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四十路の幕開け 運動神経が悪いということ Vol.28

曲げ伸ばしの際、鈍い痛みが走る。代謝を良くし、腹筋より効果があると聞いて朝晩の日課にしているバックランジというエクササイズだが、腹のシックスパックはいっこうに出来上がる兆しを見せないのに、膝を痛めたらしい。慢性的に凝り固まるようになった肩を回すのもすっかり癖になっていて、寄る年波というものを実感する。

今年の桜も、すでに葉桜だ。国民にもっとも愛でられてきた花が、自分の誕生日の頃に満開を迎えるのは密かな誇りだったのだが、せわしない時流に歩調を合わせているのか、やけに早く咲くようになった。もはや満開は卓上カレンダーの挿絵だけで、その日付を眺めては年度初めに集中する仕事の締め切りや段取りのことで憂鬱になる。恋愛の一つも知らず、優秀な同期が管理職に昇任しても下働きが増えただけ、いつまでもペーパードライバーで自宅の駐車場は空っぽ。公私とも、こんなに内容も進展も無いままこの齢を迎えることになろうとは、「四十にして惑はず」の境地にはほど遠い。

花見も今週かぎりと悟り、先週末は母と共に大阪の門真南と西宮の母校まで出かけた。羽生結弦に坂本花織に宇野昌磨、思い入れの無い私はともかく、フィギュアスケートが好きな母は初めて観るショーの豪華ラインナップに満足してくれた。翌日のキャンパスは母にとって卒業式以来16年ぶり、色とりどりの桜が咲き誇る道を歩きながら、入学から20年の節目を噛み締めた。

4月7日は、親子共通の記念日。私の生誕40年と同時に、父が生きていれば母も金婚を迎えるはずだった。三十路に入る10年前は春の嵐のような天候だったと記憶しているが、昨日も強い雨。「雨降って何とやら、きっといろいろ洗い流してくれてるんやわ」この前向きな言葉が、実りの乏しいわが人生を支えてくれている。締め切り当日になんとか一仕事を片付けて退勤すると、朝からの雨は降り止んでいた。

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