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4文小説 Vol.24

フローリングの床の上に9つの正方形、向きを変えただけで格子柄になる琉球畳を仏間に敷き詰めたのは、祀る側も祀られる側も温かいように、との母の想い。

祖父と二人だった"居住者"は、今年の春から祖母が加わり、二人暮らしの私たちより多くなった。

三人のなかで、いちばん後で産まれながらいちばん先に逝ってしまって19年目、別れは二十歳のときだったから、来年でその歳月に並ぶとは、ともに生きた時間がかくも短かったのかと思い知る。

須磨寺の納骨壇にお参りした帰り道、母が山陽電車の上りで3つ先まで行きたいと言ったのは、およそ50年前、二人が出逢った板宿の街だった。

―父19回目の命日



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