、キタカミの里のお祭りとの共通点が伺える。
ちなみに、コンゴウ団・シンジュ団にはキング・クイーンのキング場にお供え物を捧げ、感謝する祭りを行う習慣があり、こちらも「お祭り」の共通点として挙げられる。
また、お面についても共通点が存在する。
オモテ祭りでは、ピカチュウとイーブイ、ともっこさまの3匹、そしてオーガポンの仮面に似たお面が売店に陳列されており、その様子が1st Trailer、2nd Trailerと続けて紹介された。
その共通点というのがピカチュウとイーブイのお面である。
『LEGENDS アルセウス』の作中でも『ピカチュウ・イーブイ』との連携でピカチュウとイーブイのお面を特典として受け取ることができる。
他にも『LEGENDSアルセウス』の世界を舞台にしたオリジナルWEBアニメ「雪ほどきし二藍」の作中にピカチュウとイーブイのお面が登場する。
主に第三話「二藍」にて子供が被っているお面として登場する。
3rd Trailerにてお楽しみ要素として公開された「鬼退治フェス」。公式サイト曰く、キタカミの里に昔から伝わる催しものであり、ポケモンにライドし、オニバルーンと呼ばれる風船を割ってきのみを集め、きのみ台まで運ぶ遊びとのことである。
このライドポケモンに乗り、風船を割る催しと似たようなミニゲームが『LEGENDS アルセウス』にも登場する。
サブ任務の風船割りである。
フィールド上に設置されたフワンテの風船を制限時間内にできるだけ割り、割った数によって景品が受け取れるミニゲームである。黒曜の原野などのフィールド毎に1つずつ任務があり、それぞれ制限時間や風船の数が異なり、天冠の山麓が最も難易度が高い。
鬼退治フェスはキタカミの里に昔から伝わる催しものとされているが、果たしてどのようにして始まったのだろうか。少なくともオーガポンと風船は簡単に結びつく概念ではないだろう。間に両者を繋ぐ架け橋のようななにかが必要である。
例えば風船を割る遊びなんかが文化としてあったら、両者を結びつけることができるだろうか。
ひょっとしたら、ヒスイ地方から移り住んだ人々によって「風船割り」がキタカミの里へと受け継がれ、鬼退治と結びつき、鬼退治フェスとなったのかもしれない。
2. ポケモンの共通点
さらに、ポケモンに関しても共通点が存在し、
2nd Trailerの映像に登場した三角形の門前にてヒスイガーディを模した狛犬が設けられている事が確認できる。
このヒスイガーディの像はたいへん示唆に富んだものであり、これだけで何通りもの解釈が可能である。
例えば、「ヒスイ地方からキタカミの里へ移り住んだ人々が作った説」や「キタカミの里にヒスイガーディは元々生息しており、ヒスイ地方関係なく里の人々が作った説」などが挙げられる。
前者の場合、ともっこさまの伝説が何年前の話であるのかが気になるところである。移り住んだ人々による伝承なのか、それとも里の民によるものなのか。
後者の場合、ヒスイガーディがキタカミの里に生息している可能性が浮上する。すると自動的に他のヒスイのすがたのポケモン達も生息している可能性も生まれてくる。
ただし、『LEGENDSアルセウス』での、ギンガ団本部のガラルマタドガスを模した煙突のように文化として伝わっただけで、必ずしもその地方・地域に模したポケモンが生息しているとは限らないことには注意。
この像は一対二匹で門の前に構えている点から、ヒスイガーディの警戒心が強く、二匹のペアでナワバリを見張る特有の生態が狛犬の像として反映されていると思われる。
ちなみに、左側の像と右側の像。
よく見ると左右対称ではなく、右側の像だけ口が開いているのである。
これは「阿吽」と呼ばれるもので、左側で口を閉じている「吽形」、右側で口を開けている「阿形」に分けられる。これらが対となり「阿吽」となる。私たちの世界では主に神社の狛犬や沖縄のシーサーなどにみられる。
他にも、軒下にチリーンを模した風鈴が吊るされていたりと随所にヒスイ地方との共通点が見受けられる(チリーンのモチーフは風鈴であるので一種の原点回帰と言える)。
3. イモモチの共通点
そして、最後に提示する共通点がイモモチである。
『スカーレット・バイオレット』より、宝食堂というチャンプルタウンに店舗を構える食堂がある。この食堂は日本の居酒屋さながらの内装になっており、店内の大部分を占めるのはお座敷である。さらにメニューも「からしむすび」や「ぜんざい」、「かけそば」など日本食を多く取り揃えている。
そんな日本風の食堂であるが、店の入口に貼ってあるポスターが1st Trailerの掲示板のポスターと
同じものなのである。
このポスターはキタカミの里へ行く林間学校、またはオモテ祭り、いずれかの案内ポスターであると思われ、宝食堂とキタカミの里に何らかの繋がりがあることを示唆している。
また、宝食堂店内にいる女性客のテーブルに配膳されている料理がイモモチなのである。
これがその画像である。
拡大した画像がこちら。
そして、『LEGENDS アルセウス』より、イモヅル亭のイモモチがこちら。
これらの画像からわかるように宝食堂はイモモチを提供している。それも縦に青色のストライプが入ったどんぶりと一緒にである。イモヅル亭のどんぶりと同じ皿を使っているのだ。
先述したように宝食堂とキタカミの里は何らかの繋がりが示唆されている。その上でさらにイモモチと皿を通じてイモヅル亭とも関係が示唆されているのである。関係を矢印で表すと以下のようになる。
キタカミの里⇔宝食堂⇔イモヅル亭
こうしてみるとキタカミの里とイモヅル亭は宝食堂を挟んで間接的につながっている。
これは憶測だが、キタカミの里とイモヅル亭もつながりがあると考えられないだろうか。もちろんイモヅル亭は現在のヒスイ地方(シンオウ地方)にはもう存在しない。しかし、イモヅル亭が無くなってもイモモチの食文化は宝食堂、そしてキタカミの里にも伝わっているのではないだろうか。
4. 人物の共通点《3rd Trailer 追記》
3rd Trailerで公開された新キャラクターの「サザレ」であるが、酷似した人物がおり、その子孫ではないかと公開直後からネット上で話題になっている。その人物とは『LEGENDS アルセウス』よりコンゴウ団の長のセキである。
見ての通り顔立ちや目の色などが同じであり、特に根本から毛先に向かって青から色が段階的に変わっていく特徴的な髪色が完全に一致している。
他にも名前に関しても、国歌「君が代」に詠まれる「さざれ石」と「石(セキ)」で繋がっている。
君が代に詠まれるさざれ石とは、石灰石が長い年月の間に雨水で溶解され、そのとき生じた粘着力の強い乳状液(鍾乳石と同質)が次第に小石を凝固して、だんだん巨石となり、河川の浸食作用により地表に露出し、苔むしたものである(下記『さざれ石公園 | 揖斐川町ホームページへようこそ』より引用)。
つまり端的に言うと、さざれ石とは石灰石が長い年月を経て、苔むしたものである。
石灰石をセキ、さざれ石をサザレに当てはめ、君が代の文脈で考えるとサザレがセキの子孫であることは必然であるように思えてくる。石灰石(セキ)が長い年月を経て、さざれ石(サザレ)の巌となる。セキの子孫が繁栄し、現代まで続きやがて苔のむすまでになる。サザレという名前はセキの子孫の名前としてこれ以上ないほどにふさわしい名前であるだろう。そして、「千代に八千代に」の歌詞にはセキの「時」を重んじるコンゴウ団の長としての要素も含まれているように思われる。
さらにセキの相棒ポケモンのリーフィアは『ダイヤモンド・パール』や『LEGENDS アルセウス』等では苔むした岩の近くで進化する。
苔むした岩と君が代のさざれ石。
連想ゲームのように繋げると次のようになる。
セキ→リーフィア→苔むした岩→君が代→さざれ石→サザレ
『LEGENDS アルセウス』の苔むした岩のある場所はのちに「ハクタイのもり」と呼ばれるようになる。
そして、サザレの目当てのポケモンが現れるとされる「とこしえの森」はその名前からハクタイのもりに関連付けられる。
ハクタイのもりは永遠や極めて長い年代を意味する「百代」を冠し、『プラチナ』では、「とわのときがながれるばしょ」とされている。とこしえの森の永久は永久とも読むことができるため、ハクタイのもりと結びつく。また、どちらも時間に関係する名前であることがサザレひいてはセキに関連付けられる。つまり、関係を矢印で表すと以下のようになる。
セキ ⇔ リーフィア ⇔ハクタイのもり
↓子孫 ↕永久
サザレ⇒目当てのポケモン⇔とこしえの森
また、連想ゲームも苔むした岩から分岐して以下のように繋げられる。
セキ→リーフィア→苔むした岩→ハクタイのもり→永久→とこしえの森→目当てのポケモン→サザレ
繰り返しになるが、サザレのネーミングはセキの子孫としてこれ以上ないほどふさわしいネーミングであるだろう。コンゴウ団の長であり、リーフィアを相棒にする者であり、石を名前の由来とする者の子孫として3つの要素を兼ね備えた完璧なネーミングである。
ここまではキタカミの里とヒスイ地方の言語と文化の共通点を見てきた。ここからはオーガポンやともっこさま、オモテ祭りのモチーフについて考える。
■モチーフ│オモテ祭りのモデル
1. オーガポンとともっこさまのモチーフ 《3rd Trailer 追記》
キタカミの里には、ともっこさまと呼ばれる3匹のポケモンにまつわる伝説がある。その伝説ではともっこさまは悪い"鬼"からキタカミを守った英雄として伝えられている。
この鬼という概念はしばしば登場しており、『サン・ムーン』より、しまキングのハラが大試練の際、自らを「オニのハラ」と称したり、オニゴーリやオニドリル、オニシズクモなど「オニ」が付くポケモンがいたりとあまり珍しくはない。
『LEGENDS アルセウス』でも登場しており、ヒスイ地方に異変が起きた際、カイが主人公に異変と関係がないことを証明させるのは不可能であることの表現として「鬼の証明」と言うセリフがある。ポケモン世界における「悪魔の証明」である。
※画像の黒塗りは主人公の名前
これら先例では強い、厳ついなどの特徴を表すために付けられる単語であり、鬼の存在を示唆してはいたが、鬼そのものが登場したことはなかった。そのため、オーガポンが初めての純粋な鬼のポケモンである。
名前もオーガポン(英名 : Ogerpon)とオーガ(ogre)+ポン(pon)で構成されており、オーガ=鬼であることが示されている。ポンの由来は不明だが、昔々を意味する「once upon a time」のuponから来ているとする説がある。
対して、ともっこさまと呼ばれる3匹のポケモン、
マシマシラ、イイネイヌ、キチキギス。これら3匹は名前と見た目からわかる通り、それぞれ猿、犬、雉がモチーフとなっている。
名前の由来はマシマシラ (増し、猿)、イイネイヌ (良いね、犬)、キチキギス (吉、雉子)であり、3匹とも縁起の良い言葉が名前に含まれている他、同じ文字が2回以上使われている。英名に関しても同様で以下のような由来である。
しかしながら、彼らの見た目は縁起の良さを感じ取れるようなものではない。
真っ先に目に付くのが、それぞれ頭、首、胴に繋がれた毒々しい色の注連縄のような形をした鎖である。3匹とも異なる部位に付けられており、その姿は西遊記の緊箍児、犬の首輪、着物の帯を彷彿とさせる。
また、ともっこさまの石像にもそれぞれ頭、首、胴に頭巾や前掛けが着けられており、鎖と部位が対応している。
そして、繋がれた鎖には毒の力が宿るとされ、3匹ともに共通して「どくのくさり」という特性をもっている。
つまり、里を守った英雄として祀られているのにも関わらず毒の鎖なんてものに繋がれているのである。これには縁起の良さを感じ取れはしないだろう。
では何故、毒の鎖なんてものに繋がれているのか。単にどくを操る英雄であるとみなすのは簡単だが、果たして伝説を鵜呑みにして良いのだろうか。この鎖の問題の答えを過去作から見出してみる。
ポケモンシリーズの中で「くさり」といえば『ダイヤモンド・パール』等の作品に登場する「あかいくさり」がある。
『ダイヤモンド・パール』でのあかいくさりは、ディアルガ・パルキアが暴走した際、ユクシー・エムリット・アグノムが作り出す一種の制御具として、神を鎮静化させるための神話の道具であるとされる。
作中ではギンガ団のアカギがこれを使い、ディアルガ・パルキアを呼び出し支配すると同時に、その力を自らのものにすることで、新世界を創造しようと画策する。
この事例から、「くさり」とは対象の行動を制限させる制御具として使えるが、対象を支配し操り悪用することもできる道具である、ということが推測できる。
毒の鎖も同様の力を持っているとすれば、この鎖は「ともっこさまの行動を制限させるための鎖」とみなすことができるだろう。例えるなら、悪行を働いたために封印されたミカルゲやフーパの「かなめいし」や「いましめのツボ」のような物であり、枷としての意味を持つと考えられる。
よって、ともっこさまが鎖に繋がれた理由もミカルゲやフーパのように悪事を働いたからであると思われる。
この場合ならともっこさまの石像に頭巾や前掛けが掛けられている理由を、ともっこさまがもう悪さをしないよう戒めとして残したものである、と説明できる。
ただ、くさりについての推測の後半部分から、ともっこさまは何者かによって鎖を通じて支配され、操られているといった可能性も考えられる。
いずれにせよ鎖を自ら繋ぐとは考えにくいため、何者かに付けられたものである可能性は高いだろう。
3rd Trailer 紹介映像よりキタカミの里に伝わる昔話のイラストが公開された。
このイラストでは、子どもたちがともっこさまの石像に団子かモチのような丸いものとりんごをお供えしている様子が描かれている。が、よく見るとマシマシラの石像だけお供えものを貰えていない。どうやら扱いに差があるようである。
上記では、ともっこさまは悪事を働いたために鎖を繋がれた、と考察した。このイラストの子どもたちを元に考察を広げると、毒の鎖を繋がれて改心したともっこさまは悪い鬼から里を守ったことで一躍里の英雄となる。戒めのための石像に子どもたちが感謝を込めてお供えものをするようになったことで、いつしか石像はともっこさまへ感謝するための石像に変わっていき──といった感じだろうか。
しかし、この説明は後述するシルエットが描かれた看板と鎖の有無という部分で矛盾する。看板のシルエットはともっこさまをお供にした人間が悪い鬼を退治した時の様子を描いていると思われる。そのシルエットには鎖は描かれていないため、鬼退治の時にはともっこさまに鎖は繋がれていないことになる。
一方で上記の考察は鬼退治より前に鎖に繋がれることを前提にしているため、矛盾が生じるというわけである。
矛盾しているが、鎖を繋がれた時期について看板のシルエットと整合性のとれた説明がどうあがいてもできそうになかったのでこの矛盾はここでは無視することにする。
2枚目のイラストでは、オーガポンがともっこさまの3匹を翻弄している様子が描かれている。イイネイヌは倒れ、キチキギスは仰け反り、残るはマシマシラだけである。オーガポンは鬼らしく金棒を得物にしているようである。
しかし、こんな明らかな人工物を武器として扱うポケモンなどデカヌチャン系統やフーディン系統、それとザシアンくらいである。一応この金棒は今のところこのイラスト以外では登場していないため、オーガポンが実際に武器として金棒を扱うのかどうかは分からない。
マシマシラ以外オーガポンに伸されているが、ここからどうやって逆転し、鬼退治に至ったのだろうか?
シルエットが描かれた看板にはともっこさまの他に人間も描かれていたので人間が鬼退治の要だったのかもしれない。
2. 屋台のお面と看板のシルエット《3rd Trailer 追記》
鎖についてはこの辺にして、次はオモテ祭りの屋台のお面について見ていこう。
屋台のお面は実際のともっこさまの顔と異なる部分が多く、色の配置は入れ替わり、形はデフォルメされている。
まず色について、黒い部分とそれぞれの青、緑、赤の部分が入れ替わっている。例えば、マシマシラの青い顔の部分はお面だと白になっており、逆に外側の黒い部分は青になっている。他にも、イイネイヌも黒い部分がお面では緑であり、逆に緑の部分が白に置き換わっている。つまり、黒→赤青緑、赤青緑→白といったように変換されている。
ここで興味深いのが黒→赤青緑、赤青緑→黒の単純な入れ替わりではなく、白が出てくる点である。黒ではなく白。ここでも置き換わりが起きており、色の配置と黒→白で二重に反転している。
次に形について、やはり一番目立つ差異は目を覆う水色のサングラスのような部分だろう。本来の姿の悪そうな印象に反して、明らかにヒロイックな見た目をしており、その風貌はまるで特撮ヒーローである。こちらもある意味では、悪→ヒーローで反転していると言える。
何故、本来の姿とお面の姿はこんなにもかけ離れているのだろうか?
フォルムチェンジや進化などでお面の姿となる可能性は十分あるだろう。だが一方で英雄として親しまれていることを鑑みれば、長い年月の間で伝承が繰り返された結果、里の人々が神格化し、本来の姿から英雄的な姿へ変容していった可能性もある。
オーガポンがテラスタルで姿が変わることを鑑みるとともっこさまの3匹もテラスタルで姿が変わる可能性が高いだろう。屋台のお面はテラスタル後の姿を表現したものかもしれない。
なお、マシマシラのお面にはしっかりと毒の鎖が描かれているため、里の人々はともっこさまが鎖に繋がれていることを知っていると思われる。このことは、ともっこさまの像に着けられた頭巾や前掛けからも伺える。
対して、屋台のオーガポンのお面は角と牙があることを除けば本来のお面とあまり変わらない。色の配置は入れ替わっておらず、形もあまり変化はない。角が黒から金色へ変わっていることと白い牙のようなものが付け加えられているぐらいである。強いて言うなら元の仮面よりも鬼らしさが増しているといったところだろうか。
角はお面ではなくオーガポン自身に生えているものなので、屋台のお面は"オーガポンのお面"ではなく、"仮面を被ったオーガポン"を再現したものであると思われる。
3rd Trailerで公開されたテラスタルしたオーガポンを見るに仮面から白い角が生えているため、屋台のお面は"テラスタルしたオーガポン"を再現したものであると思われる。
テラスタルしたオーガポンは左右からモンジャラのようなツタが生えており、テラスタイプはくさタイプであると思われる。テラスタルで姿が変わる都合上オーガポンはくさテラスタル固定なのではないだろうか。仮面を外せばテラスタイプを変えられる仕様かもしれない。
オーガポンの話から少しずれるが、キタカミの里で野生のポケモン達はどうやってテラスタルしているのだろうか?
オーガポンについては仮面の力によるものであることは想像に難くないだろう。だが、キタカミの里でのテラレイドバトルはその原理が全く分からない。
まず、本来ならキタカミの里では野生のポケモンはテラスタルが出来ないはずなのである。
パルデア地方でのテラスタルは、地中からにじみ出るテラスタルエネルギーによるものと言われている(下記『ポケモンたちが宝石のように光り輝く「テラスタル」 | 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト』より引用)。
このエネルギーの発生元は恐らくエリアゼロであり、パルデアの大穴から放出されている。つまり、エリアゼロのようなテラスタル結晶が大量に地下にあるような環境でなければテラスタル出来ないのである。
しかし、マップを見る限りキタカミの里でもテラレイドバトルは出来るようである。これはつまり、キタカミの里にもエリアゼロと同じようにテラスタル結晶が地下にあるのではないだろうか。
例えば、キタカミの里の岩山の地下とか。
ここにテラスタル結晶が隠されていると推測する。
続いて、ヒスイ・シンオウ文字の書かれた看板のシルエットについて。
ヒスイ・シンオウ文字の書かれた看板の5つのシルエットは左からそれぞれオーガポン、マシマシラ、イイネイヌ、キチキギス、人間に対応していると思われる。
しかし、ともっこさまの鎖がないこと、オーガポンのシルエットの背中にギザギザした部分があることなど、一致しない点が数多く存在するため、公開された姿ではなく別のフォルムや進化前、進化後などに対応している可能性もある。
中でも注目すべき差異はともっこさまの鎖がない点である。マシマシラの屋台のお面には鎖が描かれていたが、こちらの看板には描かれていない。考えられる理由としては、この看板が描かれた時代では、3匹に鎖は繋がれていなかった等が挙げられる。
他にもオーガポンと思わしきシルエットと右の人間のシルエットが非常に似ている点にも注目したい。下半身を見ると両者とも足の構図が同じである。また、短パンのような服を着ているようにも見える。そしてオーガポンには足に葉っぱが付いているが、このシルエットには葉っぱは描かれていない。
つまり、オーガポンと思わしきシルエットは人間なのではないかと推測できる。この看板は子どもが3匹のお供と共にお面を被り、鬼に扮した大人を退治している絵ではないだろうか。
そして、そこから連想される日本の文化が「ナマハゲ」と「桃太郎」である。
3. オモテ祭り=鬼剣舞とナマハゲと桃太郎
先述したように、キタカミの里では「オモテ祭り」と呼ばれる長く受け継がれてきたお祭りが開催される。この"オモテ"とは、英名が「the Festival of Masks」であることから考えると
この"オモテ"は表ではなく面の意味であると思われる。
実際、祭りの参加者は大人も子どもも誰しもがお面を被っている。
したがって、オモテ祭りはお面、すなわちオーガポンを主軸にしていると考えられる。
では、オモテ祭りのモチーフとはなんだろうか?
「祭り」、「面」、「鬼」、これらの要素から絞り込むと有力な行事が2つある。その内の1つを「鬼剣舞」という。
「鬼剣舞」とは、岩手県北上市などで伝承される、鬼の面を付け、日本刀を持って舞い踊るという伝統芸能である。ただし鬼の面とは正確には仏の化身であり、頭に角はない。
北上・みちのく芸能まつりを初めとした北上市周辺の地域行事やイベントなどで盛んに披露される。
オモテ祭りのモチーフとされる根拠として、北上市という地名が"キタカミ"の里と一致すること、鬼のような面を着けること、仮面に角がない点がオーガポンの仮面と一致すること、踊り手の装束の胸に描かれている「笹龍胆」がオーガポンの仮面の葉っぱの意匠と似ていること(参考『岩手で伝承される鬼剣舞』を参照)、これら4つが主に挙げられる。
そして、2つ目のモチーフとして挙げられる有力な行事が「ナマハゲ」である。
「ナマハゲ」とは、秋田県の男鹿半島周辺に伝わる伝統的な民俗行事である。毎年、大晦日の晩に行われ、ナマハゲに扮した若者が鬼のような面と、藁でできたミノを身にまとい、木でできた包丁を手に持って家々を巡る。
ナマハゲは真山・本山に鎮座する神々の使者と信じられており、悪事に訓戒を与え、厄災を祓い、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪神とされる。
男鹿半島を代表する冬まつりとして「なまはげ柴灯まつり」というまつりがある。
男鹿市北浦の真山神社で行われる神事「柴灯祭」と伝統行事「ナマハゲ」を組み合わせた観光行事であり、毎年2月第2金・土・日曜日に真山神社で行われる(下記『柴灯まつり|「重要無形民俗文化財」男鹿のナマハゲ』を参照)。
また、真山地区ではナマハゲは山の神様であると考えられているため、ナマハゲの面に角がない(『なまはげ①なまはげに会いに | なんも大学』を参照)。
以上からオモテ祭りのモチーフとされる根拠として鬼剣舞と同様に、男鹿市という地名が"オーガ"ポンと部分的に一致すること、鬼のような面を着ける行事であること、(真山地区での)面に角がない点がオーガポンの仮面と一致すること、これら3つが挙げられる。また、根拠としては薄いが、真山神社の狛犬が置かれた石段が2nd Trailerの石段と似ていることも挙げられる。
なお、2nd Trailerの石段の左右にある灯りは石灯籠をモチーフにしていると考えられ、真山神社にも形状が酷似した石灯籠がある(下記画像の右下)。
そして、猿、犬、雉であるマシマシラ、イイネイヌ、キチキギスと、鬼であるオーガポン。この4匹からは昔話「桃太郎」が連想される。
「桃太郎」は簡潔に要約すると、以下のようなお話である。
犬、猿、雉が登場し、彼らをお供にした人間が悪い鬼を退治するこの構図は、キタカミの里に伝わるともっこさま伝説とも一致しており、ストーリー全体のモチーフであると思われる。
他にも、2nd Trailerで公開されたキタカミの里の岩山は鬼の頭のように見えることから、桃太郎の鬼ヶ島をイメージしていると考えられる。この岩山が鬼ヶ島と同様、鬼の住処であるならばオーガポンもここを住処にしていると思われる。そして、桃太郎=主人公とすると、主人公はともっこさまをお供にして、オーガポンと対決することになるだろう。
ただ、先述した2つのモチーフ、鬼剣舞とナマハゲは、鬼のような面を着けるが正体は鬼ではなく、仏の化身や神の使いといった災いを祓う存在であるため、オーガポンが本当は悪い鬼ではなく、里の守り神だったのではないかと解釈することもできる。
ただ、3rd Trailerで公開された鬼退治フェスを見る限り、オーガポンは守り神でもなんでもなく本当に悪い鬼だったとする見方が強い。なぜなら守り神だった場合、守り神の絵が描かれた風船を割るというひどく罰当たりなことを主人公はしてしまうことになるからだ。それに碧の仮面のストーリークリア後も鬼退治フェスを遊ぶであろうことを考えると、オーガポンが守り神だったと判明したとき鬼退治フェスの存在意義がなくなってしまう。
以上3つのモチーフを考慮するとキタカミの里は日本の東北地方がモデルであると推測できる。鬼剣舞は岩手県、ナマハゲは秋田県で行われる行事である。桃太郎の伝説は岡山県発祥のものが有名だが、岩手県にも似た伝承が存在する。
他にも、里のりんご園はりんごの名産地である青森県を彷彿とさせる。
また、ポケモンwikiによると、ゼイユとスグリの名前の由来はフサスグリの別名グロゼイユとクロスグリ(カシス)とされている。中でもクロスグリは青森県が国内最大の産地である。
そして、キタカミの里が東北地方をモデルにしていることを前提とすると、私たちの世界の地理から考えてキタカミの里はシンオウ地方(北海道)とカントー地方(関東地方)の間に位置している可能性が高い。実際、言語と文化の項目でヒスイ・シンオウ地方との繋がりを提示してきた。
また、林間学校の拠点であるスイリョクタウンは中国語(簡体字)で「翠绿镇」と書くことから翠緑が由来である。この街の名前が色を由来とする点は、カントー地方、ジョウト地方によく見られる特徴なため、カントー地方寄りではないかと思われる。
■まとめ
本記事では言語、文化、モチーフの3つの観点からキタカミの里を考察してきた。少しはキタカミの里にアプローチできたのではないかと思う。
ただ、オーガポンの仮面のテラスタル結晶のことなど取り上げることができなかった要素もあるのでまだまだ考察の余地はあるだろう。
なお、モチーフの項目では鬼剣舞とナマハゲと桃太郎をオモテ祭りのモチーフとしているが、他にも酒呑童子など考えられる候補はいくつかある。本記事はその中で筆者が有力と判断したものをピックアップして紹介した。
恐らくは発売日発表と同時に3rd Trailerが公開されると思うので今後の続報に期待したい。公開された場合は、本記事にも新情報を踏まえて追記する予定。
3rd Trailerによると「前編・碧の仮面」の配信日は9月13日とのことなので答え合わせは1ヶ月後に。
おまけ|ヒスイ・シンオウ文字をまとめた画像について
言語の項目に掲載したキタカミの里のヒスイ・シンオウ文字をまとめた画像について少し解説する。
まず、バス停(画像右上)には4つの文字列が確認でき、公民館の旗と一致する文字列の行があるので、恐らく4つの文字列は地名だろうと思われる。それぞれの場所へバスで乗っていけるかもしれない。上から一番目の文字列がバス停のある場所、三番目が公民館、二番目と四番目がともっこプラザ、キタカミセンターのどちらかであると思われる。
次に、右下の看板の文字は使われている場所が看板に限定されているため、看板全般に使われる文字として統一されていると推測される。
ただし、この上記画像の看板は看板文字とは違い4文字で構成されているので意味は異なる可能性が高い。恐らく意味は「キタカミ」ではないかと思われる。
全体を見て分かる通り、『LEGENDS アルセウス』の掛け軸の文字列が頻繁に使われている。バス停の文字列と一致することから地名を意味する……という訳でもなく、焼きそば屋の文字列とも一致するため結局意味は分からずじまいである。
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