サー・アンドラーシュ・シフ【掌で生まれる大地の音】
つい先日までプレトニョフの美音に浸っていた私ですが、今日はシフの音を聴きに、川崎までやってきました。
場所は、ミューザ川崎シンフォニーホール。
シフの音は初めてで、チケットを取る際、やはり席は凄く迷いました。
ですが、今回は思い切って2階席を確保。
理由は、シフの音は下に沈んで響くから。
たいてい音って鳴った瞬間、少なくともピアノより上に飛ぶ印象があるのですが、シフの音って下に沈む気がしています。
例えると、大木の根っこ。
地中に根(音)を張り、その根が曲の進行と同時にどんどん成長していく(響く)イメージ。
そう、シフの音って大地を感じるんです。
初めは1階席にして、そんな大地なる音を感じようと思ったのですが、この音を2階で聴いたらどうなるんだろう…と、段々気になって仕方がなくなってしまい、2階席を確保したのでした。
実音はどうだったかと言うと…
良い意味で録音と全く違いました。
あくまでも、ミューザ川崎 2階P席での、私の勝手な感想なのですが…
まず、音は沈むんじゃなく、シフの掌にずっと留まっていました。
録音だと、恐らくそれが沈んで聴こえていたのだと思います。(1階で聴くと沈んで聴こえるかも!?)
ベーゼンドルファーのピアノと、ミューザ川崎の音響設計がしっかりしているので、ちゃんと音は耳に届くのですが、音そのものはシフの手元にずっとありました。
なので、音が鳴ったあと、音の残像のようなものだけがシンプルに漂ってきます。
余計なものを極限まで削ぎ落とし、本物だけで勝負しているのが分かる。それぐらいシンプル。
時々、それはそれは美しい音が、手元から離れて聴こえてくる時があるのですが、やたらと垂直真上に飛ぶし、何だか違和感。
「これがシフの音か〜」なんて思いつつ、どこか納得できないでいたら、わたし気付いてしまった…
ベーゼンドルファーの蓋ーーー!!
見つけた瞬間、すぐにこの蓋がこちら側への音の飛び方を制限していると分かりました。
明らかに、何か一枚挟んだ音だったので。
しかし、そんなベーゼンドルファーの蓋も、公演が終わる頃にはすっかり馴染んでしまい、悪びれもなく堂々と佇む姿が、逆に何だか愛おしかった。
次回は絶対1階席で聴きたいです。
実音のあまりの素晴らしさに、今後シフの録音が聴けなくなりそう…
ちなみにシフの音は、やはり大地や大木など、自然を感じる音でした。それは録音どおり。
特にバッハの美しさは、御来光を拝んでいるような神々しさ。
今日は、アンコールの看板がなくてちょっと残念でした。
さて、今からシフの音をキャンバスにのせていこうじゃないか♪
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