振り返ると、私はイニエスタのおかげで湘南ベルマーレのサポーターになった。
昨今のコロナ禍の影響で、Jリーグが中断し、週末の楽しみだった試合観戦がしばらくの間お預けとなった。旅行と並んで大好きだった娯楽のひとつを取り上げられて、悶々としていた自粛期間。
そんな私だが、実はつい2年前まで、湘南ベルマーレに全く興味がなかった。
今回、noteをつけてみようと思い立ち、サポーターになったきっかけを整理してみた。
私はただ「サッカーが好きな人」
育ちは神奈川県平塚市。
W杯観戦のために飛んでしまうほどサッカー好きの父の影響で、幼少期から日本代表戦や欧州サッカーをよく観ていた。小学生の頃には、代表選出メンバーは全員言えたし、中高生のときには父と夜な夜なUEFA欧州選手権を観戦していた。
高校生の頃は、当時バルサに所属していたセスク・ファブレガスにどハマり。その頃ちょうど開催されたEURO2012では、スペイン戦の全てをオンタイムでチェックし、スペイン優勝とセスクの活躍ぶりを大いに喜んだものだ。
二十歳を越えると、代表戦の日は家族でスポーツバーに繰り出すようになったのだが、その際は、父がコレクションしている数十着のユニフォームの中から、着るものを気分に合わせて選ぶのも楽しみの1つだった。
さて話を戻すと、それだけサッカー観戦が好きだったものの、Jリーグに関して大した興味はなく、地元・湘南ベルマーレの試合を観たのは片手で収まるほど。近隣の小学生向け招待券みたいなものをもらって、数回観戦した程度。
「J1昇格したらしい」とか「また降格したらしい」とか、そのくらいしか知らなかった。
きっかけは2018年
とにかく忙しかった音大生活を終えて、就職をして自分の時間が持てるようになった2018年。
日本中を震撼させた1つのニュースが、私の目にも飛び込んだ。
あのイニエスタがJリーグに来るだと...?
Jリーグに興味はなかったものの、もともとEUROでスペインに心酔してした私にとって、これは信じられないニュースだった。夜な夜な観ていたEURO2012のMVP、誰もが認める大スター選手イニエスタが、日本に、そして平塚にも来る可能性があるなんて。何が何でも絶対に見たい。
ただ、私はすぐに考えた。私みたいにイニエスタ見たさに集まる人が沢山いるだろう。
きっとチケットを取るのは至難の業。さて、どうしよう.......。
よし、ハーフシーズンチケット買っちゃおう!
ハーフシーズンチケットは、Jリーグ中断期間後の湘南ベルマーレのホームゲーム9試合を観戦できるチケット。これがあれば、イニエスタが出るであろう神戸戦も、必ず入場することができる。
というわけで、全く興味の無い、何も知らない湘南ベルマーレのハーフシーズンチケットを購入。父と共に、メイン自由席を2枚GETし、人生ではじめて「特定のクラブの会員券」を手にした。
イニエスタJリーグデビュー
2018年7月22日、現地観戦に先駆け、イニエスタのJデビューの噂を聞いて、DAZNを開いた。
ヴィッセル神戸のホームで行われたその試合は、まさに私がシーズンチケットを購入した地元のクラブ、湘南ベルマーレが対戦相手だった。
正直、前年までJ2だったベルマーレには全く期待をしておらず、あくまでも「イニエスタが日本でプレーする姿を見てみたい」がために、中継を観ていた。
だが、そこで目をひいたのは、後半途中から出場したイニエスタ…よりも、湘南ベルマーレのプレーだった。今思えば「湘南スタイル」と呼ばれるものである。
終わってみると0-3。河野太郎大臣の言葉を借りれば「湘南ベルマーレの圧勝」で幕を閉じた。
「私がシーズンチケットを買った地元のクラブは、こんなプレーをするんだなぁ。」この日から、私はベルマーレの試合を必ずチェックするようになった。
久しぶりの現地観戦
そこから約1ヶ月後、私はBMWスタジアムへ訪れた。とうとうイニエスタを擁するヴィッセル神戸が平塚に来たのである。
この時には既に、私はベルマーレの選手についての予習をし、現地観戦に万全の準備をしていた。イニエスタ見たさでチケットを取った頃に比べて、明らかにJリーグへの関心が高まっていた。
そして、この久しぶりの現地観戦で、サポーターがよく言う所謂「スタジアムの空気」に心を鷲掴みにされたのだ。
液晶画面からは感じることの無い声援の"圧"、全員がひとつの方向に向かって応援をする推進力。それぞれに意味のある沢山の応援歌、全てに圧倒された。
(ちなみに、この試合はイニエスタのスーパープレーが連発で、湘南ベルマーレは割としっかりと負けたと記憶している。笑)
あっという間に湘南ベルマーレの虜に
心を掴まれてからは早かった。なんてったって私はもうシーズンチケット保持者。ホームは通い放題だった。
最初は「それ何拍子なん!?逆に合わせるのめっちゃ難しくないか!?」と思っていたベルマーレコールも、あっという間に身体に馴染んだし、チャントも音程を気にせずに心の底から叫べるようになった。
(音大出身の私には、ここはひとつのハードルだった。)
また、観戦するようになった直後に湘南ベルマーレがルヴァン杯を制し、応援するクラブが頂上に立つ喜びを知った。
“酸いも甘いも”とはよく言ったもので、私はその甘ーい部分だけを存分に頂いて、Jリーグの“沼”にしっかりと浸かったのである。
翌2019年、“酸い”の部分を嫌というほど吸わされるのだが。
私はイニエスタのおかげで湘南ベルマーレのサポーターになった
何も知らないままハーフシーズンチケットを購入してから約2年。Jリーグに限らず、サッカーのサポーターは「古株」とか「新参者」などという言い方をよくするが、そういう意味では、私は明らかに「新参者」だし、「イニエスタ目当てにJリーグの世界に入ってきたミーハー」だ。にも関わらず、クラブとサポーターが共通して内包する「楽しめてるか」の精神が、来るもの拒まずあっという間に私を受け入れてくれた。
2年前には想像をしていなかった生活がここにある。
今宵は湘南ベルマーレと出会う機会をつくってくれたイニエスタに感謝を込めて、ボデガ・イニエスタでもあけながら、今日の試合を振り返ろうと思う。
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