![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42693119/rectangle_large_type_2_016fa50541a20dadf934aeed88cbb017.png?width=800)
述語様式の区別基準〈アリストテレス『トポス論』岩波新版 第一巻 37-40頁 読書録4〉
4つの述語様式(定義 固有性 類 付帯性)の区別の基準
全ての命題は主語と述語を換位できるか否かのいずれかだ。
換位とは、「鳥は翼をもつものだ」から「翼をもつものは鳥だ」への操作、またはその逆も然りの操作。ちなみにこの場合前者は正しいが、後者は正しくなく、なぜなら翼をもつものは蝶や飛行機など鳥以外にもいるからだ。
まず、互いに換位の関係にある両命題がいずれも正しい状態を「換位できる」と規定しておく。したがって、先程の鳥と翼をもつものの例は換位できておらず、主語と述語が、人間と笑えるもの(笑いの表情をもつもの)のような場合、換位できると言える。「人間は笑えるものだ」「笑えるものは人間だ」これらはいずれも正しい。
i.換位できる場合
→主語にとっての述語は「定義」か「固有性」
→それがさらに本質を表せば「定義」、そうでなければ「固有性」
ex1.
「人間は理性をもつものだ」
は換位すると
「理性をもつものは人間だ」
となり両命題とも正しいので、この場合換位できる。そしてさらに、理性をもつことは人間の本質を示す(※ここまでアリストテレスは本質を示すか否かの基準について説明してない)から、人間にとって理性をもつことは「定義」となりうる。
ex2.
「人間は文法を学べるものだ」
は換位すると
「文法を学べるものは人間だ」
となり両命題とも正しいので、この場合換位できる。そして、文法を学べることは人間の本質を示していないから、人間にとって文法を学ぶことは「固有性」だ。
ii.換位できない場合
→主語にとっての述語は「類(或いは種差)」か「付帯性」
→それがさらに、定義式(※定義式は類と種差で構成される)の中で言及されるものなら「類」、そうでなければ「付帯性」
ex1.
「動物は陸に生息するものだ」
は換位すると
「陸に生息するものは動物だ」
となり、両命題とも正しくない。動物には水棲のものもいるし、陸に生息するものは動物以外にも植物や細菌類などがいるからだ。
そして、陸に生息することは動物という類の種差であると言える。なぜなら、動物は陸生か水生のいずれかであり、陸に生息するか否かで動物という類を分割できるからだ。
したがって、動物にとって陸に生息することは種差であり、動物の一類をなすという意味で類である。
ex2.
「鳥は翼をもつものだ」
は換位すると
「翼をもつものは鳥だ」
となり、前の命題は正しいが、後の命題は正しくない。また鳥と呼ばれるものは全て翼をもつので、翼をもつことは鳥にとって種差とは言えない(鳥という種の内で、翼をもつものが一亜種をなすということがない)ため、これは付帯性である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?