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7ヶ月先の夢想 Footballがライフワーク Vol.16

カフーや"ジェイジェイ"オコチャに、ボラ・ミルティノビッチ。各大陸を代表するドロワーの面々が、球状のカプセルを開いていく。プレーオフを残し、出場国が出揃っていない異例の状況であっても、抽選会を眺めるひとときは変わらずスリリングだ。パズルのピースがはめ込まれるように、続々とグループリーグの組み合わせ、ワールドカップで観られる対戦カードが決定していく様子は、ややもすれば大会本番より面白いかもしれない。旅は計画しているときこそ楽しいのにも似て、まだ半年以上先だというのに、開幕への興味を掻き立ててくれる。

1勝1分1敗。組み合わせが決まるたび、決勝トーナメント進出を果たすためのノルマとして持ち出されてきたシナリオだ。日本が出場した過去6大会、グループリーグで対戦する3か国の構図は、明らかな格上が1つはあっても、残りは頑張れば勝ち点をもぎ取れそうな中堅どころと、勝利を期待したくなる同等以下の相手が入り混じってきた。ドイツ、そしてスペイン。明らかな格上に相当する相手が2か国も居並ぶ今回ばかりは、この構図に当てはまらない。引き当てたドロワーはティム・ケイヒル、こんなところでも天敵ぶりを発揮しようとは。これまででもっとも、厳しい組み合わせになったと見るのが妥当だろう。

2勝3分5敗。日本のワールドカップでの欧州各国との対戦成績を振り返れば、思いのほか善戦していることがわかる。俊敏性や足元の技術、日本の特長が有利に働きやすいためかもしれない。全10試合のうち半分の5試合で勝ち点を収められていて、5つの敗戦を喫しているとはいえ、すべて1点差である。全5試合で4失点を献上すること2回。前回の2018年ロシア大会、立ち上がりの退場で10人になったコロンビアを辛くも下し、ようやく初勝利を挙げた南米各国に比べれば、ずいぶん与し易いようだ。困難な状況のなかにあって、光明を見出したくなる要素もある。

近年のワールドカップは、従来のジンクスがことごとく覆されてきた傾向にある。初のアフリカ大陸開催となった2010年南アフリカ大会。アンドレス・イニエスタをはじめとする「クアドロ・フゴーネス」が中盤に君臨し、2008年のユーロを制したスペインが初めて世界制覇をも成し遂げ、初戦(スイス戦)に敗れた国は優勝できないというジンクスは打破された。続く2014年のブラジル大会。マヌエル・ノイアーのゴールマウスに留まらない近代的セービングのみならず、開催国ブラジルを7得点で打ちのめす破壊力を見せつけたドイツは、アメリカ大陸で開催された大会では優勝できなかった欧州の負の歴史に終止符を打った。今大会、日本がそんな両国と同居したことは何を意味するのだろう。7回目のワールドカップ。願わくば、グループリーグ敗退と決勝トーナメント進出が交互し、出場回数が奇数の大会では前者に甘んじてきた日本のジンクスとも、訣別してもらいたい。


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