笠原メイと死んだバイク

 「流れというのが出てくるのを待つのは辛いもんだ。しかし待たねばならん時には、待たねばならん。そのあいだは死んだつもりでおればいいんだ」_村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」より引用

5年前私は死んでいた。

 比喩的にも現実的にも死んでいた。
 大学を中退して何もやることはなくアルバイトもせずにひたすら毎日ゲームをしていた。
 本当に起きてからずっとだ。朝起きて朝食を食べたらプレイステーションを起動する。そしてただひたすらゲーム(グランド・セフト・オートやメタルギアソリッド)をプレイしていた。朝から晩までずっと。犬の散歩をする時以外は外出もせず文字通りニートである。そんなにゲームをして飽きないのかと思われるかもしれない。飽きる。飽きても他にやることも無くただひたすらゲームをやっていた。そんな私を親も咎めることはなかった。私がADHDとアスペルガーを併発してることが発覚してから親も私にどう接すればよいのか分からなかったのだと思う。文字通り私は死んでいた。そんな日々が2年間くらい続いた。あの頃を今回想するとなぜかほとんど現実感がない。まるで幽体離脱をした自分を上から眺めているような、そんな感じだ。それからTwitterで色んな人と出会い今はわりと充実した日々を送っているがあの死んでいた日々がなかったら今の自分はなかったのかもしれないと今では思ったりしている。


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