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きょう
大きな鳥が私の頭をかすめて飛んで行った。
羽の付け根がとてもよく見えた。
子どものころ飼っていた鳥の羽の付け根は柔らかで
温かいひなたの匂いがした。
そのことを思い出して
私は幸福な気持ちになった。
ほんの些細なことだけど
「自分はまだ大丈夫だ」
と思った。

きょう
小鳥たちが楽しそうにはしゃぐ声を聞いた。
冬の金色の光が
小鳥たちの木に眩しく注いでいた。
私は幸福な気持ちになって
涙が出そうになった。
パン屋の店先でのことだ。
鳥たちが、冬の光が
私にくれたこの幸福な気持ちをパン屋のひとと分け合った。
私は
「私たちはまだ大丈夫だ」
と思った。

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