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寝る前のメモ。


4月がはじまった。やっと1週間が終わったのかと思うのは、私ではなく、これまで当たり前になっていたまわりの環境が変わってしまったからなんだと思う。

ほぼ毎週買っていたパン屋さんが引っ越しをして、仕事をはじめた頃に出会った作家さんも工房を移転し、オアシスだったお店が閉店してしまった。出会ってから7年以上も月日が経っているからか、しらず知らずのうちに心のたくさんを支えてもらっていたんだと思う。移転や閉店を教えてもらったときは勝手にバトンを受け取ったような気持ちになっていたけれど、そんなうつわは私にはない。遅咲きの桜が一斉に咲き誇り、目の前の風景と心がなんだかちぐはぐしてしまっているみたい。それでも桜はきれいなんだけどね。

この町の出身者でありながら、誰かの積み重ねのうえでチャレンジさせていただいていたのは私のほうで、そうした流れや関係を縦につなげていくことの意義も見つけたいと思っている。やっぱり進路や留学の相談をくれたら張り切って返してしまうし、必要としてもらえるものはなるべく全部渡していきたい。

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ある会話のなかで、いま何がほしいかを聞かれたときに「空き家」しか出てこなくて、自分でも呆れてしまった。あれこれ考えてみたけれど、これ以上自分自身に対してほしいものが見つからず、強いて言うなら航空券くらいなのだと思う。ものよりも経験がほしい。

パリでは、オリンピック期間中にどのように街を使っているかを見たいし、香港やタイ、シンガポールでは、日本文化の何が楽しまれているのかを知りたい。イタリアでは引き続きオーガニック農業やソーシャル&スローイノベーションの取り組みを、スイスでは時給4000円の観光立国の取り組みを、オーストリアではビオホテルの取り組みなんかも体験したい。中国ではさまざまな文化の起源に触れたいし、インドでは好きなコーヒー豆の産地を訪ねたい。エストニアでもEガバナンスとストップモーションアニメを・・・と挙げだすと本当にキリがなくなって、ひとつずつ仕事を重ねていくしか方法はないんじゃないかと思っている。

大切なものが増えたこの場所を離れたくない気持ちと、世界はまだまだ広い気持ちと。軸足をここに置きながら、もう一方の足をどこまで縦に横に伸ばしていけるかを考えることは楽しい。

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ぽっかりと穴が空いてしまうかと思ったのも束の間、2週間ほど毎日を駆け抜けた結果、新しい取り組みがはじまるかもしれない。全く不安がないわけではないけれど、ずっと思い描いていたことでもあるし、やるなら今なのかなと思えている。さ、どう転ぶかな。


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