写真と散文 一回
この歳になって(ということはいい歳食ってる)写真が面白いと、大いに面白いと。
目にするものが、何かを気づかせてくれる。
発見があって楽しい。
「モノ」と「視線」と「空間」と。
勤めにでるのに、ぼくは自転車に乗る。
日ごろ置くのは、とあるビルの手前の駐輪場。
定めた位置にとめられた自転車が、仕事終わりのぼくを待つ。
とまどいはいきなり訪れる。
鏡がぼくの自転車と駐輪場を移動させていた。
呆然としてぼくはビルを見上げる。
ガラスの壁面に世界が丸ごとうつり変わっていく。
雲が流れ、飛行機が飛び、夕陽は赤く、月が映る。
とっぷりと暮れて暗くなり、ぼくは自転車をとりいく。
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