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松本悦雄のマガジン(投資・資産運用)

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松本悦雄の書いたコラムを集めたマガジンです! (筆者経歴) 通称「マックス松本」。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。長年、日系ノンバンクでロンドン…
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#松本悦雄

生涯賃金が1,000万円上がったら??会社のリスクと一蓮托生だぁ

今日の日経に株式報酬を管理職の賃金に上乗せする会社の話が出ていた。この制度で貰える株は定年退職時まで売れないらしい。 これじゃあ,いつまでも会社に使われて,会社の業績が悪くなったり倒産したりしたら,会社の運命と一蓮托生じゃないの? 昔,エンロンという米国のエネルギー会社が不正経理が原因で倒産したが,その会社の社員には社員持ち株制度で資産のほとんどを投資していた人もいて,職を失うのと資産を失うのでダブルパンチになって途方に暮れていた。 社員持ち株制度の場合は,タイミングを

新しい資本主義実現会議???

何をどうやって決めるの?なんか寝ぼけてる気がするけど。。。 「新しい資本主義実現会議」なるものが発足して会合を開いた。 メンバーの人たちを見ると,バックグラウンドとか実績が実にバラバラで,これで何を決めるのかとても疑問に思える。更に言えば,何かを決める気があるのか,単なる人気取り・選挙対策なのではないかと思えてならない。 まぁ,選挙で過半数を取ってしまえば,あとは自公政権の中枢の実力者が政策を決めていくことになるんだろう。 それにしても,見え見えの選挙対策は見ていると

政策が寝ぼけてるとマーケットに起こされるぞ〜!!

上場企業の四半期開示の停止?金融所得課税の見直し?寝ぼけてるとマーケットに起こされるよ? 新総理が,上場企業の業績四半期開示の停止と金融所得課税の見直しを検討すると伝わっている。金融所得課税の見直しについては,直ぐに引っ込めたが,四半期開示の停止については,未だにやる気になっているようだ。 四半期開示の停止は,株主と向き合わずいい加減な経営をしている企業経営者と企業情報の偏在につけこむ短期投機家を利するだけだと思う。株主に企業の経営状況をタイムリーに開示するのは,経営者の

中国の経済、ちょっとヤバい方向に行きかねないなぁ

中国の巨大不動産会社恒大(Evergrande)の債券が債務不履行になりかかって,米国株が大幅に下がった。 とりあえず人民元建て債券の利払いは行われたが,米ドル建ての債券は債務不履行となる可能性が高い。中国政府の優先事項は,個人投資家の保有している同社グループ発行人民元建て金融債の債務不履行を避けるという事だと読めるが,日本のバブル崩壊の過程で起きた銀行に不動産投機の失敗の尻拭いをさせるという政策に行き着くのではないか。 この政策を一旦始めてしまうと次々と不動産会社の不良

日経平均株価が爆上げ ー予想の実現は早いかも

日経平均株価がこのところどんどん上がっている。年末に3万2千円+とか証券会社のストラテジスト等が言う回数が増えてきた。 マーケットが一方向に流れ出すと,予想の実現のタイミングはマーケットの参加者が思うよりも凄く早くなるのではないかと思っています。 マーケットの上げのスピードに踊らされて,短期で収益を上げようとするのは良くないと思います。 これまで通り,定期的に少しずつ投資を積み上げていくのが,資産形成には良いと思います。まぁ,面白くないですけどね。 <この記事を書いた

NHKの番組「職場遺産」ー日本の停滞の原因がこの姿勢にあるんじゃないの?

数日前のNHKで「職場遺産」と言う番組をやっていた。内容は大手電機メーカーの若手を中心とした現役社員が,その倉庫に保管されてる過去の製品を探検して,驚いたり感心したりするものだった。 この番組を見てから,なんかモヤモヤするな~と言う気分が続きました。なんでそうなのか考えてみたら,ちょっとひねくれた見方かもしれないですが,この過去の栄光とか昔はすごかったとかいう番組の姿勢は,現在の日本の停滞に目を向けずに「日本凄い!!」とか言いたい社会の気分に繋がっているんじゃないかと思いま

インデックス投信 一物多価は金融機関の姿勢と大手企業の従業員搾取だと思う

今日の日経にTopix連動の投資信託の信託報酬に10倍以上の差があるとのレポートがあった。 基本的にファンドマネージャーのノウハウを必要としないインデックス連動投信で信託報酬に大きな差があるのは,多くの大手企業の確定拠出年金のメニューに会社の親密金融機関グループの運営するインデックス投信を入れて,同じリスクの他社の投信を入れていないことによる事も大きな要因だと思っています。 これは,従業員の金融知識の少なさに乗じた,会社の従業員に対する搾取と同じ。金融庁は個人投資家保護に

経営陣を入れ換えずに企業風土の浄化は出来ない

大手上場企業の不正・不祥事が続くが,第3者委員会で事件の調査をするよりもその調査を依頼している経営陣が入れ替わらない限り企業風土の浄化・刷新は出来ないと思います。 外部から入ってきた社員が少なく,経営陣がほとんどプロパーで不正・不祥事が続く企業は経営陣を総入れ替えして,事業を棚卸して再編をしない限り,従業員・株主・取引先等,関係先に被害が及ぶ。 小手先の対応を繰り返せば,いかに社歴が長い大企業だとしてもいつか事業継続の可否を問われる重大な局面を迎えるのは,歴史が示している

上場企業 退任社長の成績表-居座りはダメ

先日の日経新聞に今年3月以降の上場企業の退任社長の成績表なるものが出ていた。 社長の成績は結局,就任時に比べて株価がどうなったか次第というわけだが,株価が何倍にもなった社長はとにかくとして,株価を破壊したり,ほどんど上がらなかった社長の方に興味がありました。 投資家にとって,株価の上昇というきちんとした成績を出せなかった退任社長が会長等として居座るような上場企業はガバナンスが効いていない証拠なので,今後の株価も期待できないと思う。 そんな企業の株は仕方ない,早めに損切り

ソフトバンクのギャンブルに劣後債で付き合う気はないよ(英文付き)

ソフトバンクグループ(SBG)が個人向け劣後債を発行すると発表した。 劣後債で、発行額は4050億円、年限は35年、利率は当初5年固定で、5年後以降に変動する。調達資金はSBGのベンチャーキャピタル(VC)の信用補完に使われて,実質的には資本扱いになる。 個人投資家にとっては,予定利率2.45-3.0%というのは魅力的に映るのかもしれないが,どんなリスクを取るのかはVCの投資方針次第で,VCへの投資家は投資が上手くいけばリターンの上限がない。一方,この劣後債の投資家へのリ

コロナ・気候変動・中国・サイバー・ロシア=今の投資テーマ?(英文付き)

今週後半のG7サミットにむけて,米国の大統領報道官がテーマとして,コロナ・気候変動・中国・サイバー・ロシアの5つを上げていた。 確かにこれらは,米国にとって喫緊の課題と言えるのだと思う。それと同時に,これからの投資に関するテーマとなることも結構はっきりしているのではないだろうか。 今後のマーケットはこれらのテーマに沿って動いていくと思う。 どの銘柄がどのようにこれらのテーマに影響を受けるかは,一概に決められないし,思いもかけない産業・銘柄が大きく影響を受けて業績が乱高下

G7法人税率に関する報道(英文付き)

今朝の報道でG7各国が法人税の最低税率について合意したと伝わった。 実際の合意に至るかどうかについて,日本のメディアと私がフォローしている英国のメディアでは,ほとんど正反対の見通しとなっていたので,どちらの見込みが正しかったのかこれではっきりした。 やはり日本国内の報道だけで国際的な動きを判断するのは,かなり危ないと今更ながら確認させられてがっくりきてしまった。これは,投資に関する情報もしかりで,日本国内の主流の見方を追っているだけでは,判断を誤ることを肝に銘じたいと思う

郵便局で相続の相談?冗談でしょ!(英文付き)

収益性の低下を受けて,日本郵便グループが郵便局で相続の相談を受けられるようにしたいとの同グループの経営者からの発言があった。 かんぽ生命であれだけの不正をやった体質の企業で,相続に関するコンサルとしてのノウハウも蓄積していないのに,高齢の預金者との接点があるということで相続の相談で収益を上げたいという姿勢は大いに問題があると思います。 この様な経営方針を実際に行ったら,問題続出となるのは目にみえていると感じます。経営姿勢としての倫理が問われるのではないでしょうか。 (英

クラウドでソシアルレンディング?? ーやめましょう(英文付き)

某証券会社系列のクラウドファイナンスでの事業貸付事業が撤退となった。 個人には与信分析の力がないのに,証券会社が自分で与信リスクを取らずに手数料だけ手に入れるのは,ビジネスモデルとしてモラルに欠ける。 似たようなビジネスモデルでクレジットカード会社が加盟店への融資をする個人向けのファンドを立ち上げるというニュースもあったが,これも与信リスクを個人投資家に押し付けて,手数料だけを取るのではないかと思います。 個人投資家としては,リスクの内容がわからない融資とか投資を売り込